ファンダメンタル分析
ファンダメンタル分析とは?
ファンダメンタルズ分析とは、為替、商品先物、株式等の需給を左右する世界的な出来事について、マーケットへの影響という側面にアプローチする分析手法です。多くのトレーダーは、いつ、どこでエントリーするかを決める際、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析双方を利用しますが、一般的には、どちらか一方を重視する傾向があり、ファンダメンタルズ分析だけに頼る場合、世界中に溢れるあらゆる情報が判断材料となります。
中央銀行
ファンダメンタルズ分析において、不確定要素が最も多い存在の1つに、中央銀行を挙げることができます。それは、彼らのアクションや判断がマーケットを大きく左右するためです。彼らは、政策金利を決定する権限を持ち、景気状況によって利上げ/利下げを実施します。時に、マイナス金利政策を実施することもあれば、変更をせず据え置くこともあります。政策的な意図から、近い将来における政策金利の変更を示唆したり、非伝統的な政策を導入することもあります。状況次第では、自国の通貨や他国の通貨に対して為替介入もおこないます。通貨価値の見直しさえおこなうことがあります。そのため、中央銀行にフォーカスしたファンダメンタル分析では、中央銀行要人の声明やスピーチを通して、彼らと同じように思考し、彼らの次の一手を予測するという手間のかかるプロセスが必要となります。
経済指標
経済指標にフォーカスしてトレードする場合、100%正確な予測というのは不可能なため、特に慎重さが求められます。世界の主要な投資銀行の優秀なアナリスト達でさえ、経済指標の結果を正確に予測することはできません。彼らは複雑なアプローチを組み合わせたモデルを複数確立していますが、それでも、驚くほど誤った予測になることがあります。それこそ、重要指標の発表直後にマーケットが荒れる理由なのです。多くのトレーダーは、アナリスト達の「コンセンサス」に従う傾向があるため、通常、指標発表前にコンセンサスの方向にマーケットが傾くことになります。結果が発表され、コンセンサス予測値が間違っていたとなれば、マーケットは結果に従った方向に修正されます。つまり、コンセンサスの方向性が正しかったとしても、それを上回る結果であれば、マーケットは事前予測に増してポジティブに反応し、下回るようであればネガティブに反応します。経済指標にフォーカスして、ファンダメンタルズ分析に基づくトレードする場合、いつエントリーするかを判断することが重要です。結果発表の前にエントリーするか、それとも後にするか。もちろん、どちらにもメリットとデメリットがあります。発表よりかなり前にエントリーするのであれば、コンセンサスに基づく流れを利用できるかもしれません。しかし、その流れ以上に、世界中で起きている他のファンダメンタルズ要因の方が、マーケットに与える影響が強いかもしれません。一方、指標発表直前のエントリーというのは、結果が、コンセンサス予測値よりも良くなるか悪くなるか、というトレードとなります。まさにそれはコイントスのようなもので、エントリーを誤った際のリスクは極めて高く、大きな損失を被る可能性があります。逆に、指標発表直後というのは、希望するレート水準での取引量はほとんど無く、約定させるのが難しいマーケット状況となります。
地政学的リスク
2国間において、または国際社会に対して協調することができず、否応なしに紛争や戦争の危機に陥る国々が、世界中に点在しています。そのような緊張や対立は、特定の製品に対する需給に影響を与え、貿易財の価格に悪影響を及ぼします。例えば、中東紛争の激化は石油供給を逼迫するため、価格を高騰させる要因となります。逆に言えば、比較的落ち着いている地域では、供給が脅かされないため、石油価格を低水準におさえることができます。世界的な出来事の節目節目を的確に予測することが、ファンダメンタルズ分析でマーケットを占う、ということなのです。
天候要因
需給や物価の変動要因には、気象に関連するものが多く存在します。わかりやすい例でいえば、冬に大雪が発生した場合、暖房に使用する天然ガスの需要と支払いが増える、というような因果関係です。ハリケーン、干ばつ、洪水、竜巻等の異常気象も、貿易財の価格に影響を与えます。異常気象の予測は難しいですが、暦本「オールド・ファーマーズ・アルマナック」等に目を通したり、天気予報を見て、天気の行方を予想することが、マーケット予測に役立つのです。
季節要因
季節に関連する天候要因は、天然ガスの例のようにわかりやすいものですが、天候に関連しない季節要因というものがあります。例えば、多くの投資家は、年度末に、年始に比べてキャピタルロス(損失)となっている株を、税金対策のために売却します。特に、いち早くポジションを清算することで、年末の急落を避けるメリットがあります。この法則の次の展開として、通常1月、投資家は大挙して株式市場に押しかけます。これが「1月効果」と呼ばれる現象です。為替取引にも法則があります。例えば、複数の国で製品を販売している企業は為替ヘッジの調整のため、月末に為替取引をおこないます。そのため、月末は為替の動きが活発になる傾向があります。これを「月末リバランス」といいます。
ファンダメンタルズ要因は、マーケットに対し、一時的な影響にとどまるものもあれば、長期的にわたって影響を与え続けるものもあります。そのため、ファンダメンタルズ分析のみをもってトレードするのは非常に難しいのですが、一方で、研究熱心なトレーダーにとっては、大変やりがいがある分析手法なのです。ご紹介したファンダメンタルズ要因というのは、無数に存在する要因のごく一部に過ぎません。なぜなら、ファンダメンタルズ分析のメソッドというのは、日々増え続けているためです。経験したことのない状況に直面した時こそ、ぜひ、あなた独自のファンダメンタルズ分析でその状況に向き合ってください。そうすることで、マーケットのその先をいち早く見通すことができるようになります。
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