高度な取引戦略
オープニング・レンジ・ブレイクアウト
ブレイクアウトストラテジーは、数多く存在するトレードストラテジーの中でも、最も人気のあるストラテジーの1つです。これを利用することでブレイクの水準を予測し特定することができ、有利に売り買いすることができます。一般的には、マーケットレートが直近の最高値(または最安値)に近い時に利用されますが、トレンドが出て一方向に強い値動きをする際、そのチャンスを逃さずにエントリーすることが可能となります。
ロンドン・オープニング・レンジが、その一例です。EUR/USDにおいて利用するのが一般的ですが、ユーロクロスの主要通貨ペアでも応用できます。
なお、外国為替市場は平日24時間(=東部標準時における日曜の夕方から金曜の夕方)取引されますが、その間、ユーロクロスのペアは必ずしも一貫した値動きにはならないことに留意しましょう。
下図の通り、外国為替市場は主要4市場に分けられます。
*以下、東部標準時を基準に解説
ロンドン・オープニング・レンジに基づく取引 3ステップ
- まずは、ロンドン市場オープン30分前(=東部標準時2:30~3:00)における高値と安値を確認しましょう。
- このレンジ(=上述の高値および安値のレンジ)に対し、±10pipsか当日のアベレージ・トゥルー・レンジ(ATR)の10分の1を加減した水準で、かつ10分から15分程度はその上(または下)にマーケットレートが安定して留まるようなブレイクアウトのポイントを見つけます。これは、その後のマーケットの流れを読むための下準備です。
- 最後に、1分足、2分足、5分足いずれかのチャート、および移動平均線とオシレーター系指標を組み合わせた分析で、強気バイアス(または弱気バイアス)を確認します。その際、単純移動平均線のタイムフレームは13、指数移動平均線は144と169を利用します。オシレーター系指標として、RSI、ストキャスティクス、CCIを利用します。
また、定時イベント(=主要マーケットのオープンとクローズの時間、通貨オプション取引におけるカットオフタイム、フィキシングの時間等)に加え、影響力のある経済指標やニュースの発表時間も意識しておきましょう。これらを事前に把握し、急変動に巻き込まれないようにしましょう。ちなみに、週の始めまたは前半に、マーケットレートがATRのターゲットに到達した場合には、その週に再びマーケットレートがATRのターゲットに到達する可能性は極めて低くなります。仮に2度目の到達が起こった場合でも、それは同じ向きではなく、通常それは1度目とは上下逆方向での到達となります。
外国為替取引のトレーダーなら、ボラティリティが上昇しだしたら、トレードせずにはいられない衝動にかられることでしょう。その気持ちはわかりますが、仮に、月曜日、火曜日、水曜日と、ATRのターゲットに到達しない場合でも、木曜日と金曜日は、細心の注意を払ってストラテジーに従うようにしましょう。逆に、週前半にマーケットレートがATRのターゲットに到達した場合は、その後の動きは、ダマシやトレンド転換を意識し、週後半は市場の失敗の可能性を踏まえマーケットを見守るようにしましょう。
以下の時間には注意しましょう
上記のような定時イベント直前に値動きが荒くなる場合(=典型的な例として、オシレーター系指標に、ブリッシュ・ダイバージェンスやベアリッシュ・ダイバージェンスが表れている場合)、マーケットの方向性が不安定となるため、前もってポジションを減らすことも検討しましょう。以上のようなアプローチを活用することで、感情に左右されずにトレードすることが可能となります。というのも、トレードが失敗に終わっても、何がいけなったか判断する材料は、あらかじめ定めたブレイクアウトの範囲に限定されるためです。
例:EUR/USDの2分足
上図において、EUR /USDは東部標準時2:30から3:00の間(=ロンドン市場オープン前30分間)に底値をつけていますが、その値動きによって、RSIはブリッシュ・ダイバージェンスを形成しています。そして、その直後、短時間で大きな反発となっています。
一方、全体を通して見ると、常にマーケットレートは、2分足の指数移動平均線(144および169)よりも安定して上方にあり、かつ単純移動平均線(13)はその指数移動平均線の上方にあります。加えて、RSIは判断基準となる40および45の水準でサポートされています。 ※(かっこ内)はタイムフレームの設定数値
東部標準時11:00過ぎ、EUR /USDは再び上昇し、日中のアベレージ・トゥルー・レンジの目標値1.2927にようやく到達しました。その後、東部標準時12:00を前に、RSIで弱気のダイバージェンスが発生しています。