注文の機能自体が、実はリスク管理に役立つ効果的なツールとなります。注文が取引戦略の一部を担っているということを常に意識しましょう。なぜなら、注文方法は損失を抑えるのに大変役立ち、トレード目標を達成するためには欠かせないからです。
どんなマーケットレポートでも取引ガイドでも、リスク管理の重要さが強調されています。 しかしリスク管理といっても、実際どのように始めればよいのでしょう。また、そもそもリスクを管理するというのはどういうことなのでしょうか。このガイドは、金融トレーディングで最も重要なコンセプトのひとつであるリスク管理について、ステップごとに解説していきます。
それでは、リスク管理のたった6つの方法につづき、リスク管理に利用できる注文方法について見ていきましょう。
どれくらいのリスクを見込むか。どのような金融商品を取引するにしても、これは個々人が決める領域といってよいでしょう。取引のレッスンやガイドでは、取引ごとに見込むリスクの金額として口座全体の資産のうち1%、2%、5%などの数字が提示されることがありますが、失うとしても納得できる範囲というのは実際には個々人の経験のレベルによるところが大きいといえます。たとえば経験が浅い場合、取引に関する慣れや知識が十分でないことから、リスクの許容範囲は低いパーセンテージで抑えておくことが必要でしょう。
相場や取引システムに慣れてくると、投資する資金の割合を高めてより大きな取引をしたくなるものですが、そこでしっかりと制限をかけていくことが大切です。どのようなトレーディング手法を用いていても損失が続くことはありますが、トレーディングの目的は、利益を得ることと同時に次の取引を続けられるようにすることにもあるのです。
たとえば、あるトレーディング手法では平均1日に1回の取引を行い、あなたは毎回月初の口座残高の10%の資金を投入するとします。すると、もし毎回すべて損失となる場合、理論的にはたった10回の取引で口座のすべてを失ってしまうことになります。もしあなたが経験豊かなトレーダーであっても、一回一回の取引にこれほど大きいリスクを負うのは不合理と言わざるをえません。
それに対し、もし毎回の取引に当初資金の2%ずつを投入した場合、単純計算では残高がなくなるまで損失を出し続けても50回かかることになります。10回連続の損失と50回連続の損失、どちらが確率として高いでしょうか?
初期残高 | 1回の取引の損失許容割合(%) | 1回の取引の損失許容額(円) | 残高がゼロになるまでの連続負け回数 |
---|---|---|---|
1,000,000円 | 10% | 100,000円 | 10回 |
1,000,000円 | 5% | 50,000円 | 20回 |
1,000,000円 | 3% | 30,000円 | 33回 |
1,000,000円 | 2% | 20,000円 | 50回 |
1,000,000円 | 1% | 10,000円 | 100回 |
取引のリスク管理で大事なことは、どれくらいまで損失を許容できるかを見極め、それにもとづいて値動き1pipあたりの損失額がいくらなら耐えられるかを算出することです。 さて、トレーディングの手法やロジックのパターンはほぼ無限にあるといってよいでしょう。あるものは利益確定や損切りのターゲットをひとつひとつのポジションについて具体的に指定し、またあるものは場合によってかなりの幅を持ったりします。たとえば、あるロジックが毎回20pips離れたところで逆指値注文を出すとして、ドル円のみを取引する場合、設定した目標に対してどれくらいのポジションを建てればよいのかは計算できる範囲にあるといえます。一方で、逆指値注文や取引通貨ペアなどによってパターンを変えてあるロジックの場合、建てるべきポジションの量は読みにくくなります。
つまり、一回一回の取引でリスクを見込む金額を自分でコントロールしやすくすることが重要です。そのための最も簡単な方法のひとつは、値動き1pipあたりの損失額をもとに、ポジションのサイズを細かく調整することです。 ベース通貨が円の場合、ドル円で1pipは価格の0.01です。 FOREX.comにおいてスタンダードロットで取引する場合、基準取引数量は100,000通貨ですので、ドル円で値動き1pipあたり1,000円の損益が出ることを意味します。なお、ミニロットでは基準取引数量が10,000で値動き1pipあたりの損益は100円、マイクロロットでは1,000通貨の取引で値動き1pipあたりの損益は10円です。
もしドル円の取引において、1pipの値動きあたり500円の損益を想定するのであれば、100,000通貨では対応できず、より大きいリスクを背負うことにもなるため、10,000通貨や1,000通貨で取引することになります。同じように、1pipあたり250円の損失を見込むのであれば、100,000通貨や10,000通貨では対応できないため、1,000通貨で取引を組み立てていくことになります。
トレーディングの世界では、リスクに対して調節ができることが重要です。どのような調節がどのような時に必要なのかを把握し、手段を幅広く持っておくことが、成功への要因となっていくでしょう。
トレーディングにおいて最もフラストレーションがたまるのは、利益が出るはずだったチャンスを逃した時でしょう。これは、利益の機会が発生していた時に、何らかの理由で取引できる状況になかったことを意味しています。24時間マーケットが続いているFX取引において、この問題は頻繁に起こっています。特に、短い時間枠のチャートで取引している場合には要注意です。客観的に見てチャンスを逃さなくなるようにするための合理的な解決策は、感情な誤認に左右されない自動売買ロジックを作成するか購入するかでしょう。しかしテクノロジーに対して懐疑的なトレーダー、取引のコントロールを手放したくないと感じるトレーダーも相当数おり、別の解決策も必要です。
要はチャンスが発生した時に、自分で、心身ともにベストなコンディションでその機会を把握し、発注できるようにしておくことが必要だといえます。2-3時間睡眠の体質にすでになっているのでなければ、午前3時に起きて注文を出すスタイルは結果としてあまり報われないでしょう。つまり一般的な生活、仕事や、子どもや、サッカーの練習や、社会生活や、刈り取らなければならない芝生がある人間は、取引に集中すべき時間帯について賢明な判断をする必要があるのです。これはプラットフォームに向かう時間帯の話だけではなく、具体的には使うチャートにもかかわってきます。4時間足、8時間足、または日足チャートなどでの取引が忙しい生活の中ではより適しているといえるでしょう。時間とは、トレーディングの充実感に対して最も重要な要素かもしれません。
また、プラットフォームにアクセスできない時の効果的なリスク管理方法として、トレーリングストップ注文の活用があります。どのようなトレーディング戦略においても、トレーリングストップは最も重要なポイントといえるかもしれません。この注文は逆指値注文ながら、利益の出る方向に価格が推移した際にはそれを追うのですが、逆に突然損失方向に値動きがあった際には、価格の上がったレベルからの値幅で自動的に損切りをしてくれるのです。
マーケット価格が利益の出る方向に動いた際(買いポジションでは値上がり、売りポジションでは値下がり)、逆指値の損切りレベルはマーケット価格にあらかじめ設定した値幅を保ちながらついていきます。その後マーケット価格が損失を出す方向に動くと、近づいていった逆指値レベルはその位置のままとどまっているため、マーケット価格との値幅がせばまります。マーケットが損失を出す方向に動き続けると逆指値で決済されますが、最初に出した逆指値注文のレベルよりは利益のある方向に動いていたため、確定損失を軽減することができるのです。もちろん発注後に一方的に損失方向に値動きがあった場合は通常の逆指値注文と同じですが、トレーリングストップ注文は無理なく確定損失を軽減することができる可能性のある戦略といえるでしょう。
マーケットの参加者にとり、ほとんどのメジャーな通貨ペアのマーケットが米国東部標準時(ニューヨーク時間)の金曜日午後にクローズすることは取引の大前提となっています。投資家は週末に向けていわば荷造りをし、世界中のチャートは止まり、それぞれの価格は次回取引可能になるまで同じ位置でとどまっているかのようになります。しかし、そのとどまっているように見える価格と現実とは違うのです。週末にも様々な要因で価格は事実上動いており、前週のマーケットクローズから週明けにマーケットがオープンし値動きが「見えるように」なる時で劇的に変動することもありうるのです。
このような値動きはチャートにおける価格の「ギャップ」(窓)を作り出し、ストップロスや利益確定のために置いておいた注文のレベルを一気に超えてしまうこともあります。後者の場合は良いことですが、前者の逆指値注文を超えた値動きは好ましいものではありません。逆指値注文は、そのレベルにマーケット価格が達してからベストな価格で執行されるため、このように一気にレベルを超えるケースでは予想していたよりもはるかに大きな損失が出ることもあります。
ギャップ(窓)は必ずしも頻繁に発生するものではないものの、不意をついて起こるものです。右図の例のように、ギャップが非常に大きく発生して逆指値注文を超えてしまうこともあります。このようなケースを防ぐには週末を迎える前に取引を一旦手仕舞っておくことですが、一方で高度なギャップトレーディングの手法で逆にチャンスを狙うという方法もあるでしょう。ギャップとスリッページの取引戦略についてもご覧ください。
指標発表などのニュースイベントは、リスク管理の観点から言っても特に危険性が高いものといえるでしょう。雇用統計、中央銀行の決定、インフレ率レポートなどの特定の発表が、異常に大きい値動きを引き起こし、週末ギャップのような価格のジャンプをより急激に発生させることがあります。週末にかけて指値や逆指値のレベルを超えてしまうようなことが、大きなニュースイベント後たった数秒で起こることもあるのです。もしニュースイベントの影響を見越して、戦略的にリスクを取ってあえてイベント前から取引をしておくのでなければ、通常はボラティリティの高まるイベントの後に取引するほうが安全性の高い決断だといえるでしょう。
責任あるトレーディング関連機関が常に強調する教えがあります。それは、「失える範囲以上の投資を絶対にしてはならない」というもの。このモットーがこれほど広がっているのは、やはり理にかなっているからです。トレーディングは本来リスクのあるもので、難しいものです。どのような動きを見せるかわからず予測も難しいマーケットに生活に必要な分までつぎこんでしまうのは、ラスベガスのカジノのルーレットテーブルで赤か黒のどちらかだけに全財産を賭けるのに等しいのです。あなたの取引口座にあるものは、簡単に得られたものではありません。その大事な資金を簡単に失うことのないように、常に長期的な視野で、情報と戦略にもとづいたリスク管理で投資してください。
さて、以上6つのリスク管理法、いかがでしたでしょうか。もちろん、投資の目標を達成し、トレーダーとして成功するためには、まだ他にも考慮すべき要素があります。ただ、リスクの管理をあらかじめ積極的に進めることによって、長期的な成功の可能性は高めていけることでしょう。
ストップオーダー(逆指値注文)は、損失の限定、または下振れリスクの管理に最も利用される注文方法です。
特に負けているときがそうですが、何らかのプレッシャーを感じ、ありえない期待を抱き、頭が混乱してしまうことがあります。ストップオーダーなしでポジションを持った場合、「もう1回だけ(戻って欲しい)」という期待をマーケットのパラドックスとして認めることになってしまいます。
トレーリングストップオーダーを利用することで、利益の確保と、下振れリスクの限定を同時におこなうことができます。
特定のポイントで利益を確定させる、という判断が難しい場合があります。そんなときは、できるだけ利益を増やそうと限界までポジションを持とうとするかもしれません。とはいえ、それでも損失は限定したいと思うはずです。そのようなシナリオでは、トレーリングストップオーダーが最適です。トレーリングストップオーダーであれば、上振れの際は利益を伸ばし、下振れの際は損失を限定する、という流動的な対応が可能となります。
リミットオーダーやストップオーダーは、どの水準で成行注文を出すか、という注文方法ですが、それとは異なり、トレーリングストップオーダーでは、直近のレートから何pip動いた場合、という指定ができます。そして、マーケットがフェイバーに動いた場合、指定したpip数をキープしてその注文を継続することができます。マーケットレートが思惑とは反対に指定したpip数悪化した場合には、成行注文が発注され、その時点の流動性に基づいたレートで決済されることになります。
実りある投資活動に向け、私たちが提供する情報コンテンツFOREXラボをぜひご活用ください。
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