米国PCEインフレ率の軟化を受け、米ドル/カナダドルのレンジは不安定になる可能性

Article By ストラテジスト

米ドル見通し:米ドル/カナダドル


米ドル/カナダドルは、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利決定後の下落を戻そうと今週の高値1.3238ドル)に接近しているが、米国から発表される個人消費支出PCE価格指数インフレ率の鈍化を示すと見込まれているため、米ドル価格の足を引っ張る可能性がある。

米国PCEインフレ率の軟化を受け、米ドル/カナダドルのレンジは不安定になる可能性

米ドル/カナダドルは今月初めに今年の安値(1.3093ドル)を記録した後、価格が収束してレンジ相場で推移していた。FRBの利上げに対する反応は限定的で、政策の歩行転換が間近に迫っているとの思惑の中、為替レートは規定のレンジ内に収まる可能性がある。
David Song市場ファンダメンタルズの概況を語るWebセミナーにご参加ください。Davidが市場の動きを解説し、リアルタイムで質問に答えます。ここから登録

出典: CME

CMEFedWatchツールによると、市場関係者は2023年末にフェデラルファンド金利が5.25%5.50%になる確率を60%以上と見ている。FRBが利上げサイクルの終わりに近づいているように見えることから、米国の金融政策をめぐる思惑が米ドル/カナダドル価格を左右するだろう。

米国経済カレンダー

FOREX.com Economic Calendar

結果として、PCEの最新値公表が米ドル/カナダドルの足を引っ張る可能性がある。FRBがインフレの指標として重視しているコアPCEは、前月の前年比4.6%から6月には4.2%に縮小すると見られており、FRBは「会合の都度意思決定を行う」と公言していることから、物価上昇率の著しい鈍化によって連邦公開市場委員会(FOMC)は傍観の姿勢に転じる可能性がある。

しかし、コアPCEが予想を上回った場合にはFOMCに引き締め政策を求める圧力がかかるため、ドルは強気に反応するだろう。9月の会合では経済予測サマリー(SEP)の更新が予定されているが、パウエル議長らがフォワードガイダンスを調整するかどうかは未知数だ。

それまでは、FOMCとカナダ中銀(BoC)がインフレ対策を続けてる中、米国とカナダから発表されるデータが米ドル/カナダドルに影響を与える可能性がある。とはいえ為替レートは狭いレンジ内で推移しているため、今年の安値(1.3093ドル)からの回復は短期間で終わる可能性がある。

以上をまとめると、米PCEの顕著な鈍化が米ドル/カナダドルの足を引っ張る可能性がある。為替レートは前月中に移動平均線を押し上げることができなかったことから、50日間移動平均(1.3309ドル)の負の傾斜に追随する可能性がある。

カナダドル価格チャート - 米ドル/カナダドル日足

チャート作成:ストラテジスト、David Song TradingViewの米ドル/カナダドル価格

  • 米ドル/カナダドルは50日間移動平均(1.3309ドル)を上抜けできず、今年の安値を更新した(1.3093ドル)。為替レートは1.3230100%のフィボナッチエクステンション)~1.331050%のフィボナッチリトレースメント)を超えるのに苦戦しているため、移動平均の負の傾斜に追随する可能性がある。
  • 今年の安値(1.3093ドル)を守れなかった場合、米ドル/カナダドルは1.2980ドル(61.8%のフィボナッチリトレースメント)~1.3030ドル(78.6%のフィボナッチエクステンション)付近へと押し戻される可能性があり、次の注目エリアは20229月の安値(1.2954ドル)付近となる。
  • とはいえ米ドル/カナダドルは先週のレンジ内で推移しているため、引き続き堅調に推移する可能性あり、1.3230ドル(100%のフィボナッチエクステンション)~1.3310ドル(50%のフィボナッチリトレースメント)付近を超えると、月の高値(1.3387ドル)が視野に入ってくる。



  1. 口座開設ページでご自身に最適なFOREX.com口座を選択
  2. 必要書類のアップロードとともに口座開設のお申込み
  3. 取引プラットフォームにログインしてお取引開始


本レポートに記載されている情報や見解は、一般的な情報としての使用のみを目的としたものであり、FX、CFD、その他あらゆる金融商品の購入や売却に関する勧誘や依頼の意図は全くありません。本文書に記載されている見解や情報は、予告や通知なく変更されることがあります。本文書は、特定の投資目的や背景、特定の受領者の意思などに沿って書かれ配布されたものではありません。本文書内で引用・言及されている過去の価格データは、当社独自の調査や分析に基づいており、当社はそのデータの提供元やそのデータそのものの信頼性につき、いかなる保証もせず、また筆者や訳者、各国の支社・ 支店も、本文書の内容の正確性や完全性についても一切保証しません。本文書については英語版を原本とし、翻訳版と原本に相違がある場合には、原本の内容が優先するものとします。本文書の内容に基づく直接または間接の損失、そして本文書を信頼したことにより生じた損失についても、当社は一切その責を負いません。