マーケット概要
- 米国のインフレ率はほぼ予想通りで、7月のPCEとコアPCEは前月比0で0.2%の上昇となった。前年比も予想と変わらず、PCEは前年比3.3%上昇、コアPCEは同4.2%上昇した。
- しかし、個人消費は前月比0.8%増と8ヵ月ぶりの高水準に達し、金利上昇にもかかわらずトレンドは明らかに上昇している。
- ADP雇用統計に血の気はなく、新規失業保険申請件数と継続失業保険申請件数はほぼ目標通りだったが、レイオフ件数は7万5,000件(前年の3倍)、前年比で267%の増加となった。
- 米雇用市場には徐々に亀裂が生じつつあるが、雇用者数の減少による興奮はNFPを前に一転しているようだ。個人消費の上昇は「より高い金利をより長期的に続ける」というシナリオでの想定通りであり、必ずしもFRBからの追加利上げを意味するわけではない。
- これにより米ドルは3日間わたって続落し、ドルインデックスは日足で強気の包み足を形成した。
- しかし金曜の主要外国為替市場で最も強さを見せたのは日本円で、「為替はインフレに大きな影響を与える」として中央銀行が円相場を注視しているとの日銀総裁の発言に助けられた可能性がある。
- 欧州中央銀行(ECB)のタカ派として知られるイザベル・シュナーベル総裁が、ユーロ圏の経済成長が予想より低調であると指摘した後、ユーロは欧州および米国での取引時間中に下落した。金融市場では、9月に25bpの利上げが実施される可能性の見込みを50%から30%に引き下げ、これが欧州時間から米国時間にかけてユーロの重荷となった。
- S&P500指数とナスダック100指数は5ヶ月連続で上昇し記録を更新した後、8月に首吊り線の反転パターンを示した。過去30年間にわたって、9月の平均リターンがマイナスだったことは注目に値する。
- WTI原油は、ドル安とOPEC+による減産延長への期待により、83.50を上回り、過去20年間で最も強気な1日となった。これで原油は3ヶ月にわたって値上がりしている。
- 8月の外国為替主要ペアは米ドルが最も強く、コモディティ通貨ペアはニュージーランドドル、オーストラリアドル、カナダドルが最も弱かった。
- 中国のPBOC(中国人民銀行)は、不動産市場とより広範な経済を支援するため、1回目および2回目の住宅購入者の借り入れ金利を引き下げ、金融機関に既存の住宅ローンの金利引き下げを奨励するという、さらなる刺激策を提供した。
注目のイベント(オーストラリア東部時間):
- 09:00 – オーストラリア製造業PMI(最終)
- 11:30 - オーストラリアの住宅ローン、投資家向けローン
- 11:45 - 中国製造業PMI (Caixin)
- 17:55 – ドイツ製造業PMI(最終)
- 22:30 - 米非農業部門雇用者数、失業率、平均所得
- 22:30 - カナダ四半期GDP
- 23:45 - 米製造業PMI(最終)
- 00:00 - ISMサービス部門PMI
米ドル/円のテクニカル分析(1時間足チャート):
木曜日の米ドル/円では、日銀が為替市場を注視していることを再度示唆し、また円がドルの強さに立ち向かったことから、弱気の包み足が形成された。米国セッションの開始時には取引高と価格がともに上昇したが、ほどなくして弱気筋が優勢となり、高い取引高のまま新たなサイクルの安値を付けた。相場は上昇傾向で推移しており、日足のピボット・ポイントである安値の1.4517を再び試す可能性がある。今の段階では、筆者としてはスイングハイの証拠を注視しつつ、2022年10月の安値/6月の高値をサポートレベルとにらんでショートを仕掛けたいところだ。この時点では、NFP発表まで値下がりが続く可能性がある。あえて推測するなら、NFPがまずまずかそれ以上の数字になれば米ドルの価格を支えることになるだろう。
ユーロ/円のテクニカル分析(日足チャート):
日銀の警告的な発言と、ECB関係者の比較的ハト派的な発言が重なり、木曜日のユーロ/円はここ5週間で最悪のセッションとなった。日足では、弱気に近い包み足が形成された(始値は前日終値のすぐ下だったが、センチメントが良くない)。RSI(14)では数カ月にわたって弱気傾向で、2023年の強気トレンドは6月以降明らかに勢いを失っている。
円安がターニングポイントに近づいている(あるいはすでにそこに来ている)可能性が高まっていることから、ユーロ/円価格はピークを過ぎたと筆者は推測している。NFPの発表が控えていることから、おそらくユーロ/円では昨日のレンジ内でリトレースメントが起きるだろう。しかし弱気筋はブレイクダウンを見込んでより短い時間枠でスイングハイを狙うか、あるいは単純に昨日の安値を割り込むまで待つかもしれない。最初のターゲット価格は月足でのS1ピボット/155.34円の安値付近となる。
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