米国の11月のCPIは、2か月連続で市場に驚きを持って迎えられた。総合CPIは前年比7.1%。予想は前年比7.3%、また10月は前年比7.7%だった。これは昨年12月以来の最低値で、また6月に前年比9.1%でピークを記録して以来、5か月連続で低下したことになる。10月の値も8%という予想よりははるかに低いものだった。さらにコアCPI(価格変動の激しい食品とエネルギー製品を除外したもの)は前年比6%で、予測は前年比6.1%、先月の値は前年比6.3%だった。 これは9月以来最低の数値で、同月に前年比6.6%でピークを迎えて以降、2か月連続の低下となる。
FOMCの政策金利決定会合は明日行われるが、FRBのパウエル議長は利上げが50bpにとどまることを市場に対して示唆している。 11月30日に行われたブルッキングス研究所での講演で、パウエル議長は「FOMCは12月の会合前後で利上げのペースを落とす可能性がある」と述べた。これを受けて、市場は利上げ幅の50bpへの引き下げを既定路線と考えている。CPIが発表される前、市場では50bpの利上げが実施される確率を77%、75bpの利上げが実施される確率を23%と見込んでいた。CPI発表直後、この割合はわずかに変化し、50bpの利上げの見込みが80%、75bpの利上げの見込みはわずか20%となった。 FOMCが利上げを25bpに抑え、皆を驚かせる可能性はあるだろうか。さすがにそれは無いだろうが、「ドットプロット」、 つまり具体的には「利上げの終点となるターミナル・レートをFOMCがどこに設定するか」には影響を与えそうだ。 この点は経済予測サマリーのデータの中でも最大の注目ポイントとなるだろう。
CPIの発表直後、ユーロ/米ドルは1.0554ドルから1.0649ドルにまで跳ね上がった。 本稿執筆時点で、このペアは今日の高値圏にあたる1.0673ドル近辺で取引されている。
出典: Tradingview、Stone X
日足で見ると、EUR/USDは、2月の高値1.1495~9月の安値0.9536まで1年の大半を下落して取引されていた。 以降、このペアは長期下降チャネルを上抜け、上昇ウェッジを上向きに推移している。 その間、EUR/USDは年初来高値~安値までの50%フィボナッチリトレースメントとなる1.0515に到達。価格は上昇ウェッジ上限に近づくと、下にブレークすることが予想される。 これは明日のFOMC会合後に起こる可能性もあるが、本日の指標発表後、このペアは水平レジスタンスを上に抜けた。
出典:Tradingview, Stone X
4時間足では、もしEUR/USDが上昇を継続するなら、次のレジスタンスは年初来高値~安値の61.8%フィボナッチリトレースメントレベルである1.0747だ。 そこを抜けると、価格は、前回高値の1.0787、次に3月28日安値の1.0945まで動く可能性がある。 一方、明日のFOMCがもう少しタカ派的な内容となれば、米ドルは回復する可能性があり、EUR/USDは下落するだろう。 最初のサポートは12月7日安値の1.0431だ。 そこを割ると、長期水平サポートが1.0350/1.3360付近にある。その次が11月21日安値の1.0223だ。
出典:Tradingview, Stone X
米CPIが2か月連続で予想を大きく下回っており、明日のFOMC会合が注目されることは間違いないだろう。 ここで多くの疑問が生じる。委員会は依然として予想通り50bpの利上げを行うだろうか?FOMCはこの利上げサイクル中のターミナルレートをどう見ているのか? いかなる新しい疑問が生じたとしても、唯一わかっていることは、インフレがまだ比較的高いものの、正しい方向(下)へ動いているということだ。
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