米国のコアPCE(個人消費支出)は、常にFRBが好んで参照するインフレ指標と言われてきた。 昨日のブルッキングス研究所での講演でもFRBのパウエル議長がそのことを認めており、結果、木曜に発表される10月のコアPCEには特にトレーダーたちの注目が集まっていた。 結果は市場の予測とほぼ一致するものだ。 総合PCEは、予想値の前年比5.9%、および先月の前年比6.3%に対して、前年比6%となった。 さらに重要なコアPCEは、予想値の前年比5%、および9月の前年比5.2%に対して、前年比5%となった。水曜の講演でパウエル議長は、おおかた2023年中はインフレが続くと思われるが、その勢いは弱まるだろうと述べていた。 その結果パウエル議長は、事実上、FOMC の12月の会合での利上げがわずか50bpにとどまることを市場に伝える形となった。 加えてパウエル議長は「インフレ減速の証拠が十分にそろうまでは金利の引き締めを続ける」とも述べた。 インフレ率が(予定通りの方向をたどっているとはいえ)FRBの目標とする2%を大きく上回っていることから、今後FOMCがどの程度の利上げを実施するのかを考慮する必要がある。CME FedWatchツールによれば、現在、市場は12月に50bpの利上げ、2月に25bpの利上げ、3月に25bpの利上げを見込んでいる。今後コアPCEが数か月にわたって下がり続けた場合、FOMCは3月よりも前に利上げを停止するだろうか。
ユーロ/米ドルは9月28日から値上がりを続けている。この日は米国ドル指数が最高値を付けた日だ。 最近では、過去の安値と200日移動平均にあたる1.0348~1.0368ドルの重要なレジスタンスラインに入りつつある。 しかしパウエル議長の講演後に米ドルが売り展開に入ったことから、ユーロ/米ドルの価格は引き続き押し上げられている。 今日、この通貨ペアは2月10日の高値(今年に入ってから当時までの最高値)から、9月28日の安値(今年に入ってから当時までの最安値)までの50%リトレースメントレベルにあたる1.0515ドル付近に到達した。
出典: Tradingview、Stone X
より短い240分足では、ユーロ/米ドルは1.0482の高値を付けてからフラッグパターンを形成した。 その後、この通貨ペアは11月10日の安値から11月15日の高値までの50%リトレースメントレベルにあたる1.0226ドルあたりまで戻り、その後も値上がりを続け、フラッグパターンから上に抜けた。 フラッグパターンのターゲット価格は、ブレイクアウト地点からフラッグポールの高さを足した位置で、この場合のターゲットは1.0760ドル付近となる。 日足チャートに戻ってターゲットの前のレジスタンスレベルを確認すると、最初の水平レジスタンスラインは6月1日の安値にあたる1.0627ドル。 そこを抜けると、 今年の最高値から今年の最安値までの間の61.8%のフィボナッチリトレースメントレベルにあたる1.0747まで値上がりしうる。 しかしレジスタンスラインが破られなかった場合、最初のサポートレベルは200日移動平均と以前のレジスタンスエリアに相当する1.0348ドルから1.0368ドルの間。 そこを割ると、ユーロ/米ドルは11月30日の安値である1.0290ドル、さらに11月21日のフラッグパターンの底を成す1.0226ドルまで下がりうる。
出典:Tradingview, Stone X
パウエルFRB議長の水曜日のブルッキングス研究所での講演によると、FOMCは利上げを50bpに「とどめる」だろう。 これは木曜日のコアPCEの結果(FRBが好むインフレ指標)が低かったことが部分的な理由になっている。 もしコアPCEが今後も下がり続ければ、FRBは予想よりも利上げを縮小することになるか、あるいは年末前に利下げさえあるかもしれない。それが米ドルへの圧力となるだろう。したがって、EUR/USDは買われる可能性がある。
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