主なまとめ
- FRBのジェローム・パウエル議長は、25bpの利上げは確定事項ではなく、経済データから必要と判断されれば利上げペースを上げる可能性が高いと述べた。
- 明日予定されている追加証言は、3月21~22日に行われるFRBの次の会合を前にした、パウエル議長の最後の公的な発言機会となる。
- 好調な経済データを受けて、政策金利に対する投資家たちの予想は移り変わっており、今年の半ばに5.5%前後まで引き上げられ、2023年中はこの利率が維持されると見られている。
今朝、連邦準備制度理事会のジェローム・パウエル議長が議会の公聴会で証言に立ち、25bpの利上げは確定事項ではないと述べた。パウエル議長は、好調が続く今年の経済活動を踏まえ、中央銀行の担当者は政策金利の引き上げを加速させる必要が出てくるかもしれないという自身の考えを示し、さらにこの状況から、高インフレと戦うために、当初の見込みよりも高い金利設定につながる可能性を示唆した。
パウエル議長のコメントは上院銀行委員会の前に準備されたものだ。パウエル議長は最近の経済データが予想を上回る力強さを見せていることを強調し、そのために最終的な金利はこれまでの予想より高くなる可能性があることを示唆している。また同様に、パウエル議長は経済データから金融引き締めの加速が必要と判断されれば、FRBは利上げのペースを上げる用意があるとも説明した。
それに加えてインフレ率を2%に引き戻す道のりは長く、おそらくは険しいものになるだろうとも述べている。米国のインフレはここ数か月で緩和しているものの、パウエル議長はFRBが引き続き各会合ごとに決定を下していく方針であることを明らかにした。
引き続き好調な経済データ
2月に行われたFRBの前回の会合以降、いくつかの経済データが発表されたが、雇用市場、支出、インフレ率はいずれも予想を上回るものだった。データの上方修正もあり、インフレ率と労働力需要は当初の報道ほどには落ち着いていなかったことも明らかになっている。広汎な経済データが反転上昇していることと、前四半期の数値の上方修正も合わせ、パウエル議長はインフレ圧力が当初予想されているよりも強いという見方を示した。
そして金利を上げることで、企業の投資、支出、雇用を抑制しようとしていると述べている。つまり資金の借り入れコストが高くなり、株や不動産と言ったリスク資産の値下がりにつながる。
パウエル議長の今週の証言は、政策金利決定に関しては予定されている中で最後の公的な発言機会となる。つまり3月21日から22日にかけて行われるFRBの次の会合を前に、パウエル議長が市場の予測形成に関わる最後の機会ということだ。FRBの委員は市場が閉まっている土曜日の静かな時期に事前会合を始める。
注意しておきたいのは、今週が終わればパウエル議長が市場を誘導するのは難しくなるということだ。広く注目を集めており、委員の審議に影響を与えうる2つの経済データ、つまり金曜に発表される非農業部門雇用者数(NFP)と来週の消費者物価指数(CPI)は、パウエル議長の証言と次のFRB会合の間に発表されるためだ。
50bpの利上げが視野に入るか?
FRBの委員のうち数名は、ここ数週間のうちに今年の利上げ幅が当初の見込みよりも高くなる可能性を示唆している。3つの地域連銀の総裁は、先月、または次の会合で50bpの利上げを支持する可能性に言及した。
最近の好調な経済データから、投資家たちの予想も移り変わっている。FRBの前回の会合では、金利先物市場の投資家たちは、フェデラル・ファンド金利が今年あと1度だけ引き上げられ、4.9%をピークとして秋には引き下げが始まると見込んでいた。
CMEのFedWatchツールによると、現在、投資家たちは60/40の割合で、あと2週間で50bpの利上げが行われ、ピーク金利が5.5%となる可能性を見込んでいる。
出典: CME FedWatch
英ポンドのテクニカル分析--英ポンド/米ドルは2023年の安値を試す展開に
当然ながら、パウエル議長のコメントを市場が「より長期間、より高金利が続く」と解釈したことで、米ドルがひとり勝ちの様相を呈している。英ポンド/米ドルは今日特に値下がりしており、以前のサポートレベルだった1.1900ドルを割り込んで、今年の最安値を試す展開になっている。
1月6日の安値である1.1840ドルを割ると、すぐ下では38.2%で1.1640ドルの史上最安値まで下がる可能性も見えてくる。この時点では、1.1900ドルを再び上回れば短期的な弱気相場の見通しが打ち消されるだろう。
出典: StoneX,、TradingView
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