FOMCパウエル議長、経済クラブの談話でも「タカ派的姿勢の弱い」発言

本日ワシントン経済クラブで行われた質疑応答でも、FOMCのパウエル議長はタカ派的姿勢を弱めた発言を続けた。  初めにパウエル議長は、インフレ緩和プロセスが始まったことに再度言及した上で、その道のりは平坦なものではなく  長い時間のかかるプロセスになるだろうと述べた。  その結果、まず米ドルでは売りが広がり、株価は上昇した。  パウエル議長は、非農業部門雇用者数が517,000人というサプライズが、インフレ緩和のプロセスが平坦なものにならないという証左だとした。  具体的にはどれほど長いプロセスになるだろうか?  パウエル議長は、2023年は目に見えてインフレ率が下がる年になり、目標とする2%に戻るまではおそらく2024年までかかるだろうと語った。  しかし同時に「まだ十分な引き締め水準に達していないことから、現在進行中の利上げは適切なものになると見込んでいる」、そして  「一定期間にわたって金利の引き締めを維持する必要がある」とも述べた。  今後の雇用データについては、「好調な雇用市場が続くようであれば(つまりインフレが続くようであれば)、さらに手を打たなければならない」と語った。  結論としては、FOMCの今後の利上げについてはデータに応じて決まると考えるのがおそらく妥当だろう。

インフレ緩和のプロセスが始まりつつあるという発言をパウエル議長が繰り返したことから、米ドル指数は当初売り展開となった。市場はこの姿勢を(先週のFOMC会合後の記者会見と同様)ハト派的なものと見なしたのだ。米ドル指数の今週の始値は先週末よりも下がっており、サポートラインが維持されたことが見てとれる。  しかし非農業部門雇用者数のレポートがFOMCの今後の見通しには何ら影響を与えなかったことが明らかになると、指数は値上がりし、パウエル議長のスピーチの開始時点と変わらない水準に戻った。結局、米ドル指数は30分弱で103.65から103.00まで値下がりし、その後の1時間で反発して完全に元の価格に戻った(さらに値上がりした)。

出典: TradingviewStone X

ユーロ/米ドルも同様の値動きを見せたが、方向は米ドル指数と逆だった。この通貨ペアは最初の30分で1.0697ドルから1.0767ドルまで上がり、その後の1時間で元の価格に戻った。

出典: TradingviewStone X

ユーロ/米ドルは202211月中旬から値上がりを続けてチャネルを形成している。  21日のFOMC会合後にはチャネル上端の上向きのトレンドラインを突破したが、  22日には1.1033ドルの高値に到達した後、ECB会合が終わると値下がりに転じた。  これで価格はチャネルの内側に戻り、その後も値下がりが続いている。  今日、ユーロ/米ドルはチャネル下端のトレンドラインと50日間移動平均に達し、その後今日の始値とほぼ変わらない位置まで戻っている。  もし価格が下がり続けた場合、チャネル下端のトレンドラインより下での最初のサポートラインは2022113日の安値から22日の高値までの38.2%のフィボナッチリトレースメントにあたる1.0535ドル。  その下では、16日の安値である1.0482ドル、さらに上記期間の50%のリトレースメントレベルである1.0380ドルまで値下がりする可能性がある。  しかし現在のチャネルでのサポートラインが維持された場合、最初のレジスタンスラインはチャネル上端のトレンドラインにあたる1.0995ドル付近、その後は22日の高値である1.1033ドル。  そこを超えて値上がりした場合は、次のレジスタンスラインは2022331日の高値である1.1185ドルとなる。

出典: TradingviewStone X

FOMCのパウエル議長はインフレ緩和のプロセスが始まったと繰り返し、それをきっかけにユーロ/米ドルの急騰が起きた。  しかしその後はFOMCが利上げを続けるという発言を繰り返したため、再び値下がりして元の水準に戻った。  確実に言えるのは、パウエル議長は以前ほど強硬なタカ派姿勢を取っているわけではなく、今後75bpの利上げのサプライズはなさそうだということだ。  市場は「そこまでハト派的ではない」パウエルの発言を好意的に受け取っているようだ。  この姿勢がいつまで続くか注目したい。




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