2023年の金融政策決定会合での日銀の動きは以下の通りだった。
- 金利は-0.1%に据え置き
- 10年物国債の金利目標は「およそ」0%に据え置き(変動許容幅±0.5%)
- 現在の政策の維持には全員が賛成
- トランプをする (真偽不明)
経済活動の見通しとしては、
- 日本経済は予測対象期間の半ばで回復する可能性が高い
- コモディティ価格の高騰と海外の景気停滞が景気の下降圧力に
- CPI(生鮮食品を除く全品目)は短期的には比較的高い状態が続く
- インフレ率は2023年半ばごろに下降すると思われる
- 2022年~2023年の経済成長率は過去の予測よりも多少下がると見込まれる
筆者がこれまで述べてきたことをあらためて繰り返そう。日銀会合では市場の予測に沿った対応は絶対に取らない。日銀が何もしないという公算が高い時には、全く予想されていなかった政策変更を行って市場を驚かせる。
市場の期待が高まっていたにもかかわらず(おそらくは期待が高まっていたからこそ)、日銀はYCCの目標値を変更も廃止もせずそのままにしたのだ。政策金利は予想通り-0.1%に据え置かれたが、私が疑っていたようにインフレ目標を変えることはなかった。最大の変更点はどうやら「気候変動対応のための資金供給スキーム対象機関」を広げた程度で、記者会見を前に全体としては何も話題はない。
反対者が出なかったことは驚くべきだろう。委員会の全員が今回の会合で政策を変更しないことに賛成したということだ。4月に後任と交代する前に、黒田総裁が何らかの形で政策の総括をする気があるという予測も疑わしくなってくるかもしれない。こうなると、今月初めのような予定外の政策変更、または3月10日の自身最後の会合で黒田総裁に一波乱起こす意図がある、という可能性が残る。
円・日経上昇、国債利回り低下
まだ記者会見を待っているところなので、もしかしたら何らかの隠しネタがあるかもしれない。しかし、今のところは、タカ派の会合となることを信じて先手を打っていた人たちが慌てて逃げ出したため、日本円は広範囲にわたって弱くなっている。
10年物国債利回りは、原資産価格がハト派的となった会合で急騰したため、急落した。この点では、会合は成功と言えよう。日銀は低利回りを望んでいるからだ。あとは17:30(日本時間)に行われる記者会見を待つのみだが、新しく追加されるものが何もなければ、円は安くなり(USD/JPYは強気)、日経は上昇するだろう。
日経週足チャート:
最新ライブストリームでもおわかりのように、日経は200日移動平均線付近でトリプルボトムを形成しようとしている。そのため、ボトム部分から大幅に上昇し、週足で包み足となる軌道だ。25,500円下抜けを躊躇していることから、ファンダメンタルズに関係なく、レジスタンスとなる27,400円付近の窓を埋めに行くのではないだろうか。その場合、強気筋は、より短い時間足を詳細に調べ、自分の基準に合ったエントリーを探すことになる。
AUD/JPY日足チャート
豪ドル/円は現在の水準付近で、特に日足ベースで92.00付近か、それを上回って引ければ、おもしろい展開となりそうだ。本日は200日移動平均線、90.89~91.43のレジスタンスゾーン、そしてトレンドのレジスタンスを上回って陽線で引けようとしている。もちろん、本日の記者会見でタカ派的なバズーカがあれば、急落する可能性もあるが、そうでなければ、最低限のレジスタンスへ向かって上昇の道を歩むかもしれない。
- 口座開設ページでご自身に最適なFOREX.com口座を選択
- 必要書類のアップロードとともに口座開設のお申込み
- 取引プラットフォームにログインしてお取引開始
本レポートに記載されている情報や見解は、一般的な情報としての使用のみを目的としたものであり、FX、CFD、その他あらゆる金融商品の購入や売却に関する勧誘や依頼の意図は全くありません。本文書に記載されている見解や情報は、予告や通知なく変更されることがあります。本文書は、特定の投資目的や背景、特定の受領者の意思などに沿って書かれ配布されたものではありません。本文書内で引用・言及されている過去の価格データは、当社独自の調査や分析に基づいており、当社はそのデータの提供元やそのデータそのものの信頼性につき、いかなる保証もせず、また筆者や訳者、各国の支社・ 支店も、本文書の内容の正確性や完全性についても一切保証しません。本文書については英語版を原本とし、翻訳版と原本に相違がある場合には、原本の内容が優先するものとします。本文書の内容に基づく直接または間接の損失、そして本文書を信頼したことにより生じた損失についても、当社は一切その責を負いません。