予想を上回る非農業部門雇用者数。FOMCの計画は変わるか?

1か月前、10月の米国非農業部門雇用者数の予想は20万人で、実際のデータは261,000人だった。  11月の予想値もやはり20万人。  しかし実際に米国経済で増えた非農業部門雇用者数はなんと263,000人だった。  加えて10月の数値も284,000人に上方修正されている。  しかし今日発表された中で最もインパクトの大きい経済データは平均時給かもしれない。11月の値は前月比0.6%で、前月比0.3%という予想を大きく上回った。  加えて10月の数値も前月比0.5%に上方修正されている。  前年比では4.9%から5.1%に上昇した。  今週初めにFRBのパウエル議長がブルッキングス研究所で講演を行った際、賃金上昇がインフレに寄与するとは見ていないと述べていたが、今日発表されたデータでこの見方は変わるだろうか。  パウエル議長は12月の会合での利上げを50bpにとどめることを示唆した。雇用市場の好調が続き、平均時給が大きく上がったことで、パウエル議長は考えを変えるだろうか。

米ドル指数の動きからは、次回の利上げが75bpとなる可能性が見込まれているように思われる。  今回の値が公表された後、米ドル/円は134.1ドルから135.98ドルに急騰。賃金上昇がインフレに影響を与え、FOMC12月の利率決定で路線変更を迫られるかもしれないと、トレーダーが懸念したためだ。

出典: TradingviewStone X

NFPのデータが米ドルに有利だったことに加え、 この利上げへの懸念も手伝って、米ドル/円は一時200日移動平均に相当する134.50円を割り、 34日の安値から1021日の高値までの50%リトレースメントにあたるサポートラインへ向かった。またRSIが売られすぎを示したことから、この通貨ペアは今後反発に向かう条件が整っていると見られる。  今日、現在の水準(135.30ドル付近)のローソク足で取引が終われば、トンボ同事線が引かれるだろう。  RSIが売られすぎの水準になっていることから、この同事線は力強い反発のシグナルになりうる。

出典: TradingviewStone X

4時間足チャートでは反発が継続し、USD/JPYが上昇すれば、最初のレジスタンスは1110日からの下降トレンドラインと1128日の安値が交わる位置だ。  そこを抜けると、水平レジスタンスが1130日高値の139.89、その次が1121日高値の141.21となる。  一方、長期トレンドが続けば、最初のサポートレベルは本日安値と上述した50%リトレースメントレベルの133.30133.62が重なる位置となる。  そこを割ると、82日安値の130.39付近にサポートがあり、その下は、先に述べた期間の61.8%フィボナッチリトレースメントである128.90だ。

出典:Tradingview, Stone X

今回の非農業部門雇用者数と平均時給の結果は、1214日に開かれるFOMCでの政策金利決定に重要となるだろうか?  米雇用統計は比較的強い結果となり、FRBが利上げする際の好材料となっている。  しかし、この雇用統計は、平均時給の上昇と合わせ、また別の話かもしれない。  パウエル議長と理事らは計画を守り、50bpの利上げにとどめる可能性もある。  それでも、必要と見れば、後に利上げする可能性もないとは言い切れない。

 

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