円分析:米国CPI発表を控え、米ドル/円は再度143.00円に
米ドル/円のまとめ
- 日銀はイールドカーブコントロールの一部を緩和するという紛らわしい決定を下し、正式な利上げがさらに先送りされる可能性が出てきた。
- 円安が本格的に再開し、本稿執筆時点では米ドル/円はふたたび143.00円を超えている。
- 明日発表される米国の消費者物価指数(CPI)次第では、7月初旬の高値である145.00円近辺を目指して強気な展開が続く可能性がある。
米ドル/円 ファンダメンタルズ分析
米ドル/円のトレーダーならすでにご存知のとおり、日銀は最近、かなり混乱を招く決定を下した。イールドカーブコントロールの幅を広げ、10年物国債利回りの上昇を1.00%まで許容しつつ、望ましい目標値は依然として0.5%とした。実質的にはこれは小幅な利上げとして作用し、日本の10年物国債利回りは発表前の0.45%から、今日の時点ではおよそ0.55%まで上昇している。
インフレの進行に対抗するため、日銀が他の先進国とともに利上げに踏み切ることを期待していたトレーダーにとっては、この「動き」はかなり物足りないものであり、新たな円売りの波を巻き起こした。日米の10年物国債利回りのスプレッドは3.4%程度と日銀会合前の水準に近く、さらに日銀の利上げ観測が後退していることから、米ドル/円では今年の高値に向けた値上がりが再開しており、明日の米消費者物価指数が予想(前月比0.2%、前年比3.3%)を上回れば、2023年の高値を更新する可能性もある。
円テクニカル分析-米ドル/円日足チャート
出典:TradingView, StoneX
上記のチャートが示す通り、米ドル/円は現在143.00円より上で取引されており、7月上旬の高値145.00円付近まであと一歩のところまで迫っている。先週の高値である143.80近辺を上抜けできれば、145.00円の主要エリア、あるいは2022年10月~2023年1月のプルバックからの78.6%フィボナッチリトレースメントにあたる146.60円まで上がる可能性が高まる。
今のところ、米ドル/円での抵抗の少ない方向は依然として上側である。次の大きな要因としては、明日朝に発表される米国の消費者物価指数(CPI)が短期的な見通しを変える(または加速させる)可能性がある。
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