英ポンド/米ドル見通しは月初レンジの防衛失敗で窮地に

Article By ストラテジスト

英ポンド見通し:ポンド/米ドル

ポンド/米ドルは、50日間移動平均(1.2775ドル)の上まで値を戻すことができず、8月初頭のレンジを割り込んだ。特に英国の消費者物価指数(CPI)がインフレの鈍化を示すと予想されていることから、今後発表される英国の経済データは英ポンドの足を引っ張る可能性がある。

英ポンド/米ドル見通しは月初レンジの防衛失敗で窮地に

ポンド/米ドルは月の安値(1.2617ドル)を更新していることから、もはや移動平均の正の傾斜には反応しないかもしれない。また三尊天井のパターンが形成されつつあり、今後も6月安値(1.2369)からの上昇を戻し続ける可能性がある。

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同時に英消費者物価指数(CPI)がポンド/米ドルの足を引っ張る可能性がある。7月のインフレ率は総合値、コア値ともに縮小すると予想されており、物価上昇率緩和の兆候は、他国の中央銀行が利上げサイクルの収束に向かう中で、BOE25bpの追加利上げを促すかもしれない。

しかし、英国のインフレ率が予想よりも高くなれば、ポンドでは強気の反応が起こる可能性がある。8月の会合では金融政策委員会(MPC)の委員のうち2人が50bpの利上げに賛成しており、アンドリューベイリー総裁らが「CPIインフレ率が中期的に持続的に2%の目標に戻ることを確実にする」と公約していることから、政策の引き締め強化に傾くBOE当局者が増える可能性があるためだ。

以上を踏まえた上で、英消費者物価指数(CPI)の更新は、BOEがインフレ対策を続ける中でポンド/米ドルの価格を左右する可能性がある。しかし三尊天井が形成されつつあるように見えることから、6月の安値(1.2369ドル)からの上昇を維持することは難しいかもしれない。

英ポンド/米ドル日足チャート

チャート作成:ストラテジスト、 David Song TradingViewのポンド/米ドル

  • ポンド/米ドルは50日間移動平均(1.2775ドル)を超えて値を戻すことができず、月の最安値 1.2617ドル)を更新して、8月初頭のレンジを割り込んだ
  • ポンド/米ドルでは三尊天井が形成されつつあるように見えることから、移動平均の正の傾斜にも反応しない可能性がある。1.2640ドル(38.2%のフィボナッチエクステンション)~1.2650ドル(38.2%のフィボナッチエクステンション)付近を終値で下回ると、1.2520ドル(23.6%のフィボナッチエクステンション)に向かう可能性が高まる。
  • 次の注目エリアは6月の安値(1.2369ドル)を含む1.2300ドル(50%のフィボナッチリトレースメント)~1.2390ドル(38.2%のフィボナッチエクステンション)だが、1.2640ドル(38.2%のフィボナッチエクステンション)~1.2650(38.2%のフィボナッチエクステンション)付近を終値で割り込むことがなければ、反転パターンが否定される可能性がある。
  • 1.2750ドル(50%のフィボナッチリトレースメント)~1.2760ドル(61.8%のフィボナッチリトレースメント)付近を上抜けすると、1.2850ドル(61.8%のフィボナッチエクステンション)~1.2900ドル(23.6%のフィボナッチリトレースメント)付近が再び視野に入る。この場合次の注目ゾーンは1.3000ドル(78.6%のフィボナッチエクステンション)付近となる。



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