わずか2か月前、英ポンド/米ドルは過去最安の水準で取引され、1.03565ドルの安値をつけた。現在この通貨ペアは1.1950ドル付近で取引されている。この通貨ペアが大暴落の縁から今日の水準に回復するまで、ここ2カ月の間にさまざまな出来事が起きた。最も大きいのはリズ・トラス前首相、あるいは少なくとも財政赤字を膨張させかねない彼女の「ミニ・バジェット」発言がきっかけとなった売り展開だろう。これがポンド急落の最後の一押しだったかもしれないとはいえ、9月末に売りが広がるまで英ポンド/米ドルは下落を続けていた。英ポンド/米ドルは2月22日、今年に入ってから当時までの最高値となる1.4250ドルをつけていた。米国の連邦準備制度による急速な利上げが明らかになったことから、この通貨ペアはここから下落を始める。FOMCは最終的に、インフレは一過性のものではないと判断したのだ。4月22日にこの通貨ペアは1.3000ドルを割り、6月の中旬には1.2000ドル付近で取引されていた。 一度1.2000ドルに到達すると、英ポンド/米ドルは9月21日の水曜日まではトレンドチャネルに沿って下落を続け、同日にはチャネルの下端をなすトレンドラインよりも低い1.1235ドルで取引を終えた。 1.4200ドルから下落を続けてきた理由は何だろうか。
出典: Tradingview、Stone X
米国で極端なインフレが起きる中、FRBは4月に利上げのペースを50bpとし、6月中旬までには一気に75bpまで引き上げた。一方でイングランド銀行は利上げのペースを一度に25bpにとどめていた。特に英国経済が不況に陥ることを懸念したためだ。11月3日の直近の利上げでBOEは初めて利上げ幅を75bpとし、借り入れコストは3%となった。英ポンド/米ドルはこの利率の差のせいで下落を続けていたのだ。トラス前首相の「ミニ・バジェット」発言によって、債券市場から流動性が枯渇し、英ポンド/米ドルの大暴落を引き起こした。しかし、これまで十分に積極的な利上げをしてこなかったBOEはたしかに英国の債券市場を救い、それがポンドの回復につながったのだ。 現在、英国のインフレ率は前年比11.1%、米国では「わずか」前年比7.7%であることから、英国では米国よりも高水準の利上げを長期に渡って続ける必要があると考えられている。しかし市場は、スナク首相が提示する秋の予算、増税と支出抑制にも対応する必要がある。この政策はBOEの予測した不況を実際に引き起こすかもしれない。
出典: Tradingview、Stone X
日足では、GBP/USDは1.2000に到達するという任務が課されている。 価格は上昇ウェッジを昇り、ウェッジの上端を抜けた。 予想では、上昇ウェッジから下落し始めるはずだ。 ここから下落が継続するのか? 上昇トレンドでは、引き戻されることがあるのは普通であり、9月26日安値~11月24日高値までの38.2%フィボナッチリトレースメントレベル(1.1467)に戻ることも問題外ではない。 しかし、このペアはそのレベルの前のサポートを通過しなければならない。 最初のサポートレベルはウェッジのトップトレンドライン1.1900付近となる。 ここを割れば、次のレベルのサポートは長期チャネルのゆるやかな下向きトレンドラインの上端1.1650付近、その次はウェッジのボトムライン1.1550付近だ。 逆に、価格が上昇すれば、1.3000手前のレジスタンス(複数の前回高値)1.2293、1.2660、1.2843となる。
FRBがBOEよりも積極的であることから、もしGBP/USDが下落する可能性があるとしたら、逆もまた然りだろうか?それとも、GBP/USDは単に弱気相場の戻り途中なのだろうか? 重要サポートレベルを維持できるかどうか注視したい。 もし維持できれば、GBP/USDは1.3000へ向かうことだってある!
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