週間展望・回顧(ドル、ユーロ、円)
日米の金融スタンスの違いが明確に
◆ドル円、日米金融イベント通過で金融スタンスの違いから底堅い
◆円安のペースが早まれば介入警戒感が高まりそう
◆ユーロドル、引き続き上値の重い展開
予想レンジ
ドル円 146.00-151.00 円
ユーロドル 1.0300-1.0750 ドル
9 月25 日週の展望
ドル円は、米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合を通過し、日米金融政策の方向性を改めて確認することから底堅い展開が想定される。
FOMC では、「経済・金利見通し」で年内あと1 回の利上げが確認されたほか、2024 年末と2025年末の中央値が上方修正された。また、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が定例記者会見で「経済成長率が予想より強い」「経済活動の力強さが、金利の引き上げを必要とする主な理由」と発言するなど、今回の決定が「タカ派的な据え置き」だったことを市場に印象付かせた。FRB 議長が掲げる「金利水準がより高く、より長く」の金融スタンスを改めて強調したため、日米金融政策の方向性の違いが一段と明確になった。
今後の米金利見通しを占う上でインフレ指標よりも米国の実体経済の強さを表す指標に一段と注目が集まる可能性がある。そういった意味でも、来週は26 日に9 月消費者信頼感指数や9 月米リッチモンド連銀製造業景気指数、27 日に8 月耐久財受注額、28 日に4-6 月期米国内総生産(GDP)確定値、29 日に8 月PCE コアデフレーターなど、重要指標が目白押しとなっているため、結果を受けた米長期金利の動向には注目が集まる。
ただ、米10 年債利回りが2007 年11 月以来の高水準を付けるなど、金利上昇が株式市場への悪材料となることに警戒感が高まっている。今週後半にかけて世界的に株価が下落した流れが来週以降も続くかどうか注視する必要があるだろう。
また、ドル円が上値を試す展開となった場合には、引き続き政府・日銀による介入の可能性が出てくることも考慮したい。足もとのドル円は、昨年11 月以来の高値を更新し続けているものの、ペースが緩やかであることから介入実施への警戒感はそれほど高まっていないが、来週の相場で
急速な円安が進んだ場合には、政府高官などの発言の変化に注目すべきだろう。
ユーロドルは、引き続き上値の重い展開が想定される。先日の欧州中央銀行(ECB)理事会で利上げ休止観測が高まるなか、米国が「タカ派的な金利据え置き」を発表したことで、欧米金融政策の方向性の違いに着目したユーロ売り・ドル買いの流れが続く可能性が高いと予想している。
9 月18 日週の回顧
ドル円は、147 円台後半を中心としたもみ合いが週半ばまで続いていたが、FOMC やパウエルFRB議長のタカ派的な見解を受けてドル高が進むと一時148.46 円と年初来高値を更新した。ただ、米金利上昇を嫌気して欧米株価が崩れるとリスクオフの動きとなり、一時147.32 円まで失速している。ユーロドルは週半ばまでは底堅く一時1.0737 ドルまで上昇したが、FOMC 後はドル高が加速した影響から1.0617 ドルまで一転下落した。(了)__
週間展望・回顧(豪ドル、南ア・ランド)
ZAR、金融政策方針に大きな変化なし
◆ZAR、予想通りの金利据え置きで金融政策方針も大きな変化なし
◆豪ドル、豪米金融政策の方向性を手掛かりに伸び悩み
◆豪ドル、9 月RBA 理事会議事要旨では目新しい材料を得られず
予想レンジ
豪ドル円 92.00-96.00 円
南ア・ランド円 7.50-8.00 円
9 月25 日週の展望
豪ドルは上値の重い展開となりそうだ。今週公表された5 日開催分の豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨では「金融政策のさらなる引き締めが必要となる可能性があるとの認識で一致」などの見解が示されたが、目新しい材料は伝わらなかった。すでに3 会合連続で金利が据え置かれていることもあり、市場ではRBA の引き締めサイクルは終了したとの思惑が広がりつつある。
一方で、今週開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では市場予想通り金利据え置きとなったものの、政策金利見通し(ドット・チャート)で2024 年末の予想中央値が引き上げられるなど、米金融引き締めの長期化観測が高まった。豪米金融政策の方向性を手掛かりにした豪ドル売り・ドル買い圧力が強まりやすい状況にあり、対ドルを中心に豪ドルは伸び悩む動きが予想される。
来週は27 日に8 月消費者物価指数(CPI)、28 日に8 月小売売上高の発表が予定されている。注目を集める8 月CPI でインフレの鈍化傾向が鮮明になれば、一段の豪ドル売り材料として意識されるだろう。なお、現時点の市場予想によると8 月CPI は前年比で5%台(7 月は4.9%)を回復すると見込まれている。
隣国NZ では28 日に9 月ANZ 企業信頼感の発表が予定されているが、NZ ドル相場への影響は限られるだろう。10 月4 日にNZ 準備銀行(RBNZ)の金融政策公表を控えるなか、徐々にイベント前の様子見ムードが強まりそうだ。
南アフリカ・ランド(ZAR)は伸び悩む展開か。21 日の南アフリカ準備銀行(SARB)金融政策委員会(MPC)では2 会合連続での金利据え置きを決定。5 人の委員のうち3 人が据え置き、2 人が25bp の利上げを主張しており、こちらも前回から変わらなかった。声明ではインフレ見通しに対するリスクが残存していることを指摘したものの、今後の金融政策見通しに大きな変化はなさそうだ。SARB の方針に大きな変化がない以上、金融引き締めの長期化観測が高まった米国と比較すると、金利面ではドル買い・ZAR 売りに傾きやすくなるだろう。
なお、来週は25 日が伝統文化継承の日の振替休日で休場。28 日に8 月卸売物価指数(PPI)、29 日に8 月貿易収支の発表が予定されている。インフレ関連指標には注意する必要があるものの、ZAR 相場を主導するような材料となる可能性は低い。
9 月18 日週の回顧
豪ドルは上値の重い動き。週明けから対ドル・対円で豪ドルは底堅く推移し、対円では7 月以来の高値を更新する場面も見られた。ただ、FOMC 後は全般にドル買いが強まった流れに沿って、豪ドル売り・ドル買いが進行。豪ドル円もつれ安となり、週初からの上昇分を吐き出す格好となった。
ZAR も豪ドルと同様に週明けから買い先行となったが、FOMC 後は対ドル・対円ともに上値の重さが意識された。(了)__
週間展望・回顧(ポンド、加ドル)
英・加中銀の次の一手を探る展開
◆ポンド、英中銀は15 会合ぶりの金利据え置きも意見分かれる
◆ポンド、月末・四半期末に絡んだフローに注意
◆加ドル、CPI 加速で追加利上げ観測広がり始める
予想レンジ
ポンド円 179.00-184.00 円
加ドル円 107.50-111.50 円
9 月25 日週の展望
ポンドは、イングランド銀行(英中銀、BOE)が15 会合ぶりに利上げを見送った影響を見極める展開か。21 日に英中銀は金融政策委員会(MPC)の結果を公表し、9 人の委員中5 人のみ賛成という僅差で政策金利を5.25%で据え置くことを決定した。ベイリーBOE 総裁は据え置きを主張し、反対した4 人は全て0.25 ポイントの引き上げを望んだ。今後は利上げを訴えたカンリフ副総裁、ハスケル、マン、グリーン委員たちがどのような見解を示すのか注目される。総裁の意向に反して引き締めに固執するようであれば、金融政策の先行き不透明感が増すことになりそうだ。
英金融政策に対する市場予想は「5.50%に引き上げ」とされていたため、決定に対する相場の反応はポンド売り。もっとも、20 日のMPC 投票前に発表された8 月英消費者物価指数(CPI)が前年比6.7%と前回値や上振れ予想を下回り、2022 年2 月以来の低水準記を記録。そのため中銀発表前には、短期金融市場での利上げ織り込み度は50%程度まで縮小していた。ただし、英・長期債利回りも一巡後は上昇に転じるなど、英金利先安観は強まらず。英中銀は「今後、インフレ率が劇的に加速する」との見通しを示しているものの、市場はまだ懐疑的な見方のようだ。なお、経済協力開発機構(OECD)は、英国の2023 年インフレ率予測を7.2%とし、6 月時点の6.9%から引き上げた。主要先進国のなかで最も高いインフレ率が見込まれている。
25 日週の英経済指標は29 日に4-6 月期国内総生産(GDP)改定値が発表される程度。それよりも、月末、四半期末に絡んだ売買に振らされる可能性がある。ロンドン16 時(日本時間24 時)のフィキシング前後で荒い値動きとなることも多く、持ち高の管理には気を付けておきたい。
加ドルは、米金利や原油相場の動向を眺めながらも下値は限られた展開となりそうだ。足もとのインフレ率が想定以上に加速し、カナダ中銀(BOC)が10 月会合で利上げに踏み切るとの観測が広がっていることが加ドルの支えとなっている。19 日発表の8 月カナダ消費者物価指数(CPI)は前年比4.0%と前回や予想から上振れ、4 カ月ぶりの水準まで上昇した。市場は7-9 月期インフレ率が約3.8%と見込み始めており、そうなるとBOC が7 月報告書で示した3.3%予想を大きく上回ることになる。今年残された中銀会合は10 月と12 月の2 回。米国でも金利先高観が強まる中、現行5.0%からの政策金利引き上げが意識されることになりそうだ。
9 月18 日週の回顧
ポンドは週半ばから後半にかけて下値を試した。対円では183 円半ばから180 円後半、対ドルでは1.24 ドル前半から1.22 ドル半ばまで下落。予想を下回った英CPI や英中銀の金利据え置きがポンド売りを促した。また、米金利が上昇基調を強めたこともドル高ポンド安に繋がった。
加ドルは買いが先行し、対円では110 円半ば、対ドルでも1.33 加ドル後半まで加ドル高に傾いた。上昇幅を広げた原油先物、予想比上振れのカナダCPI に後押しされた。もっとも週後半にかけては、リスクセンチメントの悪化が重しとなり加ドルの売り戻しが優勢となった。(了)__
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