週間展望・回顧(ドル、ユーロ、円)
日米の金融政策に注目
◆ドル円、FOMC では四半期に一度の「経済・金利見通し」に注目
◆日銀会合後の総裁会見、マイナス金利解除への真意を見極め
◆ユーロドル、利上げサイクルの終了観測から上値重い
予想レンジ
ドル円 145.00-150.00 円
ユーロドル 1.0400-1.0750 ドル
9 月18 日週の展望
ドル円は、米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合を受けて今後の金融政策の方向性を改めて確認することになるだろう。
まず、今回のFOMC では政策金利の据え置きが大方の予想となっており、注目は四半期に一度の「経済・金利見通し」。今回の会合でたとえ金利が据え置かれたとしても、11 月および12 月会合での利上げの可能性を残しており、見通し次第では「タカ派的な据え置き」と捉えられ、ドルが一段高となることも想定しておきたい。
次に日銀だが、先週末に読売新聞との単独インタビューで植田日銀総裁が「賃金上昇を伴う持続的な物価上昇に確信が持てた段階になれば、マイナス金利の解除を含め色々なオプションがある。年末までに十分な情報やデータがそろう可能性はゼロではない」と述べたことで、金融政策の早期正常化への思惑が広がり、週明けの為替・債券市場に大きな混乱を生んだ。来週の日銀会合後の定例記者会見でこの発言の真意について記者からの質問が集中することは間違いなく、日銀総裁の発言に注目が集まる。とはいえ、為替市場では総裁発言で進んだ円高はほぼ全て解消しており、市場では「よほどのタカ派的な発言が出ない限りは円安に進みやすいだろう」との声が聞かれている。
なお、日米金融イベントの他にも21 日には9 月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数や前週分の米新規失業保険申請件数、22 日には9 月米購買担当者景気指数(PMI)速報値など、週後半にかけて重要指標が予定されている。
ユーロドルは、上値の重い展開が想定される。14 日の欧州中央銀行(ECB)理事会では10 会合連続での利上げが実施されたが、2023-25 年の成長率見通しが下方修正されたほか、ラガルドECB総裁が「経済成長に対するリスクは下方に傾いている」などハト派な見解が示されたことで「利上げサイクルが終了した」との思惑が広がっている。
9 月11 日週の回顧
ドル円は、週末に伝わった植田日銀総裁のインタビュー記事を受けて下方向に窓を開けてスタート。欧州序盤には一時145.91 円まで売り込まれたが、一巡後は押し目買いが優勢となった。13日には8 月米消費者物価指数(CPI)が2 カ月連続で加速したことを受け、米長期金利が上昇するにつれて一時147.73 円まで買い上げられた。その後は147 円台で一進一退の動きとなっている。
ユーロドルはECB 理事会を週後半に控えてしばらくは1.07 ドル台を上下する動き。ただ、ECBが利上げを決定したものの、ハト派的な声明文やECB 総裁の弱気発言を受けて一気にユーロ売りが加速すると、一時1.0632 ドルと3 月20 日以来の安値を付けた。(了)__
週間展望・回顧(豪ドル、南ア・ランド)
ZAR、2 会合連続で金利据え置きへ
◆ZAR、2 会合連続の金利据置きで利上げサイクル終了の思惑広がるか
◆豪ドル、日米金融政策の行方を睨みながらの動き
◆ZAR、金融政策前日のCPI にも注意
予想レンジ
豪ドル円 93.00-96.50 円
南ア・ランド円 7.50-8.00 円
9 月18 日週の展望
豪ドルは神経質な展開となりそうだ。来週は19 日に5 日開催分の豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨が公表される。同理事会では政策金利が市場予想通り4.10%で据え置かれたほか、声明文でも「金融政策の幾分かの引き締めが必要になるかもしれない」などの見解を示すなど前回から大きな変化は見られなかったが、議事要旨で改めて今後の金融政策方針を探りたい。
もっとも、来週は日米で金融政策の公表が控えているため、基本的には豪ドル円もドル円相場などの動向に振らされる可能性が高いだろう。19-20 日に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)では結果公表と同時に金利見通し(ドットチャート)も明らかになるため、こちらにも注目。また、日銀金融政策決定会合に関しても植田日銀総裁の発言をきっかけに年内のマイナス金利解除などの思惑が広がっていることもあり、会合後の総裁会見に注意しておきたい。隣国NZ では20 日に4-6 月期四半期経常収支、21 日に4-6 月期国内総生産(GDP)、22 日に8 月貿易収支が公表される予定。NZ ドル円も豪ドル円と同じくドル円相場の動きに左右される可能性が高いが、4-6 月期 GDP などを受けた反応には注意しておきたい。
南アフリカ・ランド(ZAR)は、指標次第で荒い値動きとなる可能性に警戒している。注目は20 日公表の8 月消費者物価指数(CPI)、翌21 日の南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策となるだろう。8 月CPI については市場予想が前回からほぼ変わらずとなっているほか、金融政策公表の前日とあって基本的には相場への影響も限られる見込み。ただ、市場予想から大きく乖離した結果となった場合は翌日の金融政策に向けた思惑が高まるかもしれない。
21 日のSARB 金融政策委員会(MPC)では2 会合連続での金利据え置きが見込まれている。クガニャゴSARB 総裁は前回のMPC で金利据え置きを決めた際に「利上げのサイクルが終わったわけではない、今後はデータ次第」との見解を示したが、2 会合連続の据え置きとなれば市場で利上げサイクル終了の思惑が高まる可能性もあるだろう。日米の金融政策方針との違いなどを確認しながら、改めて今後のZAR の方向性を探ることになりそうだ。
なお、国営電力会社エスコムは今週、電力負荷制限をステージ6 に引き上げることを発表。同国を襲った寒波の影響でステージ7 へとさらに引き上げる可能性もあると警告しており、今後も電力負荷制限の行方と経済への影響について注意しておかなければならないだろう。
9 月11 日週の回顧
豪ドルは強含みで推移。週明け11 日から対ドルを中心に買いが入ったほか、ドル円の上昇につれて対円でも底堅く推移した。
ZAR は方向感の乏しい動き。豪ドルと同様に対ドルでは買い先行で始まったものの、週末にかけては米金利の低下一服とともに伸び悩んだ。ZAR 円も週初から底堅く推移していたが、対ドルでのZAR 買いが一巡すると上値が重くなった。(了)__
週間展望・回顧(ポンド、加ドル)
ポンド、英中銀の金融政策に注目
◆ポンド、英金融政策に注目、CPI の結果次第で神経質な動きも
◆英中銀、リセッション懸念が再燃するなか今後も難しい舵取りに
◆加ドル、8 月カナダCPI を見極め
予想レンジ
ポンド円 180.50-185.50 円
加ドル円 107.00-111.00 円
9 月18 日週の展望
ポンドは、21 日にイングランド銀行(英中銀、BOE)が公表する金融政策に注目している。ただ、その前日に発表される8 月英消費者物価指数(CPI)にも注意が必要だろう。というもの、金融政策委員会(MPC)では、指標結果を見定めた後にベイリーBOE 総裁が提示した政策に対する投票が行われるからだ。15 会合連続となる金利引き上げはほぼ確定とされているものの、足もとのインフレ動向次第では、今回の利上げ幅や11-12 月会合に向けた政策スタンスへの思惑が交錯し、ポンド相場はかなり神経質な動きとなるかもしれない。
8 月CPI が大きな波乱とならなければ、政策金利は現行の5.25%から5.50%に引き上げられるという見方が優勢だ。12 日に発表された5-7 月分の「ボーナスを除く平均賃金」は前年比7.8%と前回から横ばいだったものの、水準的には2001 年以来では最も高い伸び率にある。賃金高止まりによるインフレ上振れリスクを抑制するためにも、英中銀は引き締め継続しか選択余地がない。
しかしながら、13 日発表の7 月英国内総生産(GDP)は0.5%減と7 カ月ぶりの縮小幅を記録し、リセッション(景気後退)懸念が再び持ち上がってきている。ベイリーBOE 総裁は今後も難しい金融政策の舵取りを強いられるだろう。政策の不透明感が高まるようだと、ポンドの買いづらさに繋がっていきそうだ。
なお、今回の会合では、保有国債を削減する量的引き締め(QT)について、10 月からの年間削減目標が決定される見通し。昨年は、市場売却と償還を合わせて800 億ポンドの縮小が決められた。今後は、削減目標が年900 億から1000 億ポンドまで拡大されると一部で予想されている。
加ドルはまず、19 日発表の8 月CPI を見極める展開となりそうだ。前回7 月分は元々6 月からの上振れが見込まれていたなか、前年比3.3%と市場予想を0.3%上回った。次回のカナダ中銀(BOC)会合は10 月25 日であり、その前に9 月CPI も発表されるため、今回の結果が必ずしもBOC 次の一手に繋がるとは限らない。ただ、インフレ再加速を今回も裏付けるようであれば、金融当局者たちがタカ派に傾くことは想定しておかねばならないだろう。
また、加ドル、ポンドとも、20 日の米連邦公開市場委員会(FOMC)や22 日の日銀金融政策決定会合の結果や、定例記者会見の内容には注視する必要がある。ドル相場や円相場全般の流れに左右される可能性も高そうだ。
9 月11 日週の回顧
ポンドは上値が重かった。対円では円金利先高観を背景に売りが先行。ドル円の反発につれ持ち直すも184 円半ばでは頭を抑えられ、週後半には182 円半ばまで下落した。さえない英経済指標、予想より強い米指標を受けてポンドドルも弱含み。6 月以来の1.24 ドル割れまで売られた。
堅調な原油相場を支えに、産油国通貨でもある加ドルは強含み。週明け売り先行の対円でも107円前半から109 円台まで切り返した。対ドルでは1.34 加ドル後半まで加ドル高に振れた。(了)__
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