【本日の東京為替見通し】ドル円、FOMCでのハト派的声明への警戒感から上値が重い展開か

Article By フィナンシャルアナリスト

【前日の為替概況】ドル円、147.26円まで下落 米10年債利回りが4.05%台まで低下

29日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3営業日ぶりに反落。終値は147.50円と前営業日NY終値(148.15円)と比べて65銭程度のドル安水準だった。対ユーロなどでドル買いが進むと円に対してもドル買いが先行し、2230分前に148.09円付近まで下げ渋ったものの、戻りは鈍かった。

NY序盤はユーロ円やポンド円など欧州のクロス円の下落につれた円買いが目立った。その後しばらくは147円台半ばでのもみ合いが続いていたが、米財務省が第1四半期の借り入れ予想額を従来の8160億ドルから7600億ドルに引き下げたと伝わると、米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.05%台まで低下したため、全般ドル売りが活発化。前週末の安値147.46円を下抜けて一時147.26円まで値を下げた。

ユーロドルは小反落。終値は1.0833ドルと前営業日NY終値(1.0853ドル)と比べて0.0020ドル程度のユーロ安水準となった。欧州中央銀行(ECB)による早期利下げ観測が高まる中、欧州債利回りの低下に伴うユーロ売り・ドル買いが先行。1時過ぎに一時1.0796ドルと昨年1213日以来の安値を付けた。

ただ、NY午後に入ると急速に下げ渋った。米財務省が第1四半期の借り入れ予想額を下方修正すると米長期金利が大幅に低下し、全般ドル売りが進行。530分前には1.0841ドル付近まで下げ幅を縮めた。

ユーロ円は反落。終値は159.80円と前営業日NY終値(160.79円)と比べて99銭程度のユーロ安水準。ECBの早期利下げ観測が強まる中、円買い・ユーロ売りが優勢になると一時159.42円と本日安値を付けた。

 

【本日の東京為替見通し】ドル円、FOMCでのハト派的声明への警戒感から上値が重い展開か

本日の東京外国為替市場のドル円は、米長期金利の低下や本日からの米連邦公開市場委員会(FOMC)でのハト派的な声明への警戒感から上値が重い展開が予想される。

本日からのFOMCでの注目ポイントは以下の通りとなっており、金融引締めから金融緩和への転換という3FOMCでの利下げ開始の序曲となるハト派的な見解が警戒されている。

20233月からずっと声明に盛り込まれてきた「追加的な金融政策の引き締め(any additional policy firming)」という文言が削除される可能性。

・資金市場への配慮から月950億ドルの量的金融引締政策(QT)の見直しが示唆される可能性。

・昨年12月のパウエルFRB議長の発言「リスクは均衡している」を裏付ける形で、FRBの二大責務(物価安定と雇用の最大化)のリスク均衡が確認される可能性。

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、本日からのFOMCでのFF金利誘導目標5.25-50%の据え置きがほぼ確実視されているが、319-20日のFOMCでは、据え置き確率が52%台、5.00-25%への利下げ開始確率が46%台になっている。

昨年のドル円は、早期の米連邦公開市場委員会(FOMC)による利下げ開始と日銀によるマイナス金利解除観測から、昨年1113日の高値151.91円から1228日の安値140.25円まで11.66円下落した。

今年は、日米金融政策の早期転換観測の後退や新NISA(少額投資非課税制度)による円売り圧力などから、半値戻し(146.08円)や61.8%戻し(147.46円)を上回り148.80円まで上昇した後、伸び悩む展開となっている。

ドル円の一目均衡表でのテクニカル分析は、三役好転の強い買いシグナルが点灯しているものの、攻防の分岐点である転換線147.73円を下回って推移していることで、売りシグナルが点灯する可能性が高まっている。

930分に発表される昨年12月豪小売売上高は前月比-1.0%と予想されており、ブラックフライデーのセールが寄与して前月比+2.0%と2年ぶりの高い伸びとなった11月からの反動が見込まれている。

25-6日の豪準備銀行(RBA)理事会に向けては、明日31日に発表される12月および10-12月期消費者物価指数(CPI)が重要であることで、小売売上高による市場への影響は予想を大幅に下回らない限り限定的だと思われる。

 

【本日の重要指標】

※時刻表示は日本時間

<国内>

08:3012月完全失業率(予想:2.5%)

08:3012月有効求人倍率(予想:1.28倍)

 

<海外>

09:3012月豪小売売上高(予想:前月比▲1.0%)

15:301012月期仏国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比横ばい)

15:3012月仏消費支出(予想:前月比0.3%)

17:001月スイスKOF景気先行指数(予想:98.2

18:001012月期独国内総生産(GDP)速報値(季節調整済、予想:前期比▲0.3%/前年同期比▲0.2%)

18:001012月期独GDP速報値(季節調整前、予想:前年同期比▲0.4%)

18:00 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演

18:3012月英消費者信用残高(予想:14億ポンド)

18:3012月英マネーサプライM4

19:001012月期ユーロ圏GDP速報値(予想:前期比▲0.1%/前年比0.1%)

19:001月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:96.2

19:001月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲16.1

21:001012月期メキシコGDP速報値(予想:前期比0.3%/前年比3.0%)

21:30 ◎ バスレ・スロベニア中銀総裁、講演

23:0011月米住宅価格指数(予想:前月比0.3%)

23:0011月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比5.8%)

24:0012月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数(予想:875.0万件)

24:001月米消費者信頼感指数(予想:115.0

3100:30 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演

○米連邦公開市場委員会(FOMC1日目

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。

※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

29日06:14 クノット・オランダ中銀総裁

ECBの利下げ開始には賃金動向が明確になる必要」

2025年にインフレ率は目標の2%に戻る確かな見通しがある」

 

29日16:48 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁

ECBはデータ次第であり、利下げのスケジュールなどはない」

ECBの利下げはインフレの展開次第」

「紅海の状況が金利の決定に影響するとはみていない」

 

29日18:09 センテノ・ポルトガル中銀総裁

「インフレは持続的に低下している」

「価格を押し上げたほぼすべての要因が消失した」

「遅かれ早かれ利下げを開始するべきだが、突然の動きは避けるべきだ」

「金利決定のために5月の賃金データを待つ必要はない」

 

29日18:35 カジミール・スロバキア中銀総裁

「次の動きは利下げであり、それは手の届く範囲にある」

6月の利下げは4月よりも可能性が高いが、正確なタイミングは利下げの影響を左右するものではない」

「重要な決断を下すには忍耐が不可欠」

ECBが遅れているのではなく、市場が先回りしている」

「ディスインフレの兆候は肯定的だが、確信に満ちた結論を下すにはまだ十分な情報がない」

※時間は日本時間

 

日足一目均衡表分析〕

<ドル円=1/19高値を抵抗に戻り売りスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。しかし、抱き線で反落して転換線を下回って引けており、続落の可能性が示唆されている。

本日は転換線147.73円を念頭に置き、19日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2      149.752023/11/22高値)

レジスタンス1      148.801/19高値)

前日終値                        147.50

サポート1           146.44(日足一目均衡表・雲の上限)

サポート2           144.53(日足一目均衡表・基準線)

 

<ユーロドル=雲の上限を抵抗に戻り売りスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の中で引けているものの、売りシグナルが優勢な展開となっている。抱き線で反落して転換線を下回って引けており、続落の可能性が示唆されている。

本日は1.0864ドルの転換線を念頭に置き、雲の上限を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1      1.0922(日足一目均衡表・雲の上限)

前日終値                        1.0833

サポート1           1.0776(日足一目均衡表・雲の下限)

 

<ユーロ円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で推移していることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。しかし、抱き線で反落して転換線を下回って引けており、続落の可能性が示唆されている。

本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1      160.64(日足一目均衡表・転換線)

前日終値                        159.80

サポート1                       158.47(日足一目均衡表・基準線)

 

<豪ドル円=基準線を支持に押し目買いスタンス>

小陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。3手連続陽線で転換線を上回って引けており、続伸の可能性が示唆されている。

本日は97.30円の転換線を念頭に置き、基準線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1      98.542023/11/24高値)

前日終値                        97.51

サポート1                       96.86(日足一目均衡表・基準線

 

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