【本日の東京為替見通し】ドル円は1月実質賃金、豪ドルはRBAの声明に要注目か
【前日の為替概況】ユーロドル 1.0694ドルまで上昇、ECB高官のタカ派発言などを受け
6日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは続伸。終値は1.0681ドルと前営業日NY終値(1.0635ドル)と比べて0.0046ドル程度のユーロ高水準だった。レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミストが「現在の情報は3月以降の利上げ継続を示唆」と述べたほか、ホルツマン・オーストリア中銀総裁が「3月、5月、6月、7月に0.50%の利上げを行うべき」との考えを示すと全般ユーロ買いが優勢となり、2時30分前に一時1.0694ドルと2月21日以来の高値を付けた。低下して始まった独10年債利回りが上昇に転じたことも相場の支援材料。
ドル円は小反発。終値は135.93円と前営業日NY終値(135.87円)と比べて6銭程度のドル高水準だった。21時前に136.19円と日通し高値を付けたものの、24時30分前には135.64円付近まで下押しした。ただ、そのあとは明日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言を前に様子見ムードが広がり、136.00円を挟んだもみ合いの展開が続いた。
なお、明日のパウエルFRB議長の議会証言では「タカ派寄りの発言が警戒されている」との声が聞かれ、一時3.89%台まで低下した米10年債利回りは3.98%台まで上昇した。
ユーロ円は3営業日ぶりに反発。終値は145.17円と前営業日NY終値(144.50円)と比べて67銭程度のユーロ高水準。レーン氏やホルツマン氏の発言を受けてECBが大幅な利上げを継続するとの観測が強まると、全般ユーロ買いが進んだ。2時頃に一時145.38円と本日高値を更新した。
【本日の東京為替見通し】ドル円は1月実質賃金、豪ドルはRBAの声明に要注目か
本日の東京外国為替市場のドル円は、1月毎月勤労統計で実質賃金を見極めた後は、今夜のパウエルFRB議長の議会証言を控えて動きづらい展開が予想される。豪ドルは、豪準備銀行(RBA)の利上げ幅と声明に注目することになる。
8時30分に発表される1月毎月勤労統計(現金給与総額)では、実質賃金に注目したい。12月の実質賃金は、速報値では前年比0.1%上昇と、9カ月ぶりのプラスに転じていたが、改定値で-0.6%と下方修正されている。
黒田日銀総裁は、賃金の上昇を伴う物価上昇が確認されるまで、現在の量的金融緩和政策を続ける、と繰り返し述べている。そのため、1月の実質賃金が予想通りにマイナスだった場合、今週末の黒田日銀総裁にとっての最後の日銀金融政策決定会合では、リスクシナリオとしてのイールドカーブコントロール(YCC)許容変動幅の再拡大の可能性が後退することで、円売り材料となる。
12時30分に発表されるRBAの政策金利は、0.25%利上げ(3.35%から3.60%)が予想されている。しかし、先週までのロウRBA総裁の発言が、タカ派「豪州のインフレはピークに達していない」とハト派「数週間のうちに経済情勢を再評価する」の間で揺れ動いており、声明文の内容に要注目となる。
声明文がタカ派的ならば、豪ドル買い要因、ハト派的ならば売り要因となる。
豪ドル/ドルは、中国の第14期全国人民代表大会で、李首相が2023年の経済成長率の目標を5%前後とし、昨年の目標(5.5%前後)より低く設定したことで、0.67ドル台前半で軟調に推移している。上値のテクニカルポイントは、200日移動平均線の0.6787ドル、90日移動平均線の0.6800ドル、日足一目均衡表・転換線の0.6769ドル付近にある。
今夜のパウエルFRB議長の米上院銀行委員会での金融政策や経済情勢に関する半期に一度の議会証言は、金融政策報告書に沿った見解が示されることになっている。すなわち、FRBは2%のインフレ目標達成のためにFF金利を継続的に引き上げることが適切である、と述べ、質疑応答に入ることになる。注目ポイントは、3月21-22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げ幅への言及となる。フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、0.25%の利上げを行う確率は76%程度、0.50%の利上げ確率は24%程度を織り込んでいる。
先日、サマーズ元米財務長官は、インフレ鈍化トレンドが無くなったことから0.50%の利上げを推奨していた。パウエルFRB議長が0.50%利上げの可能性に言及した場合、0.25%に利上げ幅を縮小しているFRBへの信頼感が低下するため、2013年5月のバーナンキ・ショックのようなパウエル・ショックとなる可能性には警戒しておきたい。
【本日の重要指標】
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◇ 1月毎月勤労統計(現金給与総額、予想:前年比1.8%)
○08:50 ◇ 2月外貨準備高
<海外>
○09:01 ◇ 2月英小売連合(BRC)小売売上高調査
○09:30 ◇ 1月豪貿易収支(予想:125.00億豪ドルの黒字)
○未定 ◎ 1-2月中国貿易収支(予想:818億ドルの黒字)
○12:30 ☆ 豪準備銀行(RBA)政策金利発表(予想:3.60%に引き上げ)
○15:45 ◇ 2月スイス失業率(季節調整前、予想:2.1%)
○16:00 ◎ 1月独製造業新規受注(予想:前月比▲0.9%/前年同月比▲12.5%)
○18:30 ◎ 10-12月期南アフリカ国内総生産(GDP、予想:前期比▲0.4%/前年同期比2.2%)
○24:00 ◇ 1月米卸売売上高(予想:前月比▲0.5%)
○24:00 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、米上院銀行委員会で金融政策や経済情勢に関する半期に一度の証言
○8日03:00 ◎ 米財務省、3年債入札
○8日05:00 ◇ 1月米消費者信用残高(予想:228.5億ドル)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
6日06:54 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「インフレが続く場合、想定以上の利上げが可能」
「労働市場は依然として非常に逼迫している」
「インフレはピークを過ぎた可能性が高い」
「私の見解はFOMCと歩調を合わせている」
「今年の利下げはないと予想」
6日15:30 経済産業省
「(韓国向けに厳格化した輸出管理)2019年7月以前の状態に戻すべく、関連の2国間の協議を速やかに行っていく」
6日19:10 レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト
「現在の情報は3月以降の利上げ継続を示唆」
「5月の決定前のデータが金融政策の指針に」
6日20:52 ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「インフレの鈍化には非常に長い時間がかかるだろう」
「景気抑制的な金利は4%からと見込む」
「さらに4回の50bp利上げを見込む」
「3月、5月、6月、7月に50bpの利上げを行うべき」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=押し目買いスタンス変わらず、3/1安値を支持>
小陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けているため、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。2手連続陰線でも転換線を上回って引けており、反発の可能性が示唆されている。
転換線135.58円で横ばいであり、本日も念頭に置いた取引となる。135.26円の1日安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 138.17(2022/12/15高値)
レジスタンス1 137.40(200日移動平均線)
前日終値 135.93
サポート1 135.26(3/1安値)
サポート2 134.74(日足一目均衡表・雲の上限)
<ユーロドル=転換線が支持に、続伸の可能性>
陽線引け。雲の中で引けたものの、転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回っており、売りシグナルが優勢な展開。しかし、2手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は、1.0614ドルの転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0781(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 1.0681
サポート1 1.0614(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロ円=3./6安値を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けているため、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。抱き線で反発して、転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は、6日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 145.83(2022/12/20高値)
前日終値 145.17
サポート1 144.12(3/6安値)
<豪ドル円=3/3高値を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。遅行スパンは実線を下回っているものの、転換線は基準線を上回り、雲の上で引けていることで買いシグナルが優勢な展開。しかし、3手連続陰線で転換線を下回っては引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は、91.79円まで低下した転換線を念頭に置き、3日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 92.25(3/3高値)
前日終値 91.48
サポート1 90.58(日足一目均衡表・雲の上限)
情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社
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