【本日の東京為替見通し】為替乱高下か、日銀総裁候補など所信聴取ほかイベント目白押し
【前日の為替概況】ドル円、続落 戻り売り意欲強く、米10年債利回り低下も重し
23日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続落。終値は134.70円と前営業日NY終値(134.84円)と比べて14銭程度のドル安水準だった。10-12月期米国内総生産(GDP)改定値は前期比年率2.7%と予想の2.9%を下回ったものの、コアPCE改定値が4.3%と予想の3.9%を上回ったことから全般ドル買いが先行。前週分の米新規失業保険申請件数が19.2万件と予想の20.0万件より強い内容となったことも相場の支援材料となり、一時135.36円と昨年12月20日以来約2カ月ぶりの高値を付けた。
ただ、135円台では戻り売り意欲が強く、滞空時間は短かった。一時は3.9742%前後と昨年11月10日以来の高水準を記録した米10年債利回りが3.86%台まで低下したことも相場の重しとなり、134.49円と日通し安値を更新した。
ユーロドルは小幅ながら4日続落。終値は1.0596ドルと前営業日NY終値(1.0605ドル)と比べて0.0009ドル程度のユーロ安水準だった。欧州中央銀行(ECB)の利上げ継続が改めて認識される中、22時30分前には1.0621ドル付近まで値を上げたものの、アジア時間に付けた日通し高値1.0628ドルが目先レジスタンスとして働くと失速した。米コアPCEが予想を上回ったことで、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを継続するとの観測が強まるとユーロ売り・ドル買いが活発化し、一時1.0577ドルと1月6日以来の安値を付けた。ただ、引けにかけては下げ渋った。米長期金利が低下に転じたことでユーロ買い・ドル売りがじわりと強まった。ユーロ円は続落。終値は142.70円と前営業日NY終値(143.09円)と比べて39銭程度のユーロ安水準。23時前に一時143.52円と本日高値を付けたものの、4時過ぎには142.56円と本日安値を更新した。ドル円につれた動きとなった。
なお、市場では明日24日の次期日銀総裁候補の植田和男氏の衆院での所信聴取に注目が集まっており、ポジション調整目的の円買いも入りやすかったようだ。ポンド円は一時161.68円、豪ドル円は91.43円、NZドル円は83.61円、カナダドル円は99.27円、スイスフラン円は144.10円まで値を下げた。
【本日の東京為替見通し】為替乱高下か、日銀総裁候補など所信聴取ほかイベント目白押し
本日のドル円は、重要イベントが目白押しとなることで乱高下になることが予想される。日本時間8時半に1月の本邦消費者物価指数(CPI)が発表された。前年比で4.2%の上昇となっている。この何年かは大きな動きを見せない本邦の経済指標だが、インフレの高止まりが確認され、市場も神経質に推移しそうだ。
続いて9時半頃から開催視される衆議院議院運営委員会で、午前は植田次期日銀総裁候補の所信聴取と質疑応答が予定されている。今月10日には「当面は金融緩和を続ける必要がある」「予断を持たず、柔軟に物価と景気に応じて適切な金融政策運営をしていく」と発言している植田氏だが、「異次元の金融緩和」の軌道修正を徐々に進めるという声が依然として根強い。所信聴取に関しては「安全運転になるのでは」との声が多いものの、質疑応答次第では市場を動意づけることになるだろう。なお、最近は些細な発言でもアルゴリズムを取り入れたAI取引が過剰に反応し、大きな動きを見せることがあるので、神経質な動きになることが予想される。
また。午後には前金融庁長官の氷見野良三氏と日銀理事の内田眞一氏から所信を聴取したうえで、質疑を行う予定。両正副総裁候補の所信聴取が市場の最大のトピックとはなるが、本日は米国からも米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している1月の個人消費支出(PCE)価格指数が発表される予定。その後も米連邦準備理事会(FRB)関係者の講演が多数予定されていることで予断を許さない1日となりそうだ。
【本日の重要指標】
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ☆ 1月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合、予想:前年比4.2%)
○08:30 ☆ 1月全国CPI(生鮮食料品・エネルギー除く、予想:前年比3.3%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○衆院議院運営委員会による日銀正副総裁候補への所信聴取・質疑
<海外>
○09:01 ◇ 2月英消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲43)
○16:00 ☆ 10-12月期独国内総生産(GDP)改定値(季節調整済、予想:前期比▲0.2%/前年同期比1.1%)
○16:00 ☆ 10-12月期独GDP改定値(季節調整前、予想:前年同期比0.5%)
○16:00 ◇ 3月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲30.4)
○16:45 ◇ 2月仏消費者信頼感指数(予想:80)
○16:45 ◎ ナーゲル独連銀総裁、リントナー独財務相、会見
○21:00 ◎ 10-12月期メキシコGDP確定値(予想:前期比0.4%/前年比3.5%)
○22:30 ◎ 1月米個人消費支出(PCE、予想:前月比1.3%)
◎ 1月米個人所得(予想:前月比1.0%)
☆ 1月米PCEデフレーター(予想:前年比5.0%)
☆ 1月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.4%/前年比4.3%)
○24:00 ☆ 1月米新築住宅販売件数(予想:前月比0.7%/62.0万件)
○24:00 ◎ 2月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:66.4)
○25日00:15 ◎ ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)理事、メスター米クリーブランド連銀総裁、金融政策関連のイベントに参加
○25日01:30 ◎ テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○25日01:30 ◎ ブラード米セントルイス連銀総裁、討議に参加
○25日03:30 ◎ コリンズ米ボストン連銀総裁、金融政策関連のイベントであいさつ
○25日03:30 ◎ ウォラーFRB理事、金融政策関連のイベントに参加
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(インド・ベンガルール、25日まで)
○ロシア(振替休日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
23日08:32 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「物価の安定は絶対必要」
「ここ数カ月で物価は下がっているが、期待したほど早くは上がらないという兆候もある」
「供給を上回る需要があり、労働市場は非常に強い」
「インフレ期待のアンカーが外れるのを許したくない」
「2%のインフレは基本的な目標だ」
23日20:13 トルコ中銀声明
「1週間物レポレートを9.00%から8.50%に引き下げ」
「翌日物借入金利を7.50%から7.00%に引き下げ」
「翌日物貸出金利を10.50%から10.00%に引き下げ」
「現状の金融緩和策は、地震からの景気回復を下支えする」
「地震の影響は注視していく」
「地震による景気減速は永続的なものではなく一時的なもの」
23日22:30 黒田日銀総裁
「G7は世界的な金融引き締め、ロシアの戦争について議論」
「日本は安定した物価上昇に向け金融緩和を継続する」
「日本のインフレは2023年度半ばに2%未満に低下するだろう」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=上値90日線より、下値の転換線に近づく流れへ>
上影小陰線引け。135.36円まで年初来高値を更新した。昨年12月20日以来の高値圏でもある135円台で伸び悩む展開が続いている。
低下中の90日移動平均線も135円台へ低下してきた。相応の売り圧力が想定される同線に近づきつつも押し戻されるパターンから、押し目を深める流れへと地合いをより弱めそう。ここからは、90日線と一目均衡表・転換線に挟まれたレンジ内で、現在やや下値の133.44円に位置する転換線へ近づく展開か。
レジスタンス1 135.36(2/23高値=年初来高値)
前日終値 134.70
サポート1 133.93(2/20安値)
サポート2 133.44(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロドル=90日線前後では底堅さ示し切り返すか>
小陰線引け。本日1.0626ドル前後に切り下がった5日移動平均線を下回るレンジでの重い推移が継続している。1.0527ドル前後に位置する90日線を試すことになるか。上昇中の同線前後では底堅さを示し、切り返す展開が期待できる。だが、十分なサポートが得られなければ、1月6日につけた年初来安値1.0484ドルが視野に入ってくる。
レジスタンス1 1.0664(2/22高値)
前日終値 1.0596
サポート1 1.0527(90日移動平均線)
<ポンド円=転換線を超える水準への浮上を予想>
陰線引け。一目均衡表・雲の上限162.32円付近でしばらく振幅していたが地合いを弱め、161.68円まで下値を探った。昨日は161.03円に位置していた一目均衡表・転換線を維持できた。しかし本日161.94円へ切り上がった同線を下回る格好となっている。上昇が続く見込みの転換線を超える水準への浮上を予想するが、戻しきれなければ一目・基準線160.25円が意識される展開へ目線が下がるだろう。
レジスタンス1 162.56(ピボット・レジスタンス1)
前日終値 161.82
サポート1 161.17(2/20安値)
<NZドル円=頭打ち傾向の転換線に代わり基準線が支えに>
極小陽線引け。昨日の極小陰線に続き、方向感が見定めにくい状態が続く。一目均衡表・雲のレンジを中心とした推移であることも動意を鈍らせやすい。一目・転換線付近で下げ渋ったが、現状からすれば同線は現水準83.97円で頭打ちの公算。ややサポートが緩む可能性はある。だが代わって、まだ若干上昇が続く見込みの一目・基準線が支えとなりそう。目先の深押しは回避できるだろう。
レジスタンス1 84.48(2/16高値)
前日終値 83.89
サポート1 83.49(日足一目均衡表・基準線)
情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社
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