【前日の為替概況】ドル円、一時134.46円まで上昇 予想を上回る米1月PPIを受け
【前日の為替概況】ドル円、一時134.46円まで上昇 予想を上回る米1月PPIを受け
16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4営業日ぶりに反落。終値は133.94円と前営業日NY終値(134.16円)と比べて22銭程度のドル安水準だった。14日の1月米消費者物価指数(CPI)に続き、本日の1月米卸売物価指数(PPI)も予想を上回ると、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めの長期化が意識されて、米長期金利の上昇とともにドル買いが先行した。24時前には一時134.46円と1月6日以来の高値を更新した。メスター米クリーブランド連銀総裁が「金利は5%を超えてしばらくそこにとどまる必要がある」「前回のFOMCでは0.50%の利上げでも説得力があった」と述べたことで、市場では「3月のFOMCでは0.50%の利上げもあり得るのではないか」との思惑も浮上した。ただ、1月6日の高値134.77円がレジスタンスとして意識されると失速した。ダウ平均が一時440ドル超下落するなど、米国株相場が軟調に推移したことも相場の重しとなり、133.70円付近まで押し戻された。
ブラード米セントルイス連銀総裁が「前回FOMCでは0.50%の利上げを主張」「3月FOMCで0.50%の利上げを支持する可能性を排除しない」と発言すると134.02円付近まで強含む場面もあったが、戻りは鈍かった。
ユーロドルは小幅続落。終値は1.0674ドルと前営業日NY終値(1.0689ドル)と比べて0.0015ドル程度のユーロ安水準だった。米インフレ指標の上振れで、米利上げの長期化観測が強まると全般ドル買いが優勢となり、一時1.0655ドルと日通し安値を更新した。米10年債利回りが3.8705%前後と昨年12月30日以来の高水準を付けたことも相場の重し。その後の戻りも1.0698ドル付近にとどまった。
ユーロ円は4日ぶりに反落。終値は142.97円と前営業日NY終値(143.40円)と比べて43銭程度のユーロ安水準。しばらくは143円台前半でのもみ合いが続いていたが、米国株が軟調に推移するとリスク回避目的の円買い・ユーロ売りがじわりと強まった。6時過ぎに一時142.86円と日通し安値を更新した。
【本日の東京為替見通し】ドル円、上昇トレンド変わらずも米3連休前で伸び悩みか
本日の東京外国為替市場のドル円は、来週20日はニューヨーク市場が休場のため、3連休を控えた米系筋のドル買い持ちポジションの手仕舞いで上値が重い展開が予想される。
米国1月の消費者物価指数(CPI)に続き、卸売物価指数(PPI)もインフレ鈍化傾向が終わりつつある可能性が示されたことで、米10年債利回りは3.87%台まで上昇し、ドルの買い戻し要因となりつつある。
ドル円は、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の両方で、ドル高・円安に回帰する可能性が高まりつつある。
ファンダメンタルズ分析では、次期日銀総裁候補の植田氏が「当面は金融緩和を続ける必要がある」との認識を示したことで、BOJピボット(日銀の利上げ転換)への警戒感が後退しつつある。そして、予想を上回った米国1月の雇用統計、小売売上高、CPIとPPIなども、FEDピボット(FRBの利下げ転換)への警戒感を後退させつつある。さらに、日本の1月の貿易赤字が過去最大を記録したように本邦実需筋の円売りがドル円を下支えしている。
来週24日の午前8時30分には日本の1月のコア消費者物価指数(予想:前年比+4.2%)が発表され、9時30分からは植田次期日銀総裁候補の衆議院での所信聴取と質疑応答が予定されている。インフレ率+4%台とマイナス金利(▲0.10%)の整合性に対する見解が注目されている。
ドル円のテクニカル分析では、第3波動(102.29円から151.95円)の半値押し127.23円で第4波動が終了し、ダブル・ボトム(127.23円・128.09円)のネック・ライン131.58円を、窓を空けて上抜けたことで、上昇トレンドが始まった可能性を示唆している。
一目均衡表では、均衡表が好転(転換線>基準線)、遅行スパンも好転(遅行スパン>26日前の実線)という「二役好転」と雲の中での堅調推移により、買いシグナルが優勢な展開となっている。しかし、雲(下限131.97円・上限137.96円)の中で、下降中の90日移動平均線が上昇中の200日移動平均線を下抜けつつあることには留意しておきたい。
ボリンジャー・バンドでは、+2シグマを上抜けつつあるものの、上昇トレンドの始まりを示唆するヘッド・フェイクやスクイーズが確認されていない。
MACD(移動平均収束拡散法)では、1月20日の底値圏で買いシグナルが点灯しており、2月14日にプラス圏に浮上して、買いシグナルが強まっている。
【本日の重要指標】
※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○08:15 ◎ メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○16:00 ◇ 1月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比▲1.6%)
○16:00 ◎ 1月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比▲0.3%/前年比▲5.5%)
○16:00 ◎ 1月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比横ばい/前年比▲5.3%)
○16:45 ◇ 1月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.4%/前年比6.0%)
○18:00 ◇ 12月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○20:30 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○22:30 ◇ 12月対カナダ証券投資
○22:30 ◇ 1月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比▲0.1%)
○22:30 ◇ 1月カナダ原料価格指数(予想:前月比▲0.2%)
○22:30 ◇ 1月米輸入物価指数(予想:前月比▲0.2%)
○22:30 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○22:45 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○24:00 ◎ 1月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲0.3%)
○18日01:00 ☆ 10-12月期ロシア国内総生産(GDP)速報値(予想:前年比▲4.6%)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
16日11:27 松野官房長官
「日銀人事は情報漏えいなかった」
「事前に情報知り得た政府14名・候補者3名に聞き取り調査」
「報道出た10日時点で政府から候補者に就任要請はしていなかった」
「日銀人事、候補者への就任要請は13日」
16日22:50 メスター米クリーブランド連銀総裁
「金利は5%を超えてしばらくそこにとどまる必要がある」
「前回のFOMCでは50bpの利上げでも説得力があった」
16日23:18 ナーゲル独連銀総裁
「政策金利はまだ制限的な水準にはない」
「早過ぎる金融緩和は誤り」
17日00:12 レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト
「ECBの行動はデータに依存する」
「会合ごとに金利を設定するアプローチをとる」
「引き締めの結果としてインフレ率は今年1.2%程度、2024年は1.8%程度低下する見込み」
17日01:09 マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁
「インフレ率は6%を超えており、目標の2%にはまだ程遠いものの、インフレは曲がり角を迎えた」
「インフレ率は年央に3%程度まで低下し、2024年に目標に達すると予想」
17日04:11 ブラード米セントルイス連銀総裁
「インフレは依然として高すぎるが、最近は低下している」
「継続的な利上げはインフレの減速を固定するだろう」
「市場ベースのインフレ期待は相対的に低くない」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=買いシグナル優勢、2/14高値を支持に押し目買い>
陰線引け。雲の中で引けたものの、転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回っているため買いシグナルが優勢な展開。3手連続陽線の後に孕み線で反落したが、転換線を上回って引けているため反発の可能性が示唆されている。
本日は133円前半の14日の高値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は一旦手仕舞い。
レジスタンス2 135.76(2022/12/19安値)
レジスタンス1 134.77(1/6高値)
前日終値 133.94
サポート1 133.32(2/14高値)
サポート2 132.14(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロドル=低下中の転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。僅かながらだが雲の中で引けた。転換線は基準線を下回り、遅行スパンも実線を下回っているため売りシグナルが優勢な展開となっている。2手連続陰線で転換線を下回って引けており、続落の可能性が示唆されている。
本日は1.07ドル前半で下向きの転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0729(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0674
サポート1 1.0484(1/6安値)
<ユーロ円=雲の上限を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けているため三役好転の強い買いシグナルが点灯中。3手連続陽線の後、孕み線で反落したものの転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。しかし、2月15・16日の高値143.44円が「毛抜き天井」となる可能性には警戒しておきたい。
本日は142円前半で横ばいの雲の上限を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 143.44(2/15・16高値)
前日終値 142.97
サポート1 142.25(日足一目均衡表・雲の上限)
<豪ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けているため三役好転の強い買いシグナルが点灯中。2手連続陰線でも転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 93.05(2/15高値)
前日終値 92.14
サポート1 91.64(日足一目均衡表・転換線)
情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社
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