【本日の東京為替見通し】ドル円、米1月CPIのポジティブサプライズ警戒で底堅い展開か
【前日の為替概況】ドル円132.91円まで上昇、米10年債利回り上昇と日銀金融緩和継続観測で
13日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。終値は132.42円と前営業日NY終値(131.36円)と比べて1円06銭程度のドル高水準だった。1月米消費者物価指数(CPI)の発表を明日に控える中、米10年債利回りが一時3.7531%前後と1月5日以来の高水準を記録すると、円売り・ドル買いが先行。1時過ぎに132.91円と日通し高値を更新した。
明日14日に政府が次期日銀総裁として国会に提示する方針を固めている植田和男氏が、先週「当面は金融緩和を続ける必要がある」との認識を示したことで、金融緩和策の修正に対する警戒感が緩和していことも円売りを誘った。
ただ、引けにかけては132.26円付近まで伸び悩んだ。米10年債利回りが低下に転じたことや、ニューヨーク連銀の最新調査で3年後のインフレ期待が2年3カ月ぶりの低水準となったことが相場の重し。
なお、ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事はこの日、「我々が望むほどのインフレ緩和は見られない」「インフレを2%の目標に戻すために利上げを継続する」などと述べたが、相場の反応は限られた。
ユーロドルも反発。終値は1.0723ドルと前営業日NY終値(1.0678ドル)と比べて0.0045ドル程度のユーロ高水準だった。欧州連合(EU)の欧州委員会がユーロ圏の2023年の実質成長率を0.9%と前回の0.3%から上方修正したことで、欧州経済の先行き懸念が和らぎユーロ買いが優勢となった。ダウ平均が一時380ドル超上昇するなど、米国株相場が堅調に推移するとリスク・オンのドル売りも出て、一時1.0730ドルと日通し高値を更新した。NY連銀調査を受けて米インフレ鈍化を期待したユーロ買い・ドル売りも入った。
ユーロ円も反発した。終値は141.99円と前営業日NY終値(140.39円)と比べて1円60銭程度のユーロ高水準。欧米株高に伴うリスク・オンの円売り・ユーロ買いが優勢になると、一時142.39円と本日高値を更新した。
次期日銀総裁の下での金融緩和修正が慎重に進むとの観測を背景に、ユーロ円以外のクロス円も上昇した。ポンド円は一時161.20円、豪ドル円は92.49円、NZドル円は84.47円、カナダドル円は99.55円、スイスフラン円は144.26円まで値を上げた。
【本日の東京為替見通し】ドル円、米1月CPIのポジティブサプライズ警戒で底堅い展開か
本日の東京外国為替市場のドル円は、次期日銀総裁の下で金融緩和修正が慎重に進むとの観測や今夜発表される米1月消費者物価指数(CPI)のポジティブサプライズへの警戒感から底堅い展開が予想される。
今夜発表される米1月CPIは前月比+0.5%、前年比+6.2%と予想されているものの、ポジティブサプライズの可能性が警戒されている。すなわち、1月の米雇用統計がベンチマークの変更や季節要因などからポジティブサプライズだったように、CPIも前年比+6.5%以上となりインフレ鈍化傾向を打ち消す可能性が警戒されている。しかしながら、一方でインフレ鈍化傾向が続くとの予想もあることで、発表までは予断を許さない状況が続くことになる。
8時50分に発表される日本の2022年10-12月期実質国内総生産(GDP)は前期比年率+2.0%と予想されており、前期の同-0.8%からの回復が見込まれている。しかしながら、昨年の下半期の成長率は+1%を下回ることで、依然として景気の停滞感は払拭されない状況が続くことになり、日銀の量的金融緩和政策の継続が正当化されることになる。
政府は、本日、黒田日銀総裁の後任に経済学者で元日銀審議委員の植田氏、副総裁として氷見野前金融庁長官、内田日銀理事を衆院議院運営委員会の理事会に提示する。そして、24日に衆議院、27日に参議院で正副総裁候補に対する所信聴取と質疑が行われた後、両院の本会議で同意されれば内閣が正式に任命する。岸田政権による総裁と副総裁候補の指名からは、金融緩和政策の継続性と市場の安定確保を図りつつ、異次元の緩和策からの修正を慎重に進めたい意向が示唆されていることで、円安要因となっている。
可能性は限りなく低いものの、2008年の参議院での不同意の再現を念頭に置いておきたい。当時は、武藤日本銀行副総裁の総裁候補の提示に対して、参議院での、民主、共産、社民、国民新などの反対多数により不同意となり、総裁代行に任命されていた白川日銀副総裁が第30代日銀総裁に就任した。立憲民主党の安住国対委員長は、「アベノミクスの副作用が出始め、いわば『宴の後片付け』を誰がどうやるのかが問われている。国会審議で様々な観点から適格性についてただしていきたい」と述べている。
なお、サマーズ元米財務長官は、植田氏に関して、「日本のベン・バーナンキのような人だと考えられるだろう」と評した。FRB副議長やイスラエル中銀総裁を務めた著名経済学者スタンレー・フィッシャー氏のマサチューセッツ工科大学(MIT)の教え子には、サマーズ元米財務長官、バーナンキ第14代FRB議長、ドラギ第3代ECB総裁、ロウRBA総裁、そして植田第32代日銀総裁候補がおり、4人目の中銀総裁が誕生することになる。
バーナンキ第14代FRB議長は、2008年1月に「米国のリセッション(景気後退)入りの可能性は低い」と述べていたが、米国は2007年12月からリセッションに陥っていた。そして、2008年9月のリーマンショックを「住宅市場に限られた問題」として無視した人物であり、サマーズ氏は皮肉を込めて犬猿の仲であるバーナンキ氏に例えた可能性に警戒しておきたい。
【本日の重要指標】
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ☆ 10-12月期実質国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比0.5%/前期比年率2.0%)
○13:30 ◇ 12月鉱工業生産確報
○13:30 ◇ 12月設備稼働率
〇政府、日銀正副総裁の後任人事案を衆参両院の議運委理事会に提示
<海外>
○08:30 ◇ 2月豪ウエストパック消費者信頼感指数
○09:30 ◇ 1月豪NAB企業景況感指数
○16:00 ◇ 1月独卸売物価指数(WPI)
○16:00 ◎ 1月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○16:00 ◎ 10-12月英失業率(ILO方式、予想:3.7%)
○16:00 ◎ 10-12月期ノルウェーGDP(予想:前期比0.8%)
○16:30 ◇ 1月スイス生産者輸入価格
○19:00 ☆ 10-12月期ユーロ圏GDP改定値(予想:前期比0.1%/前年比1.9%)
○22:30 ☆ 1月米消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.5%/前年比6.2%)
☆ エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.4%/前年比5.5%)
○23:30 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、インタビュー
○15日01:00 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、討議に参加
○15日01:30 ◎ ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○15日01:30 ◎ マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
○15日04:05 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
○欧州連合(EU)財務相理事会
○北大西洋条約機構(NATO)国防相会議(ブリュッセル、15日まで
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
13日08:01 米国防総省
「12日撃墜した飛行物体、米軍の機密施設近くを飛行」
「飛行物体に監視能力ある可能性を理由に撃墜」
13日23:00 ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事
「我々が望むほどのインフレ緩和は見られない」
「労働市場は依然として非常に堅調」
「次のFOMCまでの間には多くのデータが得られる」
「インフレを2%の目標に戻すために利上げを継続する」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=2/13安値を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の下で引けているものの買いシグナルが優勢な展開となっている。抱き線で反発して転換線を上回って引けており、続伸の可能性が示唆されている。
本日は、13日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 134.77(1/6高値)
レジスタンス1 133.00(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 132.42
サポート1 131.41(2/13安値)
サポート2 130.50(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陽線引け。雲の上で引けているものの、転換線は上昇した基準線と同値、遅行スパンが実線を下回ったため三役好転が消滅した。孕み線で反発したものの、1.0845ドルで並んでいる基準線と転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0845(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0723
サポート1 1.0612(日足一目均衡表・雲の上限)
<ポンド円=2/10高値を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の中で引けているものの、買いシグナルが優勢な展開となっている。抱き線で反発して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は、10日の高値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 161.20(2/13高値)
前日終値 160.74
サポート1 159.63(2/10高値)
<NZドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。雲の中で引けているものの、一目・転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回っているため買いシグナルが優勢な展開。抱き線で反発して転換線を上回って引けており、続伸の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 84.60(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 84.20
サポート1 83.40(日足一目均衡表・転換線)
情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社
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