FOMCの強気の発言を受け、ユーロ/米ドルがレジスタンスラインに到達

Article By マーケットアナリスト


先週4%という大幅な回復を見せたユーロ/米ドル価格は、長期的なレジスタンスレンジである1.0350ユーロ付近に到達して値を下げた。欧州の経済的苦境、さらに米国と欧州の金融政策の間に依然として大きな隔たりがあることへと投資家の関心が戻ったためだ。単純に週明けのユーロ/米ドルが値下がりしたというだけではない。連邦準備制度理事会の理事クリストファー・ウォラーの「[利上げについて]まだ先は長い」というコメントを受け、ドルの勢いが急速に戻っているようだ。このニュースはゴールド価格と米ドル指数先物価格には重石となり、米ドル/円価格は金曜の安値から200pips回復している。

ウォーラー理事:「次回や次々回の会合で利上げを止めることはない」

ドルが4週連続で下落し、2020年以降最悪のパフォーマンスを示すという痛手を受けた後、ウォーラー理事が今後の利上げの見通しを示したことで、ドルの強気筋では安心感が広がった。

ウォーラーは次のように述べた。「金利が今後も上げ続けるし、インフレ率が下がり我々の目標値に近づくまでは高金利を維持しなければならない。まだ先は長い。次回や次々回の会合で利上げが終わることはない」

 

ユーロ圏鉱工業生産指数にサプライズが

欧州からは良いニュースが入ってきた。今朝発表されたユーロ圏鉱工業生産指数が予想よりも好調だったのだ(予測値の前月比0.1%に対し、前月比0.9%にまで上昇。前回の数値も1.5%から2.0%に上方修正された)。とはいえ、これはユーロの価格を押し上げるには不十分だった。多くの分析では、ユーロ圏の経済はまだ強力な回復基調に入ったといえる段階ではないと見られている。物価高騰の中で需要が減り、企業の新規受注が依然として減少を続け、ユーロ圏の経済活動を圧迫しているためだ。10月のユーロ圏の消費者物価指数(CPI)は史上最高水準を更新する10.7%を記録し、ここからは下がっていく可能性もあるとはいえ、今後も消費者に重い負担がかかることになる。欧州委員会はユーロ圏のインフレ率について、今年の平均を8.5%2023年の平均を6.1%と見ている。いずれも7月の予測より大幅に上がっている。

「先行きの不確実性が高まる中、エネルギー価格上昇による圧力、家計の購買力の低下、外部環境の悪化と金融政策の引き締めが、EU、ユーロ圏、ほとんどのEU加盟国を景気後退に追い込むと見込まれる」と欧州委員会は述べた。

 

ユーロ/米ドル価格は2017年の安値を試す展開

ユーロ/米ドル価格は2017年の安値である1.0340ユーロ付近を試している。先週の大幅な値上がりにより、短期的な見通しとしては「買われすぎ」の価格に至ったことから、当然ながら売り展開が続いている。次のサポートラインは1.0200ユーロ付近で、そこを割ると1.0090ユーロ付近のブレイクアウトエリアが再度試されるかもしれない。

 

 

 

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