ユーロと米ドルの話題:
- ユーロ/米ドルは、先月1.1275ドルのレジスタンスラインに触れて以来、弱含みの傾向を示しており、今朝は1.0900ドルの下で新たな安値を試す展開となった。
- 売り展開はその後縮小し、現在の価格は過去にレジスタンスラインだったサポートゾーンを維持している。弱気筋が参入する余地は大いにあるが、問題は彼らがトレンド継続のために戻ってくるかどうかだ。今週はインパクトの大きい欧州の経済データの発表がいくつか予定されており、それがこのテーマの押し目となる可能性が高い。
- 関連事項として、米ドルは下降ウェッジパターンからのブレイクアウトを続けており、長期的な強気シナリオへの扉を開いていることから、これがユーロ/米ドルにとって弱気方向への駆動力になり続ける可能性はある。
ユーロ/米ドルは引き続き弱含みで推移しており、今朝は1.0943ドルのフィボナッチレベルの下を試す売りが出て、新たな安値を更新した。弱気筋によって1.0900ドルを割り込む場面もあったが、この動きは長続きせず、価格は1.0943ドルの過去のサポートゾーンまで引き戻されている。
現段階では、過去にサポートエリアだった先週の安値から1.0943ドルのレベルまでがレジスタンスとなる可能性がある。このため弱気筋が参入する余地は大いにあるが、この動きを維持できるかどうかが大きな問題となる。価格変動要因という点では、先月発表された一連のPMIの悪化がユーロの強気の流れを弱め始めたことから、明日発表されるZEWセンチメントサーベイがカギを握る可能性がある。米国東部時間で明日午前5時には、ドイツとユーロ圏のZEWサーベイが発表されるが、これが主な価格変動要因になるかもしれない。水曜日には第2四半期GDPが発表され、これも同様に鍵となる可能性があるものの、これは遅行指標であることから火曜日のデータほどには話題にならないだろう。そして金曜日には欧州のインフレデータが発表される。これは9月のECB理事会における利上げの可能性を左右するもので、この問題に強い影響を与えるだろう。現時点ではコアインフレ率が5.5%と予想されているが、これが予想を下回れば、ECBに対する利上げ圧力は少し弱まる。さらに他のデータが下振れしていることを考えると、ECBが次回会合で利上げを一時停止するか、少なくとも9月の利上げを見送るという見通しが説得力を増してくるかもしれない。
以下の4時間足チャートからは、今朝になって弱気の三角持ち合いからのブレイクが生じつつあり、1.0943ドルがサポートの上端にあることがわかるだろう。
ユーロ/米ドル4時間足チャート
チャート作成:James Stanley、 Tradingviewのユーロ/米ドル
より長期的なユーロ/米ドルの値動き
一歩下がって日足チャートを見ると、重要なコンテクストが見えてくる。ユーロ/米ドルは今年の大半を平均回帰の様々な状態で過ごしてきた。7月に1.1275ドルのレジスタンスにぶつかったのは、このパターンからのブレイクアウトの試みであったが、強気筋はこの動きを維持することができず、価格は以前のレンジに押し戻された。
しかし注目すべきなのは、このブレイクアウトの前に存在していたレジスタンスラインで、弱気筋から何度か強い反応を引き出しながら、今年最初の6ヵ月間を通して高値を維持していた。ただしこの価格帯では長期にわたる乱高下があったことから、短期的なレジスタンスラインを追跡すると問題が複雑になる。弱気のが維持されている一方で、いくつかの異なる展開が考えられるからだ。
最もアグレッシブなのが1.0912~1.0943ドルのゾーンを維持することで、これは弱気筋がプルバックを長引かせることなく、高値を下げてレジスタンスラインを維持する意思があることを明確に示すことになり、継続的なブレイクダウンの可能性が保たれる。もう少し上、1.1000ドルの内側で売り手が参入すると、同様に弱気筋にとってプラスに解釈される可能性がある。1.1000ドルという心理的水準の内側で高値を抑えておくという売り手の意志がわかるためだ。しかし、1.1000より上では問題は少し複雑になる。明日の日足では、下降トレンドラインは1.1038ドルのレベルと合致しているが、強気筋がここを突破すれば、弱気筋が敗北しつつあるように見え始めるだろう。しかし、1.1096ドルは引き続き注目のスポットであることから、可能性が完全に閉ざされることはないはずだ。
ユーロ/米ドルの日足チャート
チャート作成:James Stanley、Tradingviewのユーロ/米ドル
ユーロ/米ドルの全体像
さらに一歩下がって週足チャートに目をやると、もう一つ注目しておきたい点として、弱気筋が長期的なトレンドラインの下へと価格を押し下げ始めている。このトレンドラインは昨年9月と今年5月の安値を結んだもので、1.0943ドルがサポートとして試され始めたのと同じ8月上旬に現れ始めた。このトレンドラインは先週火曜日には安値を維持していたが、金曜日になると、米ドルのブレイクアウトが下降ウェッジを形成するレジスタンストレンドラインに差し掛かったところで、徐々に道をゆずり始めた。
このため、弱気筋は新たなトレンドを押し出す立場にあり、今後数日間に予定されているデータ発表がここで役割を果たす可能性が高い。以下の日足チャートから、次のサポートとして注目されるのは、6月のスイングローだった1.0845ドル付近である。1.0845ドルがサポートされれば、安値が下がり、またこのサポートがより安い高値になる可能性も出てくる。
売り手が1.0845ドルより下に到達すれば、次の主要なサポートは1.0611~1.0638ドルのゾーンとなる。しかしこの2つのスポットの間にはかなりの距離があることから、心理的にキリの良い1.0750ドル付近がサポートになる可能性もある。ここは今年何度も取引された水準だが、1.0845ドルと1.0611~1.0638ドルの2つのゾーンの中間点として機能する可能性がある。
ユーロ/米ドル日足チャート
チャート作成:James Stanley、Tradingviewのユーロ/米ドル
米ドル
ユーロは米ドル指数(DXY)のバスケットのうち実に57.6%を占めているため、ユーロ/米ドルの長期的なトレンドの可能性を検討する際には、DXYのダイナミクスに注目するとよい。
ユーロ/米ドルで長期的なトレンドラインが見られるように、DXYでも同じような鏡像のテーマが見られ、下降ウェッジパターンのレジスタンス側を上抜けるかどうかを試しているところだ。先週は消費者物価指数(CPI)の発表に対する反応のすぐ後でこの点に言及したが、この時はヘッドラインとコアCPIともに予想を下回ったにもかかわらず、強気筋の独壇場であるように見えた。
このフォーメーションの上にあるトレンドラインは、今年に入ってからは強気筋にとって非常に難しい領域となっており、何度かブレイクスルーを試みるも失敗している。5月と6月の2週間、このトレンドラインは10日以上にわたってレジスタンスとなり、終値での上抜けは一度もなかった。そして、7月にこのトレンドラインが再び視野に入った際は、ほんの短期間にわたって試された後ですぐに売り手が姿を見せ、DXYの年初来安値を更新した。しかし弱気筋はこの動きを継続することができず、価格はこの1カ月で反発し、このフォーメーションからのブレイクアウトに至った。
現段階では、DXYの103.45レベルのレジスタンスラインが維持されており、強気筋が上向きのトレンドを継続する可能性は残されている。しかし7月のブレイクダウンの時と同様、ここでの大きな試練は、安値を引き上げていくサポートを示して買い手が動きを維持できるかどうかだ。102.82~103.00ドル付近の大きなレジスタンスエリアが、買い手の参入に理想的な位置になりそうだ。
米ドル-米ドル指数(DXY)価格チャート(参考用、FOREX.comのプラットフォームでは利用できません)
チャート作成:James Stanley、データ取得元:Tradingview
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