ユーロ価格見通し:ユーロ/米ドルのサポートラインは1.0500ドル。売られすぎからの反発か、あるいは底値となるか?
ユーロ、ユーロ/米ドルの話題
- ユーロ/米ドルは、2023年第1週の取引で1.0500ドルのサポートを1日だけ試していたが、先週にはそれ以来初めてこの価格が視野に戻ってきた。
- 7月に1.1275ドルでピークをつけて以来、この通貨ペアでは弱気な急落が続いている。値下がりのトレンドによって、先週には日足チャートのRSIが売られすぎを示したが、これは同ペアが昨年底を打って以来初めてのことである。にもかかわらず、売り手は今週、1.0500ドルを試しに向かい、昨日のWebセミナーで筆者はこの話題を時間を割いて取り扱った。
ユーロ/米ドルの弱気トレンドは、先週には11週連続で値下がりをつけるという新記録に至った。これは1999年のユーロ発足以来、週足チャートでは最長の記録となる。米国債利回りが上昇を続ける中、このユーロの弱気トレンドは世界市場の支配的なテーマを際立たせるものだ。利回りがほとんど放物線状に急上昇していることから、米ドル側での利益は劇的なものになっている。
この状況は市場全体に影響を与えている。為替市場では米ドル高が支配的なテーマであり続け、金も失速して先週には過去2年以上で最大の週間損失となった。株式市場も同様に低迷しており、利回りの急上昇が続くにつれて、より大きな調整の可能性に対する懸念が高まっている。
ユーロ/米ドルが昨年日足チャートで底を打って以来、初めて売られ過ぎを示している中、今週に入って1.0500ドルを試すという動きも、これである程度説明がつく。米国金利の上昇に対する懸念とともに、欧州経済の道筋に対する不安もあり、それがここ数ヶ月の一貫した弱気相場の一因となっている。
ただし昨日のWebセミナーでも述べたが、心理的水準が試される可能性が出てくればこの流れはある程度失速するかもしれない。心理的水準とはその性質上、そこより下は安く、また上では高く「感じられる」ものだ。特に急落の後であれば、心理的水準を割り込もうとする動きから市場にお買い得感が生まれ、値下がりの失速あるいはプルバックが起こる可能性もある。
弱気の値動きが失速し始めれば、ショートは手仕舞いを余儀なくされる可能性があり、カバーのための買いが必要になることから自然と需要が伴う。そしてこの時点で、心理的水準が守られるか弱気相場が失速し、最初の逆トレンドの動きと合流することでより深い反発の可能性が出てくる。
以下の日足チャートでは、価格が1.0500ドルというキリの良い数字を上抜けようとしているのがわかる。
ユーロ/米ドル日足チャート
チャート作成: James Stanle、Tradingviewのユーロ/米ドル
ユーロ/米ドルの心理レベル
昨日のWebセミナーでこのペアを見たときに、値下がりはすでに失速のきざしを見せ始めていたが、新たに安値がついたことを踏まえると失速がプルバックにつながるかはまだ明らかではなかった。
しかし筆者は、こうした要素が影響する上で心理的水準が果たしうる役割を強調した。多くの小売業者は消費者の行動に影響を与えるために、人間の心理を利用した同じような戦略を使っている。価格が「0.99」刻みで終われば、商品が安く感じられる。99.99ドルの商品は、100.01ドルより2セント安いだけで、単純に安く感じる。そのため自然と、多くの小売業者は99.99ドルという価格を使うことになる。
この現象は為替市場でも起こりうることで、新年を迎えてユーロ/米ドルでも同様の現象が見られた。
ユーロ/米ドルは先週に入るまでに1日だけ、1.0500を割り込もうとした日があった。新年の最初の週のことだ。しかし安値はここで尽き、翌月には1.1000ドルの水準にまで急伸した。
しかし同様にここが強気筋にとっての節目になり、1.1000を試したのが2月の高値となって、価格は1.0600ドルよりも下へと戻った。
ユーロ/米ドル日足チャート
チャート作成:James Stanley、Tradingviewのユーロ/米ドル
より大局的なユーロ/米ドルの動き
週足チャートからはいくつか重要な価格帯が見てとれる。次にサポートになりそうなエリアは1.0370ドル付近で、ここは過去にスイングサポートからレジスタンスに変わった地点だ。もし価格が急に動けば、日足ではかなりの売られすぎの状況になると思われ、週足でもRSIは売られすぎの領域に入る可能性がある。
値上がりの側では、おなじみの1.0611ドル付近が引き続き注目される。ここは2021年~2022年の大きな動きからの38.2%のフィボナッチリトレースメントにあたり、同じ値動きの61.8%のリトレースメントが7月の高値に貢献した。50%にあたる1.0943ドルは8月に重要な役割を果たした。
ユーロ/米ドル週足チャート
チャート作成:James Stanley、Tradingviewのユーロ/米ドル
現時点では、先週1.0500ドルを初めて試した後、1.0611ドルが短期的な抵抗を維持するのに役立っていた。その後1.0500ドルの節目を割り込み、値下がりの勢いが失速している。
1.0500ドルから反発できれば、1.0611~1.0636ドルが重要になってくる。強気筋がここを上抜けることができれば、1.0673ドルがより深いレジスタンスとなる可能性がある。ここは過去のスイングで、明日の朝頃には4時間足チャートで弱気のトレンドラインと合流する地点だ。その上では、1.0766付近に重要なスイングが存在する。強気筋がここで素早く動くことができれば、この反発がより深いプルバックに転じる可能性が高まるだろう。
ユーロ/米ドル4時間足チャート
チャート作成:James Stanley、Tradingviewのユーロ/米ドル
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