ユーロ見通し:ユーロ/米ドル
ユーロ/米ドルは2020年6月以来となる8日間の値上がりを記録した後、地合いを維持するのに苦戦しており、相対力指数(RSI)は70を割り込んで教科書通りの売りシグナルを示している。
ユーロ見通し:ユーロ/米ドルのプルバックがRSIの売りシグナルを誘発
最近のユーロ/米ドルの値上がりは、2023年に入ってから初めてRSIが買われすぎの値を示していることから、これまでの値動きとはやや異なるようだ。さらに欧州中央銀行(ECB)が「基本的なインフレ率の低下は、インフレ率を2%の目標に確実に戻すにはまだ十分ではない」と警告していることから、ユーロは対米ドルで引き続き高いパフォーマンスを出す可能性がある。
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ECBの6月の会合では、「インフレは引き続き高すぎる状態が長く続くと予想される」ため、政策決定委員会がより引き締めを強める可能性を示唆した。またラガルド総裁らは「インフレ率を適時に目標値に戻すため、金融政策がまだカバーすべき領域があることを伝えることが不可欠と考えられた」として、次回7月27日の会合で25bpの追加利上げを実施すると思われる。
それまでの間は、RSIが買われすぎの領域からふたたび下がるにつれて、ユーロ/米ドル価格は収束していく可能性があり、政策の変更が迫っていると見られる中で米国の連邦準備制度理事会(FRB)がFRBと同様の姿勢を打ち出すかどうかが注目される。
出典:CME
CME FedWatchツールによると、市場参加者は2023年のターミナル・レートが5.25%から5.50%になる確率を70%以上と見ており、米国の連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げサイクルの終盤に差し掛かる中、FRBによるハト派的な利上げは米ドル価格に逆風をもたらす可能性がある。
ただし、FOMCはさらなる金利の引き上げの可能性を残しておくかもしれない。クリストファー・ウォーラー総裁は「経済予測サマリー(SEP)では今年の終わりまでに2回の追加利上げを示唆している」と述べている。FRBが金融政策についてタカ派的なフォワードガイダンスを提示すれば、ECB理事会の前にユーロ/米ドル価格は逆風に直面する可能性がある。
以上を踏まえ、来週予定されているFRBとECBの政策金利決定は、両中央銀行がインフレ対策をさらに強化することが予想されることから、ユーロ/米ドルの短期的な見通しに影響を与える可能性が高い。しかし最近のプルバックではRSIは70未満に下がっており、教科書通りの売りシグナルが出ている。
ユーロ価格チャート - ユーロ/米ドル日足
チャート作成:ストラテジスト、David Song TradingViewのユーロ/米ドル
- ユーロ/米ドルは先週4月の高値(1.1096ドル)を超え、8日間の上昇を記録した。今年の高値(1.1276ドル)を更新したことで、2023年以来初めて相対力指数(RSI)が買われ過ぎの領域に突入している。
- ただし、1.1270ドル(50%のフィボナッチエクステンション)~1.1280ドル(61.8%のフィボナッチリトレースメント)の突破/終値での上抜けができず、RSIオシレーターが70を下回ったことから、教科書通りのRSI売りシグナルが発生している。
- 1.1070ドル(23.6%のフィボナッチリトレースメント)~1.1090ドル(38.2%のフィボナッチリトレースメント)付近の過去のレジスタンスゾーンは、4月の高値(1.1096ドル)を包めて注視したいところだ。しかし主要なピボットゾーンへの反応に失敗した場合、50日間移動平均(1.0883ドル)に沿った1.0880ドル(23.6%のフィボナッチリトレースメント)~1.0940ドル(50%のフィボナッチリトレースメント)の領域が視野に入ってくるかもしれない。
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