ユーロ見通し:ECB会合後の売り展開で、ユーロ/米ドルでは5月の安値が焦点に

Article By ストラテジスト

ユーロ見通し:ユーロ/米ドル

ユーロ/米ドルは、欧州中央銀行(ECB)が予想外の25bpの利上げを決めたにもかかわらず、6月の安値(1.0662ドル)を更新した。9月のオープニングレンジを守れなかったことから、最近の値動きは為替レートがさらに下落する可能性を示している。

 

ユーロ見通し:ECB会合後の売り展開で、ユーロ/米ドルでは5月の安値が焦点に

ECBクリスティーヌラガルド総裁が「ユーロ圏の金利は、十分な期間にわたって継続すれば、適切な時期にインフレが目標値に戻ることに大きく貢献する水準に達した」と述べ、政策委員会が「経済成長に対するリスクは下向きに傾いている」として利上げサイクルが終盤に差し掛かっていることを示唆するコメントを発表する中、ユーロ/米ドルは今月の安値(1.0639ドル)を更新した。

結果としてジェロームパウエル議長らが米国での利上げの可能性を残す中、920日の米連邦準備制度理事会(FRB)の金利決定を前にユーロ/米ドルは価格の維持に苦労している。トレンドに変化が見られることから、5月の安値(1.0635ドル)を守れなかった場合には3月の安値(1.0516)を試す展開となる可能性がある。

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経済予測サマリー(SEP)の更新が予定されていることから、米国の連邦公開市場委員会(FOMC)の今後の動向がユーロ/米ドルの短期的な見通しを左右する可能性がある。また、米消費者物価指数(CPI)の総合値が7月の前年比3.2%から8月には3.7%に上昇したことを受け、FRBがインフレ対策として追加措置を講じるのかどうかはまだ未知数だ。

それまでの間、ユーロ/米ドルは9月のオープニングレンジを割り込んだことから、しばらくは逆風に直面する可能性がある。為替レートがさらに下落すれば、トレンドの変化が見受けられることから、相対力指数(RSI)が2023年に初めて売られ過ぎの領域に入る可能性がある。

上記を踏まえ、FRBの金利決定を前にユーロ/米ドルの値動きが注目される。同ペアは今月の安値(1.0639ドル)を更新しており、50日間移動平均(1.0936ドル)が負の傾斜を形成しつつあることから、5月の安値(1.0635ドル)の防衛に失敗するとさらに3月の安値(1.0516ドル)を試す可能性がある。

ユーロ/米ドル日足チャート

チャート作成:ストラテジスト、David Song EUR/USD on TradingView

  • ユーロ/米ドルは6月の安値(1.0662ドル)を下回り、9月のオープニングレンジを割り込んでいる。50日間移動平均(1.0936ドル)が最近になって負の傾斜を形成しており、トレンド転換の可能性を強調している。
  • 1.0610ドル(38.2%のフィボナッチリトレースメント)~1.0650ドル(78.6%のフィボナッチリトレースメント)付近を割り込むか終値で下回れば、3月の安値(1.0516ドル)が視野に入ってくる。相対力指数(RSI)が2023年に初めて売られ過ぎの領域に突入すれば、弱気相場の勢いの加速を際立させることになるだろう。-
  • 1安値(1.0483ドル)付近が次の注目エリアとなるものの、ユーロ/米ドルが5月の安値(1.0635ドル)を防衛した場合には、RSIは引き続き30以上を維持する可能性がある。
  • 今月の高値(1.0882ドル)が再び視野に入るには1.0790ドル(51.8%のフィボナッチリトレースメント)を上回る必要がある。1.0880ドル(23.6%のフィボナッチリトレースメント)~1.0940ドル(50%のフィボナッチリトレースメント)付近を上抜けするか終値で上回れば、8月の高値(1.1065)が視野に入ってくる。



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