CPI発表と植田次期総裁の所信表明を前に、ユーロ/円が急落

主なまとめ:

  • 日本の1CPIの予想値は前年比4.2%
  • 日銀の植田次期総裁が金曜に所信表明
  • ユーロ/円はボラティリティの上昇が見込まれる

あと数時間で1月の日本のCPIデータが発表される。  東京のCPIは日本のCPIを示す主な指標といわれている。  126日に発表された東京の総合CPIは前年比4.4%となり、前年比4.2%という予想と、先月の前年比4%の数値を上回った。  さらに1月のコアCPIは大幅に上がり、前年比4.2%の予想値に反して前年比4.3%となった。12月の値は前年比3.9%だった。  これは1981年以来の最高値となる。  日本全体の総合CPIも、12月の前年比4%に対して1月は4.2%に上がると見込まれている。  コアCPIも同様に、12月の前年比4%に対して1月は前年比4.2%と予想されている。

日本銀行はインフレ率2%を目標としているが、日銀は金利を-0.1%に据え置いており、退任する黒田総裁は今年後半にはインフレ率が下がり始めると見込んでいる旨を述べた。  しかし3月の日銀会合は黒田総裁にとって最後の会合となる。  次の日銀総裁には植田和男氏が指名されている。  日銀の職を退いてからは学術の分野にいた人物だ。  植田氏は黒田総裁よりは多少アグレッシブな姿勢の人物と目されているものの、  最近は緩和的な金融政策を続けるべきだと述べていた。  金曜には国会での所信聴取が行われる。  植田氏が所信表明で、挑戦的で波紋を呼ぶようなことを述べるとは思えない。  おそらくは現在の金融政策の見直しを求めるかもしれず、あるいは政府の支援がまだ必要であると述べる可能性もある。

ユーロ/円は、3月上旬の124.39円で底を打った後、上昇ウェッジパターンを形成して値上がりを続けていた。  1220日には143.00円付近でのウェッジの頂点に近づいた後、パターンの下端を成すトレンドラインを割り込んだ。この日は日銀が10年物国債の制限を0.50%に引き上げた日だ。  ユーロ/円は13日には137.85円まで値を戻したが、その後じりじりと値上がりして221日には144.16円になっている。以来、この通貨ペアは50日間移動平均線と200日間移動平均線付近を周期的に行き来している。

出典: TradingviewStone X

しかし木曜のユーロ/円の値動きは非常に興味深いものだ。  木曜には142.56円の安値をつけた後、  値上がりを始め、米国の午前830のデータ公表後にはすぐに日中最高値の143.53円をに達した。   その後急落し、先の安値を割り込んで日中最安値の142.56円に達した。  この円買いはCPIが予想を上回るという見込みゆえか、あるいは植田氏が「非ハト派的」コメントを出すかもしれないという見込みだろうか?

出典: TradingviewStone X

240分足では143.00円が、最近のレジスタンスラインとサポートラインの両方を担った重要な価格水準になっていることがわかる。  金曜日のイベント後に値下がりが続けば、最初のサポートラインはは50日移動平均と200日移動平均の合流点にあたる141.31円と141.38円の間になる(日足チャートを参照)。  そこを割ると、213日の安値である141.52円、その下では210日の安値である139.55円まで値下がりしうる。  しかしCPIの値が予想を下回った場合、あるいは植田氏の姿勢が「予想よりハト派的」だった場合には、ユーロ/円は値上がりする可能性がある。  最初のレジスタンスラインは221日に到達した2023年の最高値である144.16円だ。  その上では、20221220日の高値である145.83円、20221215日の146.72円まで値上がりする可能性がある。

 

出典: TradingviewStone X

日本のCPIの発表を数時間後に控え、さらに日銀の植田次期総裁の所信表明が金曜日に予定されていることから、ユーロ/円のボラティリティは上がる可能性がある。  このペアはこれまで狭いレンジで取引されていたが、木曜に入って急な値下がりが見られた。  市場は日本での金曜のイベントに向けて準備を進めているのだろうか?  適切にリスクを管理してほしい。


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