先週金曜に発表された米国の非農業部門雇用者数に多くのトレーダーが注目する中、カナダも自国の雇用統計を公表した。これが目を見張るべき結果となっている。カナダの10月の雇用者数増減は、前月比でわずか1万人増という予想に対し、前月比で10万8,000増。なお9月は前月比で2万1,100人増となっていた。予想された数値が低かっただけでなく、実際の数値は予想を11倍も上回る結果となった。これはカナダで多くの雇用が創出された2月以来初めてのことだ。さらに驚くべきことに、フルタイム雇用が11万9,000件も増えている(つまりカナダではパートタイムの仕事が11,000件減ったということだ)。それに加えてカナダの10月の失業率も、5.3%に上昇するという予想に対して5.2%のままにとどまっている。カナダ銀行(BOC)は前回の会合で利上げを50bpにとどめ、10月の翌日物金利は3.75%となった。市場は75bpの利上げを見込んでいた。ただしコア・インフレ率にまだ緩和の兆しが見られないことから、BOCは今後も利上げを続ける必要があると述べた。この10月の雇用統計によって、政策委員会は多少、これまでより積極的な利上げに向かう決定を下しやすくなったと見るべきだろう。しかし11月の雇用者数増減は、次のBOC会合のわずか5日前にあたる12月2日に公表される。好調な雇用統計が続けば、中央銀行ではふたたび利上げ率を75bpに引き上げる機運が高まるかもしれない。
予想よりも雇用者数の伸びが大きく、また米ドルが弱くなったことから、米ドル/カナダドル価格は1.3502ドルで三尊パターンのネックラインを割り、9月13日の安値から10月14日の高値までの50%のリトレースメントレベルである1.3466ドルまであとわずかのところまで迫った。月曜の相場に大きな動きはなく、これに続く下落は起きていない。ただ、トレーダーたちは価格を押し下げる次のきっかけを待っているだけのように思われる。三尊パターンのターゲット価格は、ブレイクアウトを起点にヘッドからネックラインまでの値幅を加えた位置で、この場合は1.3050ドル付近となる。
出典: Tradingview、Stone X
240分足では、価格が1.3466ドルを割った場合の次のサポートラインは上述の期間の61.8%のフィボナッチリトレースメントにあたる1.3345ドル、その後は7月14日の水平サポートラインである1.3224ドルとなる。 ターゲット価格のすぐ下である1.3000ドルは心理的にキリの良い次のサポートレベルとなるだろう。ただし50%リトレースメントが維持されれば、最初のレジスタンスラインは11月3日の高値である1.3808ドル、その後は10月13日の高値である1.3978ドルとなる。 そこを抜けて価格が上昇すれば、次のレジスタンスラインは2020年5月の1.4008ドルだ。
出典: Tradingview、Stone X
10月のカナダの力強い雇用者数増加により、BOCは12月の利上げ率引き上げに向けてやや自信を深めたと思われる。とはいえ会合はまだ先だ。次回の会合の前に、政策委員会は消費者物価指数(CPI)と次の雇用者数増減も確認しなければならない。