カナダではインフレが続くも、米ドル/カナダドルに影響はなし

カナダ銀行(BOC)の前回の会合での利上げは、市場の75bpという予想に対して「わずか」50bpにとどまった(ただし、BOCはインフレと戦うために今後も利上げを継続するとも述べた)ものの、カナダのインフレ率は依然として高水準が続いている。 先週金曜、カナダは10月の生産者物価指数(PPI)を公表した。 総合PPI比は、予想値の前年比7.8%、および9月の前年比9.1%に対して、前年比10.1%となった。 6か月連続で低下した後で今回初めて上昇した形である。 またインフレ率は予想より高かったというだけではなく、先月に比べても大幅に上がっている。加えてカナダの10月の原材料価格も前月比で+1.3%上昇。予想は前月比-0.4%で、9月は前月比-3.1%だった。 今回のデータに先立って水曜に発表されたCPIは、インフレ率が先月の前年比6.9%という水準から変わらず推移していることを示していた。 ただしコアCPIは前年比6%から前年比5.8%に低下していた。

米ドルの多くの通貨ペアと同様、米ドル/カナダドルも2022年春から上昇を続けている。10月13日には、1.3978ドルの高値を付けた後値下がりに転じていた。 S&P500が3502で底を打ったのと同じ日であることに注目しておきたい。 その後、米ドル/カナダドルはS&P500の上昇に応じて下落し、三尊パターンを形成した。 このペアは11月10日には明らかにネックラインを割り、1.3224ドル近くの水平サポートに向かった。 三尊パターンのターゲット価格は、ブレイクダウンを起点にヘッドからネックラインまでの値幅を加えた位置である。 この場合のネックラインは1.3050ドル付近となる。

出典: Tradingview、Stone X

チャートの下部のパネルに記載した米ドル/カナダドルとS&P500の相関係数にも注目して頂きたい。 米ドル/カナダドルはS&P500に対して強い負の相関がある。つまり大型株指標であるS&P500の価格がある方向に動けば、米ドル/カナダドルが逆方向の値動きを見せる可能性が高い。 現在の相関係数は-0.80。-0.80以下の値は相関が強いと見なされる。そのため米ドル/カナダドルの値動きの方向は、基盤となるカナダのインフレデータよりもむしろS&P500の値動きの方向によって決まるようだ。

240分足では、1.3465ドルと1.3571ドルの間にレジスタンスラインが集まっている。 最初のレジスタンスラインは11月7日の安値である1.3465ドル。 その上のレジスタンスラインは三尊パターンのネックラインに相当する1.3503ドルである。 その次のレジスタンスラインは、11月19日の高値と、緑色で示した長期的なチャネルの上端にあたる上向きのトレンドライン上の1.3571ドル付近で合流する。 しかし三尊パターンのターゲット価格に向けてこの通貨ペアの値下がりが続いた場合には、最初のサポートラインは7月14日の高値、および11月22日の安値である1.3224ドルとなる。 そこを割ると、次のサポートラインは4月 5日の安値から9月28日の高値の50%のリトレースメントレベルにあたる1.3190ドルだ。 米ドル/カナダドルがさらに下落した場合には、同じ期間の61.8%のフィボナッチリトレースメントレベルにあたる1.3004ドルまで下落する可能性がある。

出典:Tradingview, Stone X

最近の指標が示すとおり、カナダのインフレは依然として高い。 しかし、USD/CADはあまり影響を受けていないように見えるUSD/CADはS&P 500と負の相関関係にある。 したがって、S&P 500が上昇すれば、USD/CADは下落するだろう。 ヘッドアンドショルダーのネックライン1.3503を注視したい。 価格がここを上回って推移すれば、ヘッドアンドショルダーは消滅する。

 

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