日銀のサプライズは量的緩和の「終わりの始まり」か

Yen, Euros and dollar currency bills and notes

日銀は12月の金融政策決定会合を火曜に開いたが、これまでの非常に長期にわたる傾向から、市場もエコノミストも金融政策の変更はないと見込んでいた。  しかし日銀がイールドカーブコントロール(YCC)を調整して10年物国債の金利幅を広げたことで、市場は不意打ちを受けた形となった。以前の金利幅はプラスマイナス0.25%だったが、現在はプラスマイナス0.5%の変動が可能になっている。日銀の黒田総裁はこれが量的引き締めであることを否定したものの、市場は即座にこの発言を、今回の変更が量的引き締めの「始まり」になりうるというメッセージとして解釈した。   今週の注目通貨ペアで触れたように、今後数か月での金融政策の見直しの兆候は先週にわたって見られていた。  実際につい先日は岸田首相が、2%のインフレ率目標達成を「できるだけ早期に実現する」としている10年前の日銀との共同声明を改訂する意向を示している。  とはいえ首相は、この改定は4月に黒田総裁の任期が切れるまで行わないとも述べた。  黒田総裁の任期終了は4月8日であるため、トレーダーは今後数か月での市場の動向に注目するだろう。

日銀による発表後、米ドル/円は激しい売り展開となり、1ドル137.41円から1ドル133.19円へと3%近く値を下げた。

出典: TradingviewStone X

これは11月10日に米国CPIが予想よりも低かった時の売り展開に次いで、今年2番目に大きな値下がりとなる。  今日の売りでは12月5日からの上向きのトレンドラインが135.25円で破られ、さらに12月5日の安値である133.61円、今年の最安値から最高値までの50%のリトレースメントにあたる132.71円も割り込んだ。今ではこれらの価格がすべてレジスタンスレベルとなる。  注意すべきなのは、  米ドル/円が長期的な下向きのチャネルの上端をなすトレンドラインを試した後、そこを割りこんだことで、現在はまだこのチャネルの内側で取引されている。サポートレベルは8月2日の安値である130.39円、そしてチャネルの下端をなすトレンドラインの128.75円だ。  そこを割ると、先述の期間の61.8%のフィボナッチリトレースメントにあたる128.17まで下落する可能性がある。

出典: TradingviewStone X

しかし日銀の発表後に値上がりしたのは日本円だけではない。10年物の日本国債の利回りも大きく上昇している。  主な日本国債の利回りは、この1年の大半にわたって0.19%から0.28%の間の比較的狭い利幅で推移していた。  しかし今日の日銀の声明により、主要な利回りは0.22%から日中の最高値となる0.43%にまで急上昇した。

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加えて日経平均株価もおよそ2.5%の値下がりとなっている。  昨日の米国株の下落を踏まえればこの反落は予想の範囲内かもしれないが、日銀がハト派的とは言いがたい姿勢を見せたことも値下がりの一因と言えるだろう。日経平均株価の始値は27,209円、日中の安値は26,132円をつけた。日本国債と同様、日経平均もこの1年の大半にわたってレンジ相場が続いており、  今日の発表後も株価は依然として25,524円から29,410円までのレンジ内で推移している。

出典: TradingviewStone X

日銀は金曜日に11月消費者物価指数(CPI)を発表する予定。  予想は前回の前年比3.7%に対し、前年比3.9%で、コアCPI(生鮮食品除く)の予想は前回の前年比3.6%に対し、前年比3.8%となっている。しかし、黒田総裁は、インフレ率は来年にかけて低下し、日銀は金融緩和政策に必要な債券の購入を継続するとの見解を示し続けている。ここでトレーダーが自問しなければならない質問はこうだ:  これは一過性の動きか?あるいはこの先起こるであろう何かの始まりなのか?

 

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