- l先週の主要通貨における強弱は右記の通り ユーロ>米ドル>人民元>英ポンド>日本円
- l円安が進んだことでクロス円は全体に底堅い動き。
- lメキシコ、南アは売られたものの、リスクオフ相場の中でもクロス円の下げが限定的に留まっていることが印象的。
先週の為替相場サマリー
円安が進行
USD/JPY
ドル円は上昇。イランが13日から14日にかけてイスラエルに向けて多数のミサイルと無人機を使った大規模な攻撃を仕掛けたことをうけて先週末の終値より円高水準の1ドル=153.09円からスタート。週初は売りが優勢で152.98円まで安値を更新したが、攻撃は限定的に留まるとの見方に加えてドル円の先高観も相まって上昇圧力が強く、月曜日のロンドン時間に153.80円台まで上昇。さらに同日のNY時間に発表された米国3月小売売上高が強く154円台へと突入すると、火曜日のNY時間の指標発表をこなしながら154.79円を記録した。しかしこのレベルで財務省によるレートチェック(為替介入の予備動作)が行われたのではないかと伝わり、一時154円を割り込むなど神経質な値動きも見られた。水曜日以降は154.70~80円が上値抵抗となり膠着状態となったが、金曜日の東京時間にイスラエルがイランへ攻撃を開始したと伝わったことで市場はリスクオフへと傾きドル円は153.60円まで急落。しかしイラン側に事態の収集を測る配慮も見られたことで次第に買い戻しが優勢となり、結局は154.65円まで買い戻されて週末を迎えた。
EUR/USD
ユーロは小幅に上昇も、やや方向感に欠ける展開。1ユーロ=1.0637ドルからスタートすると、週初は強い米国3月小売売上高をうけてユーロ売りドル買いが優勢となり1.0602を記録。しかしこの水準で下げ止まると、水曜日のNY時間に行われた日米韓の財務省会合で「最近の急速な円安及びウォン安に関する日韓の深刻な懸念を認識し、外国為替市場の動向に関して引き続き緊密に協議する」という文言を盛り込んだ共同声明が発表されたことで相対的にドル売りが優勢となり、翌日のロンドン時間までに1.0690まで上昇した。週末に掛けては再びドル買いが強まる時間帯も見られたが、結局は1.0656と週初とあまり変わらない水準でクローズ。
USD/CNH
小幅にドル安、人民元高。1ドル=7.2669元からスタートすると、火曜日のアジア時間に発表された中国3月小売売上高や3月鉱工業生産が低調な数値だったことで7.2833まで人民元安が進行した。しかしこのレベルでは当局による元安抑制策が功を奏し人民元の買い戻しが優勢、木曜日に今週のドルの安値となる7.2415を記録したのち、7.2509でクローズ。人民元は通貨としての底堅さに加えて、当局のコントロールにより急激な元安が抑えられている状況。
先週の世界の通貨強弱
ややドル買いが優勢(107/196ヵ国)
円安進行を受けてクロス円は全体的に底堅い
※通貨騰落率を可視化し、現在の「相場のテーマ」の推測に役立てています
今週の為替相場の注目点
全体
円安、ドル高が継続するか?
イランとイスラエルの軍事的緊張感の高まりを警戒する必要がある。
USD/JPY
想定レンジ:152.60~156.80(為替介入を加味したレンジ設定)
中東情勢が大きく動かなければ、引き続き日本円は売られやすい地合いだろう。
155円より上の水準ではあらためて為替介入が意識されそうだ。
EUR/USD
想定レンジ:EUR/USD 1.0450~1.0750
ドル高を主因に、どちらかと言えばユーロ安と見るのが自然だろう。
ただし米金利とドイツ金利が概ね連動して動いており、大きくは動きづらい状況。
USD/CNH
想定レンジ:USD/CNH 7.18~7.37
ドル高を主因に、小幅な人民元安を想定。
ただし当局の元安抑制策や、通貨制度にもとづく底堅さもあり、レンジが続きやすい状況。
今週の注目イベント
22日
4月の中国最優遇貸出金利(LPR)
23:00 ユーロ圏4月消費者信頼感
24:30 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、発言
23日
14:00 シンガポール3月CPI
16:15 フランス4月PMI
16:30 ドイツ4月PMI
17:00 ユーロ圏4月PMI
17:30 香港3月CPI
17:30 英国4月PMI
22:45 米国4月PMI
23:00 4月リッチモンド連銀製造業指数
23:00 米国3月新築住宅販売件数
24日
08:50 日本3月企業向けサービス価格指数
10:30 オーストラリア3月CPI
17:00 ドイツ4月IFO企業景況感指数
20:00 米国MBA住宅ローン申請指数
21:30 カナダ2月小売売上高
21:30 米国3月耐久財受注
25日
15:00 ドイツ5月GFK消費者信頼感調査
15:45 フランス4月企業景況感指数
20:00 トルコ中銀、政策金利
21:30 米国1-3月期GDP
21:30 米国3月卸売在庫
21:30 米国前週分新規失業保険申請件数
23:00 米国3月住宅販売保留指数
26日
正午頃 日銀金融政策決定会合
08:01 英国4月GFK消費者信頼感調査
08:30 日本4月東京都区部CPI
15:30 植田日銀総裁、定例記者会見
15:45 フランス4月消費者信頼感指数
19:30 ロシア中銀政策金利
21:30 米国3月個人所得
21:30 米国3月個人消費支出(PCE)
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