「ノックアウトオプションってどんな取引なのか知りたい」
「FXとはどう違うの?」
普段聞き慣れない言葉ですので、取引についてイメージするのが難しいですよね。
ノックアウトオプションとは、簡単に言うと「最大損失額を決めた上で、外国為替などを取引する金融商品」となります。
主な特徴は、価格設定次第で少ない資金で大きな単位を取引できることと、損失リスクを限定できることです。
この記事では、ノックアウトオプションの概要やFXとの違いなどを解説します。FOREX.comでは、最短3分でノックアウトオプションのデモ口座を作成できますので、ぜひご利用ください。
ノックアウトオプションとは
ノックアウトオプションとはオプション取引の一種であり、外国為替や株価指数の売買差益を狙う金融商品です。あらかじめ取引での最大損失額を決めてから開始するため、損失リスクがFXより限定的である特徴があります。
また、最大損失額の決め方によっては、FXよりも少ない資金で大きなロットを売買できるため、高い資金効率を実現できます。
ノックアウトオプションとFXの違い
ノックアウトオプションとFXの違いを確認してみましょう。
FX | ノックアウトオプション | |
---|---|---|
USD/JPYを1万通貨保有する際に必要な資金 | 52,000円 (USD/JPYが130円、レバレッジ25倍の場合) |
10,000円 (USD/JPYが130円、UPでノックアウトレベル129円の場合) |
理論上の最大損失 | 無制限 | 限定的 |
理論上の最大利益 | 無制限 | 無制限 |
USD/JPYのスプレッド | 1.7pips(変動制) ※ | 2.8pips(変動性) ※ |
新規注文方法 | 成行・指値・逆指値 | 成行 |
決済注文方法 | 成行・指値・逆指値 | 成行・指値・逆指値 |
ポジションの保有期限 | なし | 最長1年間 |
追証 | あり | なし |
スワップポイント | あり | あり |
自動売買 | 可 | 不可 |
課税方法 | 申告分離課税 | 申告分離課税 |
※2023年1月6日17時に計測
大きな違いは、取引で必要な資金・理論上の最大損失額・スプレッド・新規注文方法です。これらの違いについては後述します。
それ以外に、ポジション保有期限の有無にも違いがあります。
ノックアウトオプションでは、ポジションを最長1年間しか保有できず、満期になるとポジションは強制的に決済されます。FOREX.comの場合は、2021年11月~2022年10月末に保有したポジションは、2022年11月26日が満期でした。
加えてノックアウトオプションでは、自動売買を利用できません。自動売買は一定のロジックに従って売買を繰り返す投資手法であり、FXではMT4上で利用されるのが一般的です。
つまり、年単位でポジションを保有したい方や、自動売買をしたい方はFXが向いているでしょう。
一方でノックアウトオプションとFXで共通する点は、スワップポイントが発生することです。スワップポイントは外国為替を取引する際に、二国間の金利差を調整するために付与・徴収されます。
またそれ以外に、ノックアウトオプションもFXと同じく課税方法が申告分離課税である点もあげられます。ノックアウトオプションの利益には20.315%(所得税・住民税・復興特別所得税)の税率で課され、FXと同じく3年間の損益通算が可能です。また、損益通算はFX、CFD、先物との間でも成立します。
ノックアウトオプションを注文してみよう
エントリーのための3要素
FXとの違いを押さえたところで、ノックアウトオプションの注文の流れを見ていきましょう。
ノックアウトオプションで注文を入れる際は、下記の3つを決めます。
- UPかDOWN
- ノックアウトレベル
- 数量
1つ目のUP、DOWNでは、取引銘柄が「これから値上がりしていく」と予想した場合はUP、反対に「これから値下がりしていく」と予想した場合はDOWNを選択しましょう。
上の図はUPの例です。原資産価格がエントリー(ポジションを保有すること)時よりも上昇すれば、上がった分だけ含み益が発生します。反対にエントリー時よりも下落すれば、下がった分だけ含み損が発生します。このあたりはFXと同じ感覚で問題ありません。
2つ目の「ノックアウトレベル」とは、事前に決めておく最終撤退価格を指します。ノックアウトレベルとエントリー価格との差額が最大損失額となり、それを事前に支払うことで取引できるのがノックアウトオプションという商品です。この最大損失額を「オプション料」とも呼びます。
エントリー後に、原資産価格がノックアウトレベルに達したら自動的に決済され、取引が終了、損失が確定します。なお、注文時に定めたノックアウトレベルは、注文後に変更できません。
3つ目の数量はロット数を指します。ロットとは取引数量の単位を示しており、ノックアウトオプションでは、1ロット=10,000通貨、最小取引単位は0.1ロットです(外国為替対象の場合)。
ロット数を上げれば多くの数量を取引できるため、取扱銘柄が予想通りに値動きした時の利益は大きくなりますが、予想と反した時の損失も大きくなるため、自分のリスク許容度に合わせてロット数を決めることが重要です。
この3つに加えて、指値・逆指値注文を入れられます。指値や逆指値とは「決まった価格で注文する」という注文方法で、ノックアウトオプションでは指値注文で利益確定の価格を、逆指値注文で損切りの価格を決められます。
UPで指値注文を入れる時は、エントリー時よりも高い価格を指定することで、原資産価格がそこに達したタイミングで自動的に利益確定できます。
一方で逆指値注文を入れる時は、ノックアウトレベルより浅い価格で指定します。つまり、ノックアウトレベルに到達するより早く損切りができます。
ノックアウトオプションの売買の流れ
ここからは、FOREX.comでノックアウトオプションを取引する流れを見ていきましょう。
まずは取引口座へログインします。ログインすると「人気銘柄」が表示されますので、左のメニューから「ノックアウトオプション」を選び、クリックしましょう。まだ口座をお持ちでない方は、口座開設ページからお手続きいただけます。
ノックアウトオプションの銘柄一覧が表示されますので、取引したい銘柄の「買い」のレートを選択します。今回はUSD/JPYのUPを注文してみますので、「USD/JPY Nov 23 UP KO」の買いのレートをクリックしましょう。
価格をクリックすると発注画面が表示され、ノックアウトレベル・数量を入力すると、自動的にオプション料(最大損失額)が算出されます。
なお、オプション料は「ノックアウトレベルと原資産価格との差×取引通貨数」で計算します。
今回の例では、
- 原資産価格:133.752円
- ノックアウトレベル:133.00円
- 数量:0.1ロット(1,000通貨)
ですので、計算式は下記の通りです。
(133.752円-133.00円)×1,000通貨=752円
また、指値(利益確定)・逆指値(損切り)も入力でき、注文確定後でも設定可能です。問題なければ「注文確定」をクリックします。
注文が確定すると、チャート上にノックアウトレベルと指値、逆指値が表示されます。この事例では133.736円が原資産価格であり、133.00円がノックアウトレベル、134.766円が指値、133.266円が逆指値です。
逆指値注文との違い
ノックアウトオプションの「ノックアウトレベル」と逆指値注文は、いずれも含み損がそれ以上拡大しないために損切りする役割を持ちます。
「ノックアウトレベルと逆指値注文は何が違うの?」と気になる方も多いのではないでしょうか。ここでは両者の違いについて解説します。
まず、ノックアウトレベルは「取引における最終的な損切り水準」であり、新規注文時に必ず入れます。また、一度ノックアウトレベルの価格を決めると、後から変更できません。
それに対して逆指値注文は、「ノックアウトレベルよりも手前に置ける損切り注文」であり、原資産価格とノックアウトレベルの間で自由に価格を動かせます。新規注文の後からでも価格を設定できますし、設定しなくても問題ありません。さらに注文の取り消しも可能です。
ノックアウトオプションの魅力、メリット
ノックアウトオプションの魅力・メリットを3つ解説します。
FX以上に資金効率が良い
ノックアウトオプションはFX以上の資金効率を期待でき、ノックアウトレベルまでの値幅によっては、取引資金が少なくて済みます。
例えばUSD/JPYが130円の時に、ノックアウトオプションでUP、FXで買いのポジションを保有するとして、それぞれ必要な資金を比較してみましょう。
なお、取引数量は10,000通貨であり、ノックアウトレベルは129円、FXのレバレッジは25倍とします。
【FXの場合】
証拠金の計算式は下記の通りです。
(130円×10,000通貨)×4%(レバレッジ25倍)=52,000円
【ノックアウトオプションの場合】
オプション料は下記の通りです。
(130円ーノックアウトレベル129円)×10,000通貨=10,000円
両者を比較すると、FXでは52,000円必要であるのに対して、ノックアウトオプションでは10,000円で済むため、FXよりも資金効率が良いです。またFXの場合は、証拠金はあくまでポジションを持つためだけの資金であり、それとは別に一時的な逆行に耐える余剰資金も必要です。
ただし、ノックアウトレベルとエントリーの価格差によっては、資金効率がFXより悪くなるケースもあります。
仮にノックアウトレベルを124円に設定した場合、必要な証拠金は下記の通りです。
(130円ーノックアウトレベル124円)×10,000通貨=60,000円
以上のようにノックアウトレベルの位置によっては、ノックアウトオプションはFXよりも資金効率が良くなります。
あらかじめ最大損失額が決まっている
ノックアウトオプションでは、ポジションを持つ時点で最大損失額を決めるため、それ以上の損失が発生しません。
為替相場では窓開きや相場の急変によって、強制ロスカットが間に合わず想定よりも大きな損失になったり追い証が発生する可能性がありますが、ノックアウトオプションでは最初に決めた以上の損失は発生せず、追証もありません。
ちなみに追証とは、強制ロスカットが間に合わず、口座残高がマイナスになった際に、追加で入金しなくてはならないことです。
FX以外も取引可能
FOREX.comのノックアウトオプションは、FX以外にも株価指数を取引できます。日経平均株価や、米国のS&P500など、さまざまな銘柄を取り扱っています。FOREX.comで取引できる株価指数についてはこちらをご覧ください。
ノックアウトオプションの注意点、デメリット
続いてノックアウトオプションの注意点・デメリットを解説します。
スプレッドがFXより広め
ノックアウトオプションのスプレッドは、FXよりも広めである点にご注意ください。
ただし、FOREX.comのノックアウトオプションでは、エントリー時に発生するスプレッドの中に、ノックアウトプレミアムが含まれています。
ノックアウトプレミアムとは、ノックアウトレベル到達時にスリッページなく決済させるために必要な保証料のことです。つまり、FOREX.comでは、注文を出す際に全ての手数料を把握できます。
ただし取引銘柄の保有期間によっては、マイナススワップが発生するケースもあるので、取引する前にスワップポイントについて確認しましょう。
新規注文は成行のみ
ノックアウトオプションの新規注文は成行注文のみであり、指値・逆指値注文は入れられません。リアルタイムでしかエントリーできないため、資金効率の良さと合わせて、どちらかというと短期売買向けの商品といえます。
一方で決済時は指値・逆指値注文を入れられます。指値注文は利益確定時に使用し、逆指値注文はノックアウトレベルより手前で損切りする時に使用します。
ノックアウトレベルは変更できない
エントリー時に決めたノックアウトの水準は、後から変更できません。
「損切りされそうだからノックアウトレベルを変更したい」と思っても、事前に決めた価格は動かせないので、新規注文時はよく考えてノックアウトレベルを決めるようにしましょう。
一方で指値、逆指値注文の価格であれば自由に変えられますし、取り消しも可能です。
ノックアウトオプションを提供しているのは国内で2社のみ
このページではノックアウトオプションのメリットやデメリット、FXとの違いなどをお伝えしました。
ノックアウトオプションは取引の損失を限定できる点と、ノックアウトレベルの決め方によってはFXよりも高い資金効率で取引できる強みがあります。
なお、ノックアウトオプションを国内で利用できるのはFOREX.comとIG証券だけです。
FOREX.comは最短3分でデモ口座を開設できるので、試しにデモトレードから始めてみてはいかがでしょうか。