供給と需要が金融市場に及ぼす影響

筆者: Rebecca Cattlin、金融ライター

2021年12月23日4:35 PM

供給と需要とは何か?

市場は供給と需要のバランスが原動力となって変動します。供給とは購入可能な商品やサービスの数のことであり、需要とは購入される商品やサービスの数のことです。

単なる日用消費財であろうと、あるいは外国為替、株式、商品等の金融市場であろうと、供給と需要が買い手と売り手の行動を方向づけています。商品等の金融市場であろうと、供給と需要が買い手と売り手の行動を方向づけています。

供給と需要のバランスが崩れると、価格が変動します。需要が供給を上回ると、品不足が生じます。消費者はその商品を購入しようと互いに競り合う必要があることから、結果として価格が上昇します。逆に、供給が需要を上回ると、余剰が生じます。消費者がその商品をあまり利用しなくなったり、価格の安い代替品を購入したりすると、商品がだぶつき、価格が下がることになります。

まず始めに経済の基本に立ち返り、ごく基本的な供給と需要の法則についておさらいした後、その関係が金融市場で具体的にどのように展開しているのかについて詳しく見ていきましょう。

供給と需要の法則とは何か?

供給と需要の法則とは、企業と消費者との間の関係を裏付けている経済理論です。

消費者の観点からすると、通常その法則は、「購入しやすい資産は安く、希少性のある資産はより高価になる」となります。例外があるかもしれませんが、これが基本前提となります。

しかし、企業側にとってはより複雑です。企業は、その商品の販売価格に影響を及ぼすであろうさまざまな要因に加え、消費者がその価格で商品を購入する意思があるかどうかについても考慮する必要があります。

ガソリンを例にして考えてみましょう。

消費者は、常に最も手頃な価格のガソリンスタンドを探して満タンにしようとするため、結果として個人的コストは最も安くなります。例として、ガソリン1リットル当たりの平均価格が140ペンスの場合、消費者は1週間に50リットル購入するとしましょう。1リットル当たりの価格が160ペンスに上昇すると、消費者は1週間に40リットルしか購入しないかもしれません。しかし、1リットルあたりの価格が120ペンスまで下がると、消費者はおそらく60リットル購入する可能性があります。

基本的に、ガソリン価格が下がると需要が増え、人々が車を運転する可能性が高くなります。しかし、ガソリン価格が上昇すれば需要が減り、不要不急の外出は減少するでしょう。これは、2021年の英国の石油危機で実際に起きたことです。当時、サプライ チェーンの問題を発端とした衝動的なガソリンの買いだめが発生し、結果としてガソリンがほとんど手に入らなくり、人々は自動車の利用を制限しなければなりませんでした。

言い換えれば、消費者には価格と数量の間に負の相関関係があり、以下のグラフのようになります:

How supply and demand impact financial markets

ガソリンの販売者の観点からすれば、その逆が当てはまるでしょう。製品の価格が上昇すると、生産者は利益を上げようと意欲的に増産し、価格が下がるとコストを賄うことが困難になるため、生産量は落ち込みます。

多くの人は、サプライヤーがその商品の市場価格を設定できると考えているかもしれませんが、そうではありません。サプライヤーが唯一提供できる情報は、自分たちが可能な生産能力の増減に応じて、市場にどれだけの商品を供給するか、ということです。

このことをグラフに表すと以下のようになります:

Supply and demand in the financial markets

トレーダーや投資家にとって、市場価格が上昇するか、下落するかを決定づける消費者と企業との関係を理解することは非常に重要です。英国での石油危機の間、原油価格は大幅に上昇し、サプライチェーンの問題も相まって、ブレント原油先物価格は2ヶ月ぶりの高値である1バレル77ドルを付けました。

供給曲線と需要曲線についての解説

ここまで見てきたように、供給と需要が及ぼす影響の描写は、消費者と生産者のどちらからの観点に基づいているかによって異なります。生産者と消費者の関係を理解するにあたり、両者を供給曲線と需要曲線で表すことができます。

最も基本的な供給曲線と需要曲線は以下のようになります:

Supply and demand in the financial markets

供給と需要の中間点は「均衡点」と呼ばれ、商品の需要と供給量が完全に等しくなる部分です。つまり、余剰も不足もない状態です。

供給と需要に影響を及ぼす要因は何か?

供給と需要に影響を与える要因は多岐にわたり、市場によって異なります。しかし、基本原理は同じであり、需要が供給を上回れば価格は上昇し、供給が需要を上回れば、価格は下落します。

株式市場を例にとってみましょう。ある会社の株式で、売り出し中の株数が変わらないまま株式の需要が高まると株価は上昇し、需要が高まらないまま流通している株式数が増加すると、株価は下落します。

一方で外国為替市場の場合、2つの通貨間の為替レートは、ある特定の通貨のもう一方の通貨に対する供給と需要を示しています。例えば、GBP/USDの通貨ペアの場合、英国ポンドの需要が高まると、1ポンドを買うのに必要な米ドルの額が増えるため、このペアの価値が上昇します。

株式市場との一番大きな違いは、価格の上昇が必ずしも投資家の意欲を削ぐわけではないということです。多くの金融市場は、投機取引を基盤としており、価格をどんどん押し上げていく可能性があります。

この現象は、資産の本質的価値をはるかに超えて価格が上昇する投機的バブルや、市場で割高感のある優良株に見受けられます。や、市場で割高感のある優良株に見受けられます。

金融市場で供給と需要のバランスが崩れるポイントを、サポートライン(下値支持線)とレジスタンスライン(上値抵抗線)と言います。資産の価格が割高だとみなされるレベルに達し、それ以上誰も購入しようとしない場合、「市場がレジスタンスレベルに達した」と言います。また、資産の価格が下落し、再び買い意欲が湧くに十分なレベルまで突然安くなった場合「市場がサポートレベルに達した」と言います。

重要なのは、これらのレベルは時間と共に変化するということです。市場は定期的にサポートラインとレジスタンスラインを抜けることから、テクニカル分析ファンダメンタルズ分析を活用して市場センチメントを理解することが不可欠です。

各金融市場には、その供給と需要に影響を与えるさまざまな要因があります。いくつか例を見てみましょう。

株式市場における供給と需要の要因

供給に影響を及ぼす要因:

  • 株式発行 – 企業が新株発行や株式配当 を介して株式の供給を増やす場合
  • 自社株買い – 企業が自社株の買い戻し計画または上場廃止により、株式の供給を減らす場合

需要に影響を及ぼす要因:

  • 経済データ – 経済が予想を上回って好調な場合、より高い収益が企業の決算報告書で見込まれることから、株式に対する需要が生まれます。また、経済データの公開から、国の実績に関する重要な洞察を得ることができます。
  • 金利 – 金利が低下すると、投資家は普通預金口座に現金を預金しておくよりも他の資金獲得手段を追求するため、株式に対する需要が高まります。
  • 収益 – 収益がプラスの場合は株式を取り巻く投資家のセンチメントが高まりますが、収益がマイナスであったり、予想を下回る場合には弱気のセンチメントを引き起こす可能性があります。

外国為替市場における供給と需要の要因

外国為替市場における供給に影響を及ぼす要因:

  • 輸入需要 – 国内の輸入需要が高まると、自国通貨を売って外貨が買われます。輸入が増えれば増えるほど、外国為替市場におけるポンドの供給がますます高まることになります。
  • 中央銀行の金融政策 – 中央銀行が銀行に対する預金準備率を引き下げると、銀行はより多くのお金を消費者に貸し出すことができるようになり、マネーサプライが増加します。通常は、これにより金利が低下し、投資が増大します。

外国為替市場における需要に影響を及ぼす要因:

  • インフレ率 – インフレ率が高いと国内の商品の価格が海外の商品と比較して高くなるため、通貨に対する需要が減少します。その通貨の競争力は低下し、魅力が薄れることになります。
  • 金利 – 投資収益の金利が高いほど、利益がより多くなります。そのため、外為トレーダーは金利の低い通貨で金利がより高い通貨を買う傾向があります。また銀行による利率の変更は、外為トレーダーのキャリートレードに影響を及ぼします。
  • 政府債務 – 政府に多額の債務があるとインフレが高まります。これまで見てきたように、高いインフレ率は通貨の魅力に直接的な影響を及ぼします。
  • 政治的安定 – 政治的リスクが低い国ほど、外為トレーダーにとってより魅力的な投資先となります。それゆえ、政策の変更、政治家の汚職、反政府活動などはその国の経済に深刻な影響を及ぼし、自国通貨を弱体化させる可能性があります。

商品市場における供給と需要の要因

商品市場における供給に影響を及ぼす要因:

  • 生産能力 – 企業の生産能力が高まると、供給量が増加します。通常企業は、需要が増加した場合にのみ生産量を増やします。2021年末に向けてのエネルギー不足で見られたように、生産量の低下は悲惨な結果をもたらす可能性があります。生産量が少ないと価格の引き上げが余儀なくされます。
  • 調査・探査の予算 – 企業が自発的に調査や探査に費やす予算が多ければ多いほど、埋蔵されている金、石油、その他の原料が発見される可能性が高くなります。
  • 気象現象 – 好天は豊作をもたらし、商品の供給過剰へとつながる可能性があります。寒波はエネルギー製品の需要を高め、製品価格を押し上げる可能性があります。一方、気象災害は現物商品に影響を及ぼすだけでなく、可能性があります。

商品市場における需要に影響を及ぼす要因:

  • 経済成長 – 国が成長し、繁栄するに伴い、その国の経済の購買力が高まります。
    消費者はより多くの商品を購入し、より多くの原材料がインフラ整備計画に必要となることから、企業は生産ラインに再投資を行います。景気後退時には、商品の需要が落ち込み、業界内の投資が減少します。
  • 通貨の値動き – 商品価格は米ドルと直結しています。米ドルの価値が上がると、消費者は商品に対してもっと多くのお金を払おうとしなくなるので、商品の価格は下がります。
  • 競争 - 市場に新しく、より安価あるいはより手軽に入手できる商品が存在する場合、従来の商品に対する需要が減少する可能性があります。たとえば、代替エネルギーの普及は、今後石油とガスの価格に打撃を与えると予測されます。

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