リセッション中のトレード方法

筆者: Rebecca Cattlin、金融ライター

2022年2月14日 10:30 AM

リセッションとは?

リセッションとは、単一の国または複数の国に影響する、経済活動の重大かつ持続的な低下期間を指します。この影響は、政府、企業、消費者から投資家まで、広く波及します。

リセッションについて決まった定義はありませんが、一般に、GDPや実質所得、雇用率、生産、販売などの落ち込みを含む、経済活動の低下が特徴となっています。統計機関は、たとえば、GDPが2四半期連続で減少する場合と表現しています。

リセッションは正常な事業活動の一部とみなされ、(平均)7~9年ごとに起こります。しかし、また、リセッションがどのくらい長く続くかについて意見の一致はありません。ほとんどの場合、景気の低迷が100日間続くとリセッションに分類され、それ以下だと調整または弱気相場(ベアマーケット)となります。しかし、数か月、または複数の四半期を超えて長引く場合、経済恐慌となります ー これは数年、または数十年にわたって広がり、大きな社会的影響を及ぼします。

ダブルディップ・リセッションとは?

ダブルディップ・リセッションとは、経済の減速が短期間回復した後、また別の減速が起こることを指します。これは、GDPが数四半期プラスになるなど経済回復の兆しがあるときに、別の不況が襲った場合に起こります。

ダブルディップ・リセッションは非常にまれです。米国でダブルディップ・リセッションがあったのは50年前の1982年でした。OPECの禁輸による原油価格の高騰が原因でした。経済が回復し始めると、FRBはインフレ抑制のために金利を劇的に上げました。金利は21.6%のピークに達し、リセッションの第2波が発生しました。

ヨーロッパはごく最近、新型コロナウイルス(Covid-19)の世界的流行の最中にダブルディップ・リセッションに苦しみました。ユーロ圏の経済はパンデミックが始まると落ち込みましたが、2021年初めに成長が戻りました。

リセッションを引き起こすものは何か?

リセッションは、次のようなさまざまな要因の結果となる、経済の縮小によって起こります:

  • 経済ショック ― これは予期せぬ危機が発生し、深刻な財政難に陥ったときに起こります。最も顕著な例は、世界中で経済が減速することとなったコロナウイルスの発生です。
  • 収入の減少と負債の増加 ― 個人の収入が減ると、他の資本源、主に負債に頼らざるを得なくなります。負債が増えるにつれ、債務不履行や破産の件数が増加し、経済の足かせとなります。これは2008年の住宅市場バブルで起こりました。
  • 取り付け騒ぎ ― 銀行が倒産するかもしれないと広く信じられると、大勢の人が預金を引き出そうとします。抑制のきかない取り付け騒ぎは、銀行業界での破綻や大衆のパニックにつながります。この消費者のパニックがリセッションを引き起こすことがあります。
  • 投機資産バブル ー 投資したものの価格が、その合理的な価値を超えて膨れ上がると、それはバブルとなります。最終的に、価格は劇的に下落し、持続不能となります。その結果生じたパニックにより、個人と企業の両方が資産を売り、支出を削減することになります。

リセッション中のトレードについて

デリバティブ商品で金融市場に投機する場合、原資産でショートまたはロングにすることができます。これは、下落相場でも、上昇相場でも、利益を得られる可能性があることを意味します。

したがって、多くの投資家が経済の減速を恐れているときに、トレーダーはボラティリティの中にチャンスを見出せます。いくつかの資産クラスを見てみましょう。リセッションの環境下でどのような反応をするでしょうか。

リセッションで株式市場に何が起こるか?

株式市場は常に経済の健全性を測定する場所と考えられています。企業がどのくらい公的資本にアクセスしやすいか、また、個人がどのくらいリスクオン資産に投資する意欲があるかを示すからです。リセッション中は、投資家がリスクの高い資産から離れるため、株式市場が下落するのは驚くことではありません。

ところが、経済サイクルに関係なく利益と成長が見込まれることから、不況時に好まれる株式クラスがあります。それらはディフェンシブ銘柄と呼ばれています。通常、これには生活必需品、ヘルスケア、公共事業、通信などが含まれます。そうした商品は必要不可欠とみなされているため、他の部門が不況に見舞われていても、高い売上と利益を記録し続けます。

しかし、株式市場が下落したからといって、それが常にリセッションとイコールになるわけではありません。下落がその市場内に収まっている場合は特にそうです ー そのような場合は単に調整または弱気相場である可能性があります。実際、エコノミストたちは、株式市場のみでは経済の繁栄を測るには不十分だと考えています。

リセッションでFXはどうなるか?

FXはリセッションに強いわけではありません。しかし、世界のすべての国が景気後退で消滅してしまわない限り、トレーダーが2通貨の強さの差を利用することができます。

特定の通貨や経済的に関連しているグループでは、国家の経済が落ち込むと、必然的に低迷します。その代わりに他が台頭してくるのです。基本的に、FXはひとつの通貨ではロング、もう一方ではショートとなります。そのためFXトレーダーは、低迷する経済と繁栄する経済の両方を同時に推測できるはずです。

経済がリセッションに突入すれば、金利は引き下げられます。これにより、投資家にとってその通貨の魅力はなくなります。通常、こうした低金利通貨は、高金利通貨を買うために使用されます ― これはキャリートレードの要素として知られています。

詳細はFXの金利戦略を参照してください。

そして経済が回復すると、金利は再び上昇し、国家の通貨が再び強くなります。国内外両方の投資家がその国の銀行に資金を預けようとするためです。

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近年のリセッション

英国は2020年4月から6月にかけて経済が20.4%縮小し、11年ぶりにリセッションを公式に表明しました。新型コロナウイルスの世界的流行が始まり、家計の消費は急減し、工場と建設業の生産は落ち込み、旅行はストップしました。このため、GDPは2四半期連続でマイナスとなりました。

経済が回復し、2021年には2番底の恐怖が浮上したものの、GDPのグラフはしっかりと「V字」を描いたままでした。しかしながら、不透明感が長引き、2022年には別のリセッションが起こるのではないかという懸念が生まれました。

2008年の金融危機でも大きなリセッションが起こりました ー このリセッションそのものは2007年12月に始まり、2009年6月まで続きました。これは第二次世界大戦以来最も長いリセッションでした。サブプライム住宅ローンの不十分な規制により煽られ、住宅市場の崩壊から発生したものでした。

このリセッションも世界中に影響を及ぼしました。米国で始まったものの、英国、フランス、ドイツを含むヨーロッパ、そしてアジアにもすぐに広がり、日本も大打撃を受けました。

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