By: Rebecca Cattlin、ファイナンシャルライター
2022年7月08日 10:00
2022年7月、ユーロがドルとのパリティに近づき、世界経済やFXトレーダーにとって、その意味が話題となりました。通貨のパリティに関する経済理論が、FXトレード戦略にどのような影響を及ぼすのかを学んでいきましょう。
通貨のパリティとは?
通貨のパリティとは、2種類の通貨の両替レートが同一になることです。一方の通貨の1ユニットが、もう一方の通貨の1ユニットと取引されます。たとえば1ユーロで購入できるのは1ドルとなるのです。
外国為替市場では、通貨のパリティはその通貨の価格が実態に比して高すぎるか、あるいは安すぎるかを見極めるために利用されます。これは購買力平価説として知られるものです。
購買力平価説(PPP)とは?
購買力平価とは、2か国の経済的な生産性や生活水準を、財とサービスのバスケットを使って比較する経済理論です。これはどちらの通貨も最終的にパリティに到達するとして、どちらの通貨が実態よりも高いのか、あるいは安いのかを決めるという考え方です。
PPP理論はFX市場が今後どう動くかを判断するために一部のトレーダーに利用されています。こうしたトレーダーは時間と共に為替レートが均衡に向かうと見込んで、実態よりも値が高い通貨を売り、実態よりも値が安い通貨を買います。
その結果ユーロ/米ドルの場合は、ユーロ圏の経済が弱くなっていることから、多くのショートポジションが建てられています。
購買力平価説への批判
通貨がパリティに達するまでには時間がかかり得ることから、購買力平価説による成果は短期的にはまちまちです。実態より安いとされる通貨でも、何年も価格水準が変わらないことがあり得るため、デイトレーダーの場合はあくまでも戦略の一部に留めておく必要があります。
ドルとユーロは今後パリティに達するか?
ドルとユーロは2002年以来、初めて通貨パリティに到達しようとしています。ユーロは対米ドルではここ1年以上の間下落していましたが、2022年7月上旬に1.03ドルを記録したことから、パリティに達するかどうかという話題が広がっています。
ユーロ圏と米国の金融政策が乖離し、金利差が拡大したことから、ユーロの下落には拍車がかかっていました。
米国のFOMCはこれまで低金利を維持しており、ユーロはドルより高い水準で推移していましたが、現在はインフレ抑制のための利上げが始まっています。しかしその一方、ユーロ圏では記録的なインフレが起きているにもかかわらず、主に利上げが再び債務危機を引き起こすのではないかという懸念から、欧州中央銀行はまだ利上げに踏み切っていません。
こうして、ドルはユーロに対して、また他国の通貨に対しても値上がりしているのです。
ユーロ/米ドルがパリティに達すると何が起こるか?
ユーロ/米ドルがパリティに達した場合でも、欧州中央銀行(ECB)にとって短期的に大きな変化があるとは考えにくいでしょう。アナリストは依然、ECBが金利を据え置くか、FOMCほどには積極的に金利を引き上げないと見込んでいます。ECBが金利を上げたら、2011年以来初めての利上げになります。
ですがFOMCが金融政策の引き締めを緩和することはあり得るでしょう。すでにドル指数が高すぎるという声は広がっています。ドル指数は安全通貨として資金が流入したことから、年初以来8%上昇しています。
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