FXヘッジガイド:通貨リスクヘッジの手法

By: Rebecca Cattlin、ファイナンシャルライター

2021年5月13日 06:14

FXにおける「ヘッジ」とは

FXにおける「ヘッジ」とは、既存のポジションを相殺する形で1つまたは複数の通貨取引を行うことを指します。ヘッジの目的はリスクを完全になくすことではなく、むしろ自分で把握できる範囲に限定することです。

FX市場は流動性の高い市場であることから、ボラティリティも高くなる傾向にあります。このボラティリティの高さはFX取引の一部として受け入れられていますが、ポジションに関連する通貨リスクを抑えるため、さまざまなヘッジ戦略を駆使することができます。

FXにおけるヘッジの仕組み

FXでのヘッジでは、既存の取引とは逆方向に値が動くような1つまたは複数のポジションを建て、可能な限り損益をプラマイゼロに近づけることを目指します。

最初の取引をクローズした後で再びマーケットに戻ることもできますが、ヘッジを活用すれば最初の取引をマーケットに残したまま第2の取引でも利益を得る可能性が生まれます。

FXヘッジ戦略

為替リスクを避けるために、さまざまなヘッジ戦略を活用することができます。もっとも一般的なFXヘッジ戦略は次の2つになります。

  1. 直接ヘッジ
  2. 相関ヘッジ

1.FXでの直接ヘッジ

第一の戦略は直接ヘッジです。ある通貨ペアでポジションを保持している時に、同じ通貨ペアで逆のポジションを建てておく手法です。

たとえば英ポンド/米ドルでロングポジションを持っているなら、同じ取引額のショートポジションも建てておきます。

それぞれのポジションを建てる際のコストにもよりますが、このトレードの損益はプラマイゼロになるはずです。多くのトレーダーは損を受け入れて最初のポジションを単純に精算する一方、直接ヘッジでは第二のトレードを使って利益を出し、損失を軽減することが可能になります。

直接ヘッジは結果としてトレードを完全に相殺してしまうので、多くの取引所では必ずしも促進されているとは言えません。

(注)FOREX.comは、直接ヘッジ、いわゆる両建て取引は推奨していません。両建て取引は、お客様にとって価格のスプレッドのみならず、スワップポイントや金利調整額のスプレッドの差を負担することなどのデメリットがあり、経済合理性を欠くおそれがあります。

2.FXでの相関ヘッジ

一般的なヘッジ戦略は通貨ペア間の相関性を探るものです。この手法では、通常は正の相関を示す(同じ方向への値動きを示す)2つの通貨ペアを選び、それぞれで逆のポジションを建てます。

例えば英ポンド/米ドルとユーロ/米ドルは、正の相関がある通貨ペアの組み合わせとして言及されることがあります。これは地理的および政治的な連携という点での英国とEUの関係によるものです。

したがって、英ポンド/米ドルでロングポジションを持っている場合であれば、ユーロ/米ドルでショートポジションを建てるとヘッジになると考えられます。

相関ヘッジ戦略を取る際には対象が複数の通貨に広がることをよく覚えておくことが重要です。経済の動きが連動している時にたとえ正の相関が見られても、どのような形であれこの相関が外れれば、各通貨ペアの動き、ひいてはヘッジに影響が出ます。

FXヘッジのやり方

  1. FOREX.comでアカウントを作成 またはログインする
  2. トレードしたい通貨ペアを選ぶ
  3. 既存のポジションと同じバランスになるように、ポジションの金額を決める
  4. 取引注文をしてマーケットを注視する

ヘッジを始める前に十分な経験を積み、FXマーケットとその動きなどを熟知しておくことが不可欠です

差金決済取引(CFD)でFXヘッジを行う

差金決済契約はFX(およびその他の市場)で人気のヘッジ手法です。税金対策のためにすべての損失を利益で埋め合わせることができ、価格の下落への投資もできるからです。1

FOREX.comでは84の通貨ペアを含む12,000以上のグローバルマーケットで、物理的な資産の所有をすることなく、CFDを利用した取引が可能です。

FOREX.com の取引口座を開設すれば、最短60分でFXの差金決済取引を始めることができます。

先渡取引でFXヘッジを行う

通貨の先渡取引は、将来の期日に特定の価格で通貨を両替する契約を結びます。オプション取引と異なり、期日に現金または現物決済で契約を履行する義務があります。

オプションと同様、FXの先渡取引によるヘッジでは前もって価格を決められるので、市場の予期せぬ動きに対するヘッジになります。

先渡取引と先物取引はしばしば混同されることがあります。両者は大枠では同じ仕組みですが、先渡取引は店頭取引(OTC)商品であり、取引所では扱われません。

1 税制は変化する可能性があり、また個々人の状況によって異なります。必要に応じて独立した第三者の助言を受けてください。

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