執筆: Ryan Thaxton、金融ライター
2022年10月25日 9:15 AM
FXキャリートレードとは?
キャリートレードとは、通貨ペアにおいて2つの通貨の金利差から利益を得ようとする取引戦略です。キャリートレードは長期・短期の両方の取引に使えます。
たとえば、長期キャリートレードでは、低利回り(低金利)の通貨を借入れ、高利回り(高金利)の通貨を買い、その金利差から利益を得ます。豪ドル/円とNZドル/円は金利差(スプレッド)が大きいため、キャリートレードに人気の通貨ペアです。
金利は年平均で計算されますが、中央銀行の意向で変わることがあります。しかし、国によっては経済政策上、低金利または高金利を長期間維持しようとする場合があり、トレーダーはその期間を使ってキャリートレードで利益を出すことができます。通常、通貨のキャリートレードは数か月間を要します。
通貨のキャリートレードは、額面上はリスクが低いように見えますが、注意しなければならない落とし穴があります。たとえば、対象の通貨が少し下落しただけで、金利差で得た利益が消滅してしまうことがあります。キャリートレードは、使用している通貨にボラティリティがほとんどない場合に最も効果的です。
キャリートレード戦略の仕組みは?
キャリートレードは、主にインフレと金利から生じるさまざまな通貨高を利用する戦略です。キャリートレードでは、低利回り通貨を借り入れ、高利回り通貨を買うことで、低利回りの通貨を持つよりも早く資産を増やせます。
FX金利の仕組み
FXの金利はロールオーバーレートとしても知られ、ポジションを翌日まで保持したときに受け取る1日の金額です。これらの金利はマイナスとプラスのときがあるため、すべてのFX取引で考慮すべき重要な要素です。
ロールオーバーレートは、中央銀行によって設定された現行の金利をもとにしています。通常の市場環境では安定している傾向にありますが、インターバンク市場がストレスにさらされたり、中央銀行が金利の変更を決定した場合、一晩で大きく変化することがあります。不意をつかれないように、中央銀行政策金利カレンダーを手元に置いておくとよいでしょう。
ロールオーバーレートはグリニッジ標準時(GMT)午後10時(日本時間は翌午前7時(夏時間:翌午前6時))に執行されます。これは通常、ニューヨーク市場が最後で、シドニー市場が翌日に「開く」と見なされるためです。為替市場は原則、平日の週5日24時間稼働していますが、金曜日のグリニッジ標準時午後10時(日本時間は翌午前7時 (夏時間:翌午前6時))に終了して、日曜日のグリニッジ標準時午後10時(日本時間は翌午前7時 (夏時間:翌午前6時))にシドニー市場が始まります。閉じている曜日を考慮し、水曜日のロールオーバーレートは3倍になります(海外市場が休場の場合は例外あり)。
キャリートレードに最適な通貨ペア
キャリートレードに最適な通貨ペアは、高金利の基軸通貨と低金利の二次通貨の通貨ペアです。この場合、二次通貨は最も重要です。
利益となるキャリートレードに人気の二次通貨は2つあります。日本円(JPY)とスイスフラン(CHF)です。高利回りの通貨となると、選択肢は増えます。人気の通貨はオーストラリアドルとユーロです。経済が安定しており、リスクの低い国という点では、ほかにUSD/CHF、USD/JPY、CAD/CHF、NZD/CHFなどの通貨があります。これらはすべて、金利差が大きく、安定した経済を持つ通貨ペアの例です。
キャリートレードのやり方
キャリートレードはFOREX.comでできます。受賞歴のある当社プラットフォームで日曜日10pm (GMT)~金曜日10pm (GMT) の間(日本時間は翌月曜日午前7時~翌土曜日午前7時(夏時間: 翌月曜日午前6時~翌土曜日午前6時))に取引できます。取引は84通貨ペアの中からお選びいただけます。詳細はFX取引ページを参照してください。
FX取引には重大な損失リスクがあり、すべての投資家に適しているわけではないことにご注意ください。
キャリートレードの例
ここでは、AUD/JPYの長期キャリートレードの仕組みを説明します。この通貨ペアはキャリートレードに人気があります。オーストラリア準備銀行(豪中銀)は金利を3.6%に設定しています(以下、本稿では日本円の金利は現在0.1%とします)。
この3.5%の金利差から利益を得るには、日本円(JPY)を売って豪ドル(オーストラリアドル、AUD)を買うことです。簡単に説明します。100,000 AUDを9,000,000 JPYで買うとします。為替レートは1 AUD = 90 JPYです。
スポットレートが一定であれば(現在の価格がそのまま続けば)、1年後に3.5%の金利を得ます。これはポジションが103,500 AUDに増えたことを意味します。3,500 AUD(315,000 JPY)の利益です。キャリートレードは、証拠金でトレードした場合、さらに資金効率が良くなります。レバレッジが20:1(必要証拠金率5.0%)だとすると、100,000 AUDのポジションを持つために必要な資金は5,000 AUD(450,000 JPY)のみです。これで3,500 AUD増え、70.0%の利益となります。必要証拠金は各通貨により異なります。必要証拠金の詳細はこちらから確認してください。
もちろん、AUD/JPYのスポットレートが変化すれば、トレードに影響が出ます。取引を終える時点で為替レートが1 AUD = 85 JPY に変化したら、受け取る金額は円換算すると297,500 JPYになります。キャリートレード戦略はいたってシンプルですが、いくつかあるリスクの1つにより、このやり方が台無しになることがあります。
キャリートレードのリスク
キャリートレードは2つの通貨間の金利差に大きく依存するため、その国の中央銀行がどちらかの通貨の金利を変更すると、トレードに大きな影響を与えることがあります。さらに、通貨ペアの為替レートが、トレード中に不利になる方向へ動いた場合、ポジションを決済する際に金利差による利益がすべて消滅する可能性もあります。
たとえば、過去日本円はほぼゼロ金利を維持しているため、借入れの際に人気がありました。2008年の金融危機では、ユーロや米ドルなどの高利回り通貨の金利が切り下げられました。日本の投資家は、海外投資から撤退し、急いで円に再投資しました。その結果、円が高くなり、通貨間の金利差が小さくなったことで為替レートが反転し、円キャリートレードが解消されました。
キャリートレードの利点
キャリートレードには、トレードと金利から生じる利益のほか、いくつかの利点があります。FX業者から支払われる金利は、レバレッジをかけた金額に対して支払われるため、ドル円を1ロット(10,000通貨)の取引を行う場合、1 USD = 100 JPYでレバレッジが25:1(必要証拠金率4.0%)だとすると、40,000円(40,000 USD)用意するだけでよい場合があります。業者から支払われる金利は、自己資金の40,000円(40,000 USD) に対してではなく、取引金額である1,000,000 USD に対して支払われます。
(注)金利やスワップポイントは必ず受け取れるわけではありません。金利水準によっては、支払いとなるケースがあります。
キャリートレードでは、市場が比較的安定していれば、定期的に利益が得られます。ボラティリティが低い時にキャリートレードが人気なのはそのためです。それでも、FXトレードには包括的なリスク管理が必要不可欠です。そのため、ポジションをエントリーする際にはストップロスと利益確定(損切り・利食い)を必ず設定することをおすすめします。
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