豪ドル紹介:オーストラリアドルについてのガイド

By: Rebecca Cattlin、ファイナンシャルライター

2021年3月09日 10:48

オーストラリアドルの概要

オーストラリアドルはオーストラリアの法定通貨で、省略形はAUD(豪ドル)です。国内で使用される記号はドル記号($)ですが、他国のドル通貨と区別するために通常はA$またはAU$と表記されます。

オーストラリアドルは外国為替市場で取引量の多い通貨です。1 その人気は同国の豊富な資源と、主要な貿易国としての地位、そして高利率であることに由来します。

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オーストラリアの経済

オーストラリアは世界最大の島国ですが、経済規模は2019年の国内総生産で世界14位と決して大きなものではありません。2

同国の中央銀行はオーストラリア準備銀行(RBA)で、ここが通貨発行量と利率を監督しています。RBAは通常は非常に保守的な機関で、金融市場にそれほど介入せず、世界でも高い水準の利率を保っています。

オーストラリアの経済は主に天然資源、エネルギー、食品に依存しています。オーストラリアのコモディティの多様さと豊富さは、長年にわたって海外から高水準の投資を惹きつけており、石炭、鉄、銅、金、天然ガス、再生エネルギーの埋蔵量が豊富なことから、世界中から企業が集まっています。輸出に頼る国であることから、輸入価格によるコストを輸出価格が上回ると、オーストラリアの経済は活気づくという特徴があります。

オーストラリアドルの価格変動の要因

オーストラリアドルの価格は反循環的、つまり他の通貨との相関性が低いため、常にボラティリティが高いことで知られています。オーストラリアドルの価格変動の要因は以下の通りとなります。

  • コモディティ:ほとんどの先進国経済圏の通貨は、主に各国間の貿易関係により互いに連動しています。しかし、オーストラリアの経済はコモディティ(金属と穀物)に大きく依存しています。よって、同国の通貨価格はコモディティの価格とより密接に連動します。つまり作物の植え付け、天候、収穫高、鉱業の産出量、および金属価格の全てがオーストラリアドルのレートに直接影響しうるということです。オーストラリア以外のほとんどの先進国の経済は、コモディティ価格と負の相関を持ちますが、これはコモディティ価格が上がればコストが上がるからです。しかしオーストラリアでは、コモディティ価格が上がるほど経済の状況は良くなります。
  • 貿易関係:地理上の近さから、オーストラリアの輸出は大部分をアジア向けが占めています。つまりコモディティ価格のサイクルの他、オーストラリアドルは中国、インド、日本の天然資源需要による影響を受けることになります。アジア地域の経済が拡大し、インフラへの支出が増えれば、オーストラリアドル価格の上がり、そしてアジアからの需要が減れば、豪ドル価格も下落します。
  • 利率:他の通貨と同様、オーストラリアドルは利率の見通しにも影響を受けます。このため利率の変更に関連するRBAのあらゆるコメントが、他の通貨に対する豪ドルの価値に影響を与えうることになります。通常、オーストラリアの利率は非常に高い水準を保っていることから、豪ドルはFXトレーダーが低利率の通貨を売り、高利率の通貨を買うキャリートレードで好まれる通貨となっています。
  • マクロ経済データの発表:オーストラリアの通貨の健全性を示す重要な指標によって豪ドル価格が動くことがあります。これはトレーダーや投資家がデータに応じてポジションを変えるためです。オーストラリアの主要な経済指標は、消費者物価指数、貿易収支、GDP、失業率です。

オーストラリアドルの沿革

オーストラリアドルは1966年の2月に導入され、金ペッグ制、スターリングポンドとのペッグ制、ドルペッグ制、通貨バスケット制、移動ペッグと、おおよそ通貨で想定しうるあらゆる発展段階を経てきました。オーストラリアドル価格をこれらの固定相場制で決める手法はどれも上手くいかず、同国の経済は極端に不安定でした。

1983年、ようやくオーストラリアドルは完全に変動通貨となり、ボブ・ホーク首相が率いる当時の政府はこの時、資本の国外移動制限を撤廃することを決めました。この決断はオーストラリアの経済開放にとって決定的なものとなりました。

変動通貨への移行時、オーストラリア市場への投資の大部分は国内の小規模な銀行や企業によるものでした。しかし豪ドルが変動通貨になると海外の銀行が市場に参入し、オーストラリアドルは現在のように活発に取引される通貨へと急激に成長しました。

オーストラリアドルの人気通貨ペア

豪ドル/米ドル

AUD/USD(豪ドル/米ドル)は外国為替市場でのオーストラリアドルと米ドルの両替レートを表す表記で、この通貨ペアは「オージー」とも呼ばれます。これは1オーストラリアドルの購入に何米ドルが必要かをリアルタイムに示すものです。

オージーは世界で多く取引されている通貨の一つです。そのため豪ドル/米ドルのボラティリティはある程度高く、トレーダーにさまざまなチャンスをもたらします。

オーストラリアのコモディティ産業が2000年に大きく成長したのに続いて、豪ドル/米ドルの取引高は増加しました。オーストラリアの貿易相手国として米国が存在感を増すにつれ、両国の関係によってこの通貨ペアの取引への関心も高まっています。多くのトレーダーは、豪ドル/米ドルのペアをコモディティ市場とアジア市場全体に対する米国の関係を見極めるベンチマークとして利用しています。

また、特にRBAが高い利率を維持し、FOMCが利率を抑えている間は、2つの通貨の利率の差がキャリートレーダーを惹きつけてきました。

豪ドル/円

AUD/JPY(豪ドル/円)は、日本円に対するオーストラリアドルの価格を表す外国為替市場での表記です。全体にリスクが低い時期には価格は下落傾向で、リスクが上がり市場参加者が低リスクな投資対象を探している時には価格が上がる傾向となります。市場のリスクとの関係で非常に人気のある通貨です。

オーストラリアと日本は非常に密接な貿易関係を築いています。日本はオーストラリア第2の輸出相手国であり、2020年にはオーストラリアの輸出総額の9%にあたる約190億ドルを日本向けが占めていました。豪ドルのほとんどのペアと同様、豪ドル/円はコモディティ価格の変化と密接な相関性があり、これは日本が天然資源のかなりの部分をオーストラリアに頼っていることが影響しています。

また、日本円と米ドルの強い関係により、豪ドル/米ドルペアは米国経済の変化にも非常に敏感です。

英ポンド/豪ドル

英ポンド/豪ドルは英スターリング・ポンドとオーストラリアドルのペアで、1オーストラリアドルの購入に何ポンドが必要かを示します。

コモンウェルスによって、英国とオーストラリアは常にある程度つながりがあると思われていますが、実はこの2か国の経済はそれぞれ非常に異なっています。英ポンドはオーストラリアドルよりもはるかに強い通貨で、はるかに幅広く取引されています。つまり英ポンドの方が投機の影響を受けやすいということです。

英ポンド/豪ドルのペアで取引する場合は、両替レートに利率が大きく影響することに注意しなければいけません。これは主に2008年の金融危機によって英国の利率が何年もの間低く抑えられていた一方、オーストラリアはそれほど影響を受けなかったためです。このため英ポンド/豪ドルはキャリートレードで人気を集めており、ボラティリティが高くなります。

豪ドルの取引時間

オーストラリアドルは、協定世界時の日曜午後10時から金曜午後10時まで、24時間、平日の5日間にわたって取引が可能です。

オーストラリアドルに最適な取引時間帯は、どの通貨ペアに焦点を当てるかによって異なってきます。原則として、どのペアでも複数の取引セッションが重なっている時間帯に最も大きな動きを見せます。例えば豪ドル/英ポンドのペアであれば、東京外国為替市場とロンドン外国為替市場のセッションが重なっている時間帯に取引が活発になります。

詳しくは24時間動き続けるFXマーケットを参照。

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1 Bank of International Settlements, 2019年

2 CIA World Factbook, 2021年

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